読割 50
電子書籍
家族(小学館文庫)
著者 著:佐々木ゆり
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。松本サリン事件で河野義行さん一家の...
家族(小学館文庫)
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家族 松本サリン事件・河野さん一家が辿った「深い傷」そして「再生」 (小学館文庫)
商品説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
松本サリン事件で河野義行さん一家の3人の子どもたちが負った「心の傷」、そして家と親の狭間で揺れ動く日々のなか、彼らが再生を願って追い求めた「家族」のあり方を問う、渾身の書き下ろしドキュメント。
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紙の本
久しぶりに、涙が止まらない本を読みました。
2002/03/11 14:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鱒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、長年ルポライターとして写真週刊誌や女性週刊誌で活躍する佐々木ゆり女史の初の書籍です。
サブタイトルにも記されているように、主人公は、松本サリン事件で渦中の人物となった河野さん一家です。事件からすでに8年。「もう8年も…」と思われる人も多いことでしょう。
確かに、松本サリン事件は風化しようとしています。それは、河野家の人々にとっても同じです。ただ、彼ら彼女らにとっての風化は、あの辛い出来事を一日も早く忘れたいという強引なまでの記憶の封印です。
佐々木女史は、そんな彼ら彼女らを一人ずつ訪ね歩き、その思いを紡ぎ出します。そこから見えてくるのは、普遍的な家族の物語です。
もちろん河野家の人々は、松本サリン事件によって翻弄された特別な家族なのかも知れません。しかし読者である私は、自分自身の家族と河野家とを照らし合わせずに、本書を読み進めることはできませんでした。親子のコミュニケーション、夫婦愛、兄弟愛、そして各々の人生…。河野さん一家を通じて、家族というコミュニティーについて、無意識のうちに思いが巡ってしまいます。
さらに特筆すべき点は、河野家というコミュニティーに、マスコミ人である佐々木女史が入り込んだことで生じた変化です。松本サリン事件によって、彼らがマスコミに対してどのような感情を抱いたかは、あえて言及するまでもないでしょう。ルポライターである佐々木女史の出現によって、河野家は再生したと言っても過言ではありません。
本書は、オウムや報道被害といった文脈ではなく、ある家族の物語として読んでもらいたい一冊です。