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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
こうして見ると田沼意次は本当に運がなかった。
松平定信の器の小ささで運命画変わった人が多いのには驚かされる。
主人公とアイヌとの交流、青木の悲しい最後が印象に残る。
もう少しシーボルトとのことが読みたかった。
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主人公と一緒に旅をした気分になった。主人公がアイヌを想う気持ちが伝わってきて、アイヌが乱を起こした章はとても悲しかった。
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見分隊の面々、心根が優しく上司部下分け隔てなく目標達成しようと努力できる素晴らしい人ばかり
だからこそ評価されずに終わるのがとても悔しい(特に青島さん…)
徳内、辛いことも多かったけれど人に恵まれていたことで立ち直れたのかな
アイヌの人々のために邁進したのだろうか…フルウにもまた会えた?気になる
ゴールデンカムイで見た言葉たくさん!アイヌのイメージ掴むのによかった
そしておふでさんが本当に雄々しいお嫁さんで格好良い笑
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徳内の蝦夷への思い、そしてそのいきざまに、心が奪われた1冊でした。没頭しました。
読み終えた今、最上徳内のファンになったような気分です。
この時代に蝦夷へ赴き周遊するのは相当な困難があったと思いますが、アイヌ語の習得など大変な努力と信念、純粋な思いで貫いたその生き方に、今のこの自由な時代に、いろんな所に行きたいのに、私は何をしてるんだろう?なんて気持ちにもなりました。
また、徳内は、素敵な伴侶にも恵まれましたね。
1冊の本の中に引き込まれました。
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最上徳内とアイヌの人々の歴史小説。
徳内がアイヌの文化を尊重しながら交流していた姿がえがかれていて良かった。
蝦夷の厳しい寒さの描写もあり、個人的に寒い雪降る夜に静かに読む本としてピッタリでした。
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本書の帯にて「実在の冒険家・最上徳内」と紹介されているが、冒険譚ではない。
自然の厳しさは無論立ちはだかるが、政治的なやり取りの方がより高い壁であったからだ。
しかし、それらの困難を越え、探求心や良心を貫かんとする徳内の姿には胸をつかれた。
学問とは、未知なるものへの飽くなき探求心から成り立っているのだと痛感した。
我々が学校などで学ぶ事柄も、先人の探求から得た知識の集積だったのだ。
最上徳内も知らず、「歴史って暗記物だから好きになれない」とかぬかしていた学生時代の自分をぶん殴ってやりたい。
読了後、アイヌについてきちんと知りたいという気持ちが沸き上がった。先ずはそこから始めたいと思う。
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+++
直木賞作家の新たな到達点! 江戸時代に九度蝦夷地に渡った実在の冒険家・最上徳内を描いた、壮大な歴史小説。
本当のアイヌの姿を、世に知らしめたい―― 時は江戸中期、老中・田沼意次が実権を握り、改革を進めていた頃。幕府ではロシアの南下に対する備えや交易の促進などを目的に、蝦夷地開発が計画されていた。 出羽国の貧しい農家に生まれながら、算学の才能に恵まれた最上徳内は、師の本多利明の計らいで蝦夷地見分隊に随行する。そこで徳内が目にしたのは厳しくも美しい北の大地と、和人とは異なる文化の中で逞しく生きるアイヌの姿だった。イタクニップ、少年フルウらとの出会いを通して、いつしか徳内の胸にはアイヌへの尊敬と友愛が生まれていく……。 松前藩との確執、幕府の思惑、自然の脅威、様々な困難にぶつかりながら、それでも北の大地へと向かった男を描いた著者渾身の長編小説!
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史実に基づいた歴史物、しかも、題材が江戸中期の蝦夷のアイヌ、ということで、読み始めてすぐは、とっつきにくいのでは、と思ったが、そんなことは全くなかった。幼いころの元治(のちの最上徳内)の健気さと、知識欲の強さはみているだけで頼もしく、応援したくなる。そんな息子を大きな目で見守る父の存在も、とても好ましく、後の徳内の人物形成に大きな影響を与えているのだろうと思える。どこにいても、徳内は人に恵まれ、彼らとの縁をないがしろにしないから、さらに良い縁につながっていくのだろう。、絶えず湧き出す知識欲と、誰もが幸せに生きてほしいと願う真心に突き動かされた一生だったのだろう。読み応えがあり、胸の奥があたたかいもので満たされる一冊だった。
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ついに「時代小説」から「歴史小説」に。しかも満を持してアイヌと北方開拓。それでも西條さんらしい心温まる登場人物たち。たまたまだけどロシアのウクライナ侵攻が重なり、セリフが深く突き刺さる。「国というものは厄介なもの。内乱も外乱も戦が起きるのは必ず国境だ」「優劣の軛をつけることでしか人は安堵を得られないのか。人の業の深さ」「御上の代が替わるだけで手のひらを返すように言質を翻す」「信じようとしない者には、真実も嘘に化ける」「言葉とは本来、気持ちを伝えるもの。意味が分からずとも発することで互いの感情のありようが分かる」しかしアイヌの人たちからすれば、日本はロシアだよ…。
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最上徳内は、生涯で九度も蝦夷に渡海しアイヌ文化を後世に伝えた。
アイヌの人々を知れば知るほど「夷人」と称される不条理に怒りがわいてくる。
道半ばで果てた者たちの志を受け継ぎ、尊敬と友愛を持ち蝦夷地を踏査した。
壮大な歴史小説。
あっというまに読み終えた。
勉強不足で最上徳内さんのことは知らなかったけれど、参考文献も掲載されているから読んでみるのもいいかな。
アイヌのことも深掘りしたい。
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江戸中期,再三に渡り,蝦夷の見分に派遣され,アイヌ民族と親しく交わった最上徳内の波乱の前半生を描いた物語。
最上徳内のことは本書で初めて知った。歴史上こんなに興味深い物語が眠っていたとは(私が無知なだけかもしれないが)。こういうのを掘り起こしてくる西條奈加氏には,今回も脱帽である。読み応え十分だった。
蝦夷から樺太へ渡った人の話では昨年,間宮林蔵の話を読んだが,あんなものではない過酷さと奥深さがある。
しかし,先住民族たるアイヌと日本人との断絶の元凶が松前藩の手前勝手な都合であったとは,まったくもって腹立たしい限りだ。しかも寛政の改革で歴史に名を残す松平定信がかように愚昧であったとはな。寛政の改革の評判が悪かったことは知っているが,それでももう少し賢い人間かと思っていた。江戸幕府の権力構造の欠陥なのであろう。どんなに暗愚であろうと一旦権力を掌握してしまうと,誰も意見することすらできない。それじゃ一旦歯車が噛み合わなくなると破綻するわな。
最上徳内が取り立てられた後に蝦夷でどういうことをしたのか後半生についても俄然興味が湧く。
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なんともわかりにくいタイトルだ。西條さんの著作でなければスルーしてしまったかもしれない。
本書は江戸時代後期に9度に渡り蝦夷を訪れ、各種調査やアイヌ人との交流を行った最上徳内を描いた作品だ。2度の見分隊参加と、その後のアイヌの乱調査がメインだが、為政者のアイヌの人達を蔑んだ対応に怒りを覚えた。徳内達も政治的な力関係に翻弄される。もう少し冒険小説っぽい内容かと思ったが、そこは眼目ではなかった。
タイトルの意味は読めばわかるし、読了後にしみじみと意味を考えた。
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教科書にも出てくる蝦夷探検家・最上徳内の前半生を描いた物語です。
出羽の百姓の子に生まれ、学問好きが高じて江戸に登り、経世家的蘭学者・本多利明の内弟子となった徳内が、本多の代理として幕府の蝦夷地見分隊に小物として参加し、様々な労苦を重ねながら遂には士分の取り上げられるまでが描かれます。徳内は全部で9回蝦夷地に赴きますが、そのうちの最初の三回、近藤重蔵と共に建てた有名な「大日本恵登呂府」の標柱よりも前の話です。
蝦夷地開発を目指した田沼意次と松平定信の政争を背景に、アイヌを搾取する松前藩と見分隊の軋轢が描かれます。善は善、悪は悪と白黒が明快で、善の中に潜む悪と言ったグレーのグラデーションは感じられません。かといってあからさまな勧善懲悪でもなく、白と黒が上手く編み込まれ、やや深みに欠けるきらいはありますが、そのぶん頭に入って来やすく読みやすい。
朴訥で誠実な徳内とアイヌの人々との友情を主題にした非常に気持ち良い歴史長編小説でした。
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天明5年2月(1785年)田沼意次肝煎の蝦夷地見分隊はロシアに対する海防と開拓の調査のため、江戸を立つ。その一員に加わった最上徳内は厚岸(アッケシ)到着後、アイヌの少年フルウと出会う。蝦夷での交易を独占する松前藩はアイヌを搾取する実態を知られないよう、見分隊の行動を監視し、徳内とアイヌの接触を禁じる。
田沼意次の失脚、松前藩との確執等の困難の中、アイヌとの信頼と友情を貫き通す徳内の生涯が描かれる。
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江戸中期、蝦夷と呼ばれていた北海道に渡り、アイヌ文化を後世に伝えた最上徳内の半生記。ほんとに前半生しか描かれていないので(晩年もチラと触れられてはいますが)、これこそ大河ドラマでじっくり見てみたいなぁと思うわけです。上下2巻でもいいから後半生も読んでみたい!にしても、「里芋に黒豆の目を付けたような顔」て…キャスティングが難しいかしら(笑)近年、アイヌ文化を見直す機運も高まってると思うので、ぜひ映像化して欲しいです。⭐4.5
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文章が読みやすくて好きな作家さん。
本人も勿論だけれど、周りの人がみんな優しくて、美しい世界だなと思った。
『熱源』のときもアイヌ調べたけど、今回もちゃんと調べたくなる。『天地明察』思い出して読みたくなった。