電子書籍
仲田&真壁
2022/12/11 23:53
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
おなじみのシリーズです。今回も、タイムリーな時事問題、コロナ禍ですが…。いくらなんでも、部屋に一人匿ったら絶対、わかるだろ……トイレも行かないといけないし……と、色々言いたくなりました。
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小5の咲陽は父親が帰ってこないと言うクラスメイトの小夜子を部屋に匿うことにした。だが、咲陽の母は開業医の小児科の看護師で仕事が激減、父もレストランオーナーだがコロナで仕事が減り、従業員も解雇せざるを得ない状態。そんな両親を見て、小夜子を家に一緒に住まわせたいなどと言い出せなくなり、部屋のクローゼットに極秘で住まわせる事に。だが、小夜子の父が殺人犯かもしれないと疑われ、子供ながらに捜査し始める…
良くも悪くもお嬢さんな咲陽。母の「困った人を助けよう」と言う言葉に感化され、小夜子に同情心を抱くけれど、傍若無人な態度に少しずつ苛立ち始めるのは判る気がします。
コロナの所為で咲陽の家も険悪になっていくのが凄くリアルでした。
ラブホテルで亡くなった夏帆と小夜子の父との関係、そしてそれを追い詰めていく神奈川県警コンビの仲田と真壁。咲陽も小夜子を救いたくて必死に動くけれど、それでも子供のやる事には限界があって。
全てはコロナの所為で狂い始める人生感。殺された夏帆にも事情があり、貧困層の小夜子親子。
小夜子の強かさにはビックリでした。でも、納得する部分もありました。貧困層から見れば、咲陽のお嬢さん的偽善は腹が立つだろうなぁ、と。それでも、ラストは救いがあってホッとしました。
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【〈仲田・真壁コンビ〉が活躍する社会派ミステリー第3弾!】同級生を部屋に匿うことにした少女。あなたのお父さんは殺人犯なの――? ネグレクト、貧困、そしてコロナ禍が少女達を追い詰める。
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この作品は一言で言えば3年前から流行中の新型コロナによって生まれた貧困による弱者についてと、二人の小学5年生の少女の友情の話だと思います。
神奈川県の登戸に住む小学5年生の上坂咲陽(さよ)は自宅の二階の部屋に同級生で皆に嫌われている、野原小夜子をいれてあげます。
小夜子はコロナの陰性証明書を持っていて、父親の虎生がいない間、1週間だけここに置いて欲しいといいます。
咲陽は母で看護師の百合香が「家は恵まれているんだから困っている人がいたらなにかしてあげないとね」と言った言葉を思い出して、父母に内緒で小夜子を匿うことにします。
小夜子の家庭は父の虎生だけで、虎生は警備員の仕事をクビになった貧困家庭でした。
そして、咲陽の父の経営するイタリアンレストランの料理をおいしそうに無邪気に食べる小夜子ですが、今、町田市で起き、ニュースになっている、鈴木夏帆という若い女性が殺された事件の犯人が虎生であるかもしれないと咲陽は思い始めます。
夏帆の殺害現場に落ちていたという珍しい飴を訪ねてきた刑事の真壁に見せられ、咲陽は小夜子が好きな飴と同一のものであるのを知りますが、警察から小夜子を最後まで守ろうとします。
新型コロナの流行により、登場人物たちの職がなくなり、貧困に陥っていく状態がこれでもかという程、非情に訴えられています。
一体、いつになったら収束するのかわからないコロナ。
今年の大型連休は何の制限もなくなり、普通に過ごしてくださいということで、交通機関、観光地、宿泊施設などにお勤めの方は少しは安心されたのではないでしょうか。
でも、コロナは収束したわけではなく、これからは経済中心で、ウィズコロナの時代になっていくのでしょうか。
なお、この作品には作者の天祢涼さんの前作に登場した刑事の真壁や仲田が再登場します。
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シリーズの中では、終盤にワクワクするような起伏はなく落ち着いてた。
一部イヤミスかと思わせる内容はちょっとゾクっとした。
咲陽の精神的ダメージが、とんでもない事になってて辛過ぎる。
ぬるっと事件が済まされたりして、ちょっと読みにくさを感じたり、読み終わった後も、少し納得いかない点はあった。
やっぱりシリーズの1作目「希望が死んだ夜に」を超えることは出来なかったなと少し残念だった。
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『希望が死んだ夜に』『あの子の殺人計画』につづく第三弾。このシリーズ、装丁もいいよね。
そして今回も仲田&真鍋コンビの「想像」が救いの光をもたらした。
貧困や虐待に傷つき苦しむ子どもたちを描き続ける天祢涼の最新作はコロナで追い詰められた家族の物語。
小学五年生の咲陽、恵まれない同級生小夜子を自宅にかくまうが彼女の父親は殺人犯かも知れず…という小学五年生にはハードな状況。いくつかのひっかかりを乗り越えていくたびに舞台はひっくり返る。
幼い心の、その奥にある深い思いを仲田&真鍋コンビが掬いあげる。
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小学5年生の咲陽は、クラスから疎まれている同級生の小夜子が困っているのを見て、自分の部屋を誘おうとした。小夜子は、父親が仕事で帰ってこず、一人だった。そんな小夜子を、咲陽は困っている人を何とか助けたいという思いで招いたものの、コロナ禍ということもあり、母親からは拒否された。でも、助けたい思いが勝り、匿うことにした。
そんな時、家に警察がやってきた。殺人事件の参考人として、小夜子の父親を探しているだけでなく、小夜子の行方も気にしていた。本当に小夜子の父親は殺人を犯したのか?
「仲田・真壁」刑事シリーズの第3作品目で、今回も子供の虐待や貧困に関する話題を取り上げています。
コロナによって人生を狂わされた人達。貧困や差別など現実とリンクする部分もあって心が痛かったです。
昔のように普通に子供と遊んだり、人を招いたりといったことが出来づらい状況の中、咲陽の助けたい一心での行動が印象的でした。
なぜ警察が頻繁にくるのか?そんなにしつこいのか?
咲陽の視点だけでなく、真壁の視点も登場するので、裏側ではどんなことが繰り広げられていたのかといった楽しみ方もできて色々楽しめました。
今までのシリーズの中では、あまり衝撃的ではなく、シンプルに話が進行していきます。今までの作品で驚きがあった分、それを期待していたのですが、割と素直に進むので、ちょっとモヤモヤ感はありました。
それにしても、仲田刑事の感性は凄かったです。小さな疑問点など色々な所にアンテナを張っているのですが、あまり活躍ぶりが見られなかったので、ちょっと残念感はありました。
本作品のテーマであるコロナによる貧困や子供の虐待。目を背けてしまいますが、どうしたら良い方向へ迎えるのか?自分だけで解決していくのではなく、周りの協力も必要だなと改めて感じました。
結果的に咲陽が体験する出来事は、小学生にとって辛い現実でしたが、段々と信念が強くなっていく姿にホッとした気持ちになりました。絶対良い大人になると思います。
とにかく小夜子の腹黒さには、憤りを感じずにはいられませんでした。
もしもコロナが存在していなかったら、みんなどんな道を歩んでいたのか?そう思うと、ただただ悲しかったです。
早くコロナが終わって欲しいと思いました。
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貧困とミステリーを扱った〈仲田・真壁〉の刑事コンビシリーズ第3弾。
今までの2冊ともおもしろかったけど、今回もおもしろかった。
今回のテーマは「コロナと貧困」。
読んでいくうちに今回は普通の殺人事件の小説かと思いきや急に驚かされる。
主人公咲陽のコロナ感染。
コロナ禍舞台で両親がコロナにより生活が厳しいという描写が何度もありながら、小説に入り込んでいて誰かが感染するなんて思いもよらなかった。
小夜子を必死に庇ってきた咲陽が感染してしまう展開に、驚きと同時に読んでて泣きそうになるくらいの悲しさを感じる。
ここで“コロナ”がタイトルの『陽だまりに至る病』なんだなってなる。
最後の最後で小夜子が咲陽に“陽だまり”を感じたと話す。
最初は咲陽のことが嫌いだったが一緒に暮らすうちに気持ちが変わっていった小夜子。
タイトルの『陽だまりに至る病』は個人的にはこっちの小夜子が咲陽に感じた気持ちなんだと思った。
読者は神視点で全てわかって読んでいるため、上手くいかないもどかしさを感じながら話は進んでいく。
また、しっかりした小学五年生とはいえ、小学生ということでなかなか考えが甘い行動が多い。
ただ大人ではなく小学生同士の咲陽と小夜子だったからこそ生まれた友情、“陽だまり”だったと咲陽も気づく。
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仲田、真壁刑事の第三弾。
話は前半の小学生の部分より、後半の、その殺人事件の内容の方が、重要で、今の社会に対して、訴えかけている部分であると思う。
コロナ禍においての貧困問題。
そして真壁の章の方が面白かった。
殺された女性は、どこにでもいる普通の大学生だったと思う。
しかしコロナ禍で世の中ぎが急変して、生きていくのが苦しくなってしまった。
小学5年生の咲陽が友達ではないクラスメイトを親に内緒で、こっそり何日もかくまう。
食事とか、話し声とか、親にバレているのでは?と思ったが、親は鈍感すぎる。
小夜子のお父さんは、事件に関わっているのでは?と探偵まがいのことをする咲陽。
しかし、結局何もできないまま。
警察の捜査、コロナ禍で、人相が分かりにくく大変そう。聞き取りにしてもモンタージュにしても、カメラからの割り出しにしても、確かに、今のマスク生活は、警察の捜査大きな影響があるのだと改めて感じた。
仲田蛍さんの推理が素晴らしい。
捜査のやり方が丁寧で一流。
被害者の夏帆が、救いの声を上げづらかった地元の町の雰囲気、生活保護を申請しづらい風潮、勉強したいが高い学費を払わないと通えない大学、身体遠売らざるをえない女性にたかる人々、どれも前からあったことだが、それらが絡み最悪の結果に。
大学生の娘がピンチなのにすくえなかった父親の責任ではない。が、死んでしまってからでは遅い。
悔やみきれない。
キーポイントのだいわ飴が気になる。
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コロナ禍での負の連鎖。それは大人だけでなく子供にも伸し掛かる。小夜子の図々しさには辟易したが、咲陽の影響もあり打ち解けてゆく。貧困、ネグレクト…小夜子の強がりな寂しさが哀しかった。
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「コロナと貧困」をテーマにした社会派ミステリ。まったくもって現実の世の中の暗い側面が浮き彫りにされてしまっていて、読むのがつらい面もあるのですが。つらいばかりではない、と信じたいです。タイトルの「病」は悪くないかな。これは救いにも思えるかも。
貧困家庭の同級生・小夜子を家に匿うことになった咲陽。それまでは特に親しかったわけでないにもかかわらず、「自分は恵まれているから」と貧困家庭の子に手を差し伸べようとする咲陽の姿は、口さがない人からすれば偽善でしかないのでしょうね。そもそも親がかりの子供が自分で何かした気になって、などと思ってしまいそうですが。実際そうであったとしても、これだけのことをできる人がどれほどいるの? 咲陽のことを微笑ましく思える一方で、大丈夫なのかな、と不安な気持ちがいっぱいでした。いい子なんだけれど、世間のことを知らなすぎじゃない?
それでも咲陽がさまざまなことに気づき、それがつらいことであってもきっちりと受け止めて立ち上がろうとする姿には力づけられました。そして事件に関わる大人たちの情けなさを見るにつれ、悲しくなるのですが。この責任を彼らだけのせいにするのは、やっぱり違うんだよねえ。それぞれに悪いところはあるけれどそればっかりでもないし。憎むべきはコロナか、本当に。
今回出番はそれほど多くないけれど、仲田の温かさにはほっこりさせられました。が、大丈夫なんでしょうか彼女……たしかに心配になります。
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コロナは色々なことを変えてしまう。コロナが原因となった自殺もあるだろう。でも、一概にコロナだけのせいにできるのだろうか。
さて、本作も仲田・真壁の刑事コンビが活躍する。
小学5年生の咲陽は、同級生の小夜子の様子がおかしいのを目にする。居ても立っても居られなくなった咲陽は、小夜子のアパートまで行き、父親がしばらく不在になると知ると、家においでと声をかける。
世間はコロナ禍。なるべく友達とも接しないように言われた咲陽は、自分の部屋に小夜子を匿うようになる。やがて、小夜子の父親が巷を賑わしている町田の事件の犯人ではないかと疑いを持つようになった頃、咲陽の元に刑事がやって来る・・・。
相変わらず子どもの心理描写が上手く、また仲田の影響を受けて徐々に変わりつつある真壁の存在も魅力を増してきた。
さて、まだまだ続くこのコロナ禍。どう過ごしていくかは自分次第。withコロナ。コロナだからといって諦めるのではなく、日々楽しく過ごしていけるようにしたい。
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コロナと貧困の陰に起こったミステリー。
小学5年の咲陽は、裏のアパートに住む同級生の小夜子が、父が仕事で帰ってこないから知り合いのおばさんのところへ行くというのを聞き、家へ連れて帰る。
コロナ禍で友だちと遊ぶのも気にしている母には言えずに内緒で自分の部屋で匿うことにした。
小夜子の父が、近くで起こった殺人事件の犯人で逃げていることを知ったとき…
父のお店もコロナの影響を受け時短になり、母の勤めている病院も患者が減り仕事に行かずに家にいることになると匿うことも難しくなり…
亡くなった女性が、コロナ禍でバイトもなく、家賃も払えず、大学も辞め、風俗に勤めるが、毎日が苦しい状況だった。
そして真実がわかったとき…
なんともやるせない気持ちである。
すべてがコロナのせいなのか…
親の仕事が無いと、子どもにも影響を与えてしまう。
昨日まで、普通に暮らしていたのに…
いつのまにか、という。
今もなお、辛く苦しい思いで生活している人たちは、たくさんいるだろう。
どうにもならないものなのか。
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仲田シリーズ第3作品目
『希望が死んだ夜に』『あの子の殺人計画』と順番に読了済です。
相変わらず、子どもを描くのが上手。
大人とは違う、冷静な判断が出来ない感というのだろうか…子どもに特徴的な思い込みが強い感じを上手く表現していると思う。
本作も、主人公である咲陽(さよ)が「恵まれている自分は恵まれていない人を助けないと!」という盲目的な正義感から始まる。
しかしそれだけでなく、その後に揺れ動く咲陽の心理が繊細に表現されていて、読みながら情景を想像できた。
そして『陽だまりに至る病』というタイトル。
その意味がわかったときは涙が溢れました。
しかし、
・コロナ禍という社会情勢を盛り込まれていることで、読みながら自身が実際に経験したことを思い出して心が辛くなった。
・最後の最後のおかげで、読後感は何とか「良い」まで持ち上げられたが、ギリギリまで胸糞悪い展開だった。
・前作、前前作と比べると結末に衝撃は少なかった。
という三点から、今作は★4で評価する。
次回作あるのかな?
出たら是非次回作も読んでみたいと思いました。
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2022/06/20 読了。
図書館から。
コロナ禍の社会的問題がそこここにあって日常を覆っていたぬるい何かを剥いでいったような。
前作2作より分かりやすく読みやすいけど、
コロナが無かったら生まれなかった
物語なのかもしれないと思うと複雑。
願わくば、咲陽と小夜子が安心して過ごせる未来があってくれれば嬉しい。
仲田さんの「信じられる子を信じて任せる」…彼女の心が折れないような社会であって欲しい。