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天使の傷 下
元警視の死亡に関連して新たな殺人が発生し、サイラスは施設で暮らすイーヴィを訪ねることに。捜査資料に遺された児童連続殺害事件の被害者の名前にイーヴィは激しく反応し、その凄絶...
天使の傷 下
天使の傷 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
商品説明
元警視の死亡に関連して新たな殺人が発生し、サイラスは施設で暮らすイーヴィを訪ねることに。捜査資料に遺された児童連続殺害事件の被害者の名前にイーヴィは激しく反応し、その凄絶な過去を回想する。誰も知らない、ほんとうの話を――イーヴィの出自の秘密と数多くの殺人事件。隠された全貌をサイラスは暴くことができるのか。二作連続で英国推理作家協会賞受賞の快挙を達成した〈サイラス&イーヴィ〉シリーズ第二弾
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天使のこの先。
2022/06/30 00:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
きっとよくなる。何もかも大丈夫。わたしがそばにいる。
これらを世界の三大嘘っぱちと呼ぶイーヴィは、そう結論付けざるを得ないほどの過酷な経験をしてきた。
想像を絶する状況をたった一人きりで生き抜いてきた彼女は強くもあり美しくもあるが、それらは悲しさと痛ましさの上に成り立っている。
涙はとっくに枯れてしまい、後に残ったのは、こうなるって言ったのに。という諦観だけ。
そんな彼女に対してサイラスは一体何ができるだろう。
確かにサイラス自身も想像を絶する過去を抱えている。
そしてそのことをイーヴィも知っている。
しかし、互いの傷を知っていることと互いの傷が癒えることは同義ではない。
また、イーヴィは嘘を見抜ける能力を持ってしまったことで、常に意地が悪く粗削りで卑劣な正直さに晒されてしまう。
常に真実を突きつけられるということは、思いやりや敬意を得る機会がほとんどなくなるということに他ならない。
それほどまでに真実や正直さというものは鋭利で、遠慮なく私たちを傷つけていく。
それでも彼女にはサイラスとポピーがいる。
彼らと居ようとも傷は癒えず、残酷な真実に打ちのめされるかもしれない。
しかし同時に彼らと共に居ることにより、ふとした瞬間に幸せや平穏さを感じられるようになるかもしれない。
彼女の心に平穏さが灯るまで是非とも見届けていきたい。