電子書籍
ライオンとネズミ
うっかりもののネズミの命をライオンがたすけてあげました。それからしばらくしたある日、ライオンが人間につかまってしまいます。すると、あのネズミがあらわれ……。
ライオンとネズミ
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
ライオンとネズミ (イソップえほん)
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
あったかい「ライオンとネズミ」
2009/11/04 14:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
イソップえほんシリーズ、「ライオンとネズミ」の画家は西村敏雄さん。『バルバルさん』『もりのおふろ』(福音館書店)など、ほのぼのしたあたたかい味が魅力の画家だ。蜂飼耳さんの再話によるこの作品でもその味は十二分に活かされている。
「ライオンとネズミ」では、小さいと馬鹿にしていたネズミに、大きなライオンが助けられる。弱者が強者を助けることもあると、弱者を励まし、強者も弱者に助けられることがあると、強者の慢心を戒める寓話だ。
この作品は、弱者強者の単なる力関係にとどまらず、そこを超越したあたたかさが漂う。ストーリーは変わらない。だが、ネズミがライオンを助けた後の文に、たがいを理解し心がつながったふたりの喜びや安らぎが感じられ、ほわっとあたたかくて、嬉しくなるのだ。この後半の文は蜂飼耳さんが原話をふくらませて書いたのだろう。
そうしたあたたかみが、西村敏雄さんのぬくもりとユーモアのある絵により、いっそう増している。最終ページの絵をながめおわれば、満ちたりた気持ちで絵本をとじることができる。こんなあったかい「ライオンとネズミ」は、わたしは初めて読んだ。
ところでライオンを捕えるのは3人のひげ面の人間で、三者三様の特色のある顔に描きわけられている。そのうちのひとりは銃をもっているのだが、その男だけが、ライオンが逃げようとしているとき、汗をかいている。ほかのふたりも、慌てて悔しがってはいるが汗はかいていない。銃を抱えた男だけが口をへの字に結び、汗をかいて苦しそうな顔をしているのだ。銃でしとめることもできるのだが、おじけついているのか、それともライオンを殺したくなくてためらっているのか、ただ汗かきだけなのかと気になる。三人の人間のサイドストーリーがありそうだ。