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電子書籍

イソップえほん〈第1・2期〉

著者 文 蜂飼耳,絵 かわかみたかこ,絵 さこももみ,絵 杉崎貴史,絵 水沢そら,絵 宇野亜喜良,絵 山福朱実,絵 たしろちさと,絵 西村敏雄,絵 今井彩乃,絵 ささめやゆき

中原中也賞などを受賞した現代詩人最大の注目株、蜂飼耳による新しいイソップ絵本シリーズ。古典中の古典を最先端をゆく言葉の使い手が、みずみずしく優しい語り口で再現。日本人離れした感性を持つ5人の画家とともに、おなじみのイソップ童話に新しい息吹きをもたらします。

オオカミがきた

税込 1,320 12pt

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紙の本ウサギとカメ

2010/03/20 06:44

ほのぼの系「ウサギとカメ」

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 蜂飼耳さんの文による岩崎書店の「イソップシリーズ」の4作目。

 わたしの知っているおはなしとストーリーはほぼ同じだけれど、印象が違う。
 まずウサギとカメのイメージが――特にウサギが違う。わたしの頭にあるウサギは、足が速いのを鼻にかけて、足の遅いカメをからかう嫌なやつだ。それに、じゃあ競争しようといいかえすカメは、かなり負けん気が強い。

 ところが、たしろちさとさんの描いたウサギは、赤いチーフを首に巻いて、とってもかわいらしい。くるりとした目、穏やかなそうな口元の表情は、カメを馬鹿にしているようには見えない。
 
   「ねえ ねえ かけっこして
   どっちがはやいか たしかめようよ。
   ぼく まけないぞ」

 セリフも無邪気だ。ただの遊びで、友だちをかけっこに誘っているように見える。

 カメも、

   「そうだねえ じゃあ きょうそうしてみようかあ。
   ぼくだってまけないよお」

と、のんびりした素直な受け答えだ。

 さて、カメを引き離したウサギは、かけっこの途中ににんじん畑でみつけて一休み。にんじんをぼりぼり食べて満腹になり、周知のとおり、眠ってしまう。油断したというより、大好きなにんじんを見て、うっかり競争を忘れて、食い気に走ったという感じだ。にんじんを抱えて眠りこけるウサギのなんとも気持ちよさそうで幸せそうなこと! 天使みたいな寝顔だ。このウサギはぜったいに憎めない。
 その横をカメがのっそりと通り過ぎていく(この場面をわたしは、この作品を読むまで想像したことがなかった)。勝敗にこだわるカメなら、「よし! これでぼくの勝ちだ」ぐらい考えるだろう。だが、このカメは、笑っちゃうぐらいのほほんとしていて、どうしてこんなところで寝ているんだろうと不思議がる。

 こんな、うっかり、のほほんのふたりだから、勝敗が決まったあとも、いたって穏やかだ。ウサギは負けても屈託ないし、カメは勝った勝ったと大騒ぎしない。ふたりは相変わらず、いや、ますます仲のよい友だちだ。


わたしの頭の中では、「ウサギとカメ」は、ウサギに嘲笑されていたカメが、レースに勝ってウサギを見返し、それが痛快なおはなしだった。だがこの作品では、痛快さより、ほのぼのしたあたたかさが感じられる。

 読み終わって、うーん、こんなに違っていいのだろうかと、考えこんでしまった。

 そこで、岩波少年文庫の『イソップのお話』(河野与一編訳)の「ウサギとカメ」(P25、26)を読んでみた(あとがきによると、この本は学問上すぐれたテキストを用いてギリシャ語から翻訳しているという)。
 するとまた、わたしの抱いてきたイメージとすこし違っていた。確かにウサギはカメの足の遅いのをばかにして笑うが、そのことはさらっと書いてあるだけだ。最後は「決勝点まできてみると、カメのほうが勝っていました。」と、あっさり終わる。そして、「生まれつきはよくても、いいかげんにやっていてだめになる人はたくさんいますが、まじめで熱心でしんぼうづよい人は、生まれつきすばしこいものに勝つことがあります。」と、教訓が続く。
 カメがウサギに馬鹿にされて悔しい、とか、ウサギに勝って、へへーん、どんなもんだい! とかいう感情の部分はなくて、事実だけを述べている。おそらく、わたしの頭にあった「ウサギとカメ」は、さまざまな絵本や本、童謡などを通して、自分のイメージを作りあげてきたのだろう。
 それに、この寓話は嘲笑を戒めるものではない。才能に恵まれているくせにいい加減なもの、逆に才能に恵まれなくてもまじめで粘り強いもの、両者を対比させて、両者にメッセージを送っている。

 それでは、「ウサギとカメ」に先入観のない小さな人たちはこの作品をどう読むだろう。
 ウサギの方がはやいのはわかっているから、ウサギが勝つよと、はじめは思うかもしれない。それなのに眠ってしまったウサギに「だめだよ、ねていちゃ」とはらはらし、「のおろり てくてく」走り続けるカメに、がんばれーと声援を送るだろう。そして、終わりがけの謙虚な一文、

   カメは ちょっと じしんが つきました。

で、カメに共感し、誇らしい気持ちになるだろう。
 一方で、ウサギの無邪気な姿がとても魅力的に描かれているから、ウサギのしくじりも心に強く残るだろう。

 それなら、こんなほのぼのした「ウサギとカメ」もあってもいい。

 さて、このウサギとカメがもう一度かけっこしたらどうなるだろう? ウサギは反省して最後までしっかり走れるだろうか? いや、このウサギなら、また何か誘惑に誘われて、負けちゃうんじゃないかな? でも、そんなウサギがわたしは好きだ。

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紙の本いなかのネズミとまちのネズミ

2009/11/04 14:11

才能ある絵本作家の日本デビュー作

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 絵本の作家紹介によれば、画家の今井彩乃さんは、ボローニャ国際原画展で2003年から5度も入選されていて、海外では出版されているのに、日本では、この作品がデビュー作という。繊細なタッチ、やさしい色使い、効果的な構図、そして背景や小道具など隅々までゆきとどいている。

 原話はよく知られたイソップ寓話だ。田舎のネズミが家に、町のネズミを招待するところからはじまる。
 田舎のネズミの家には、切り株のテーブルがあり、そのまわりをシロツメグサやナズナなどの雑草が囲んでいる。さわやかな緑の風が吹いていそうだ。町のネズミは木の実をふるまわれて、ちょっとかじり、目をつりあげて舌をだしている。いかにもまずそうな表情が面白い。
 田舎のネズミは町のネズミにつれられて町へ。通ったのはきっと路地裏だろう。洗濯物がぶらさがり、空き瓶がころがり、配水管からは水がたれている。オオバコがはえているけれど、なんだか妙に白っぽい。背景は白っぽいグレーで、寂寞とした印象を与える。
 ネズミたちを脅かす人間の描き方は、とくに見事だ。人間は、あいたドアからもれる光に浮かびあがるシルエットと、ネズミたちの目の高さから見上げた巨大な2本の脚で描かれる。びくっと震え上がるネズミたちの鼓動が聞こえてきそうだ。そしてテーブルに並ぶ食べ物はおいしそうで美しいが、どこか毒々しい。
 2匹のネズミが別れる場面では、町と田舎を、見開きの1ページで巧みに描き分けている。左側は先がグレーの道。高い家や煙突の並ぶ町にむかう。右側は先が茶色の道。木々が立ちならび鳥が飛ぶ田舎へと向う。町への道の脇には鉄製のフェンスがたち、田舎への道の脇には白木のフェンスが続いて、野原に小さな花がひっそり咲いている。町のネズミと田舎のネズミは、それぞれ自分の選んだ道を確かな足取りで歩いていくように見える。町と田舎、どちらがいいかはそれぞれだけれど、選んだ道が正しいと確信できる。
 ラストのページは、田舎のネズミが家に帰りついて一休みしている場面で終わる。穏やかな田舎のネズミの表情に読むものもほっと安堵感を感じる。

 一見かわいいけれど、シビアな現実がきっちり描かれている。そしてなにより、独特の雰囲気がある。こんな素敵な絵本作家がどうして今まで日本で紹介されなかったのか不思議だ。今作に続いてどんどん紹介されることを期待する。

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紙の本きたかぜとたいよう

2012/03/16 00:59

迫力のある「きたかぜとたいよう」の新たな秀逸絵本

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

 久しぶりにイソップ物語のすてきな絵本に出会いました。
 既刊の絵本の中では、ブライアン・ワイルドスミスの絵による『きたかぜとたいよう』(らくだ出版)やバーナデット・ワッツの絵による『きたかぜとたいよう イソップ童話』(西村書店)を選んで子ども達に読み語りをしましたが、本書には、それらとは異なる魅力があります。その魅力とは、各ページに漲る勢い。各場面に登場する「きたかぜ」も「たいよう」も「たびびと」もそれぞれが絵本のページから飛び出してきそう。版木を彫って直に着彩する木彫画で描かれた、実に迫力のあるイラストです。

 紀元前600年頃の人物とされるイソップの物語は、様々な文化圏に広がり、地域や言語、人種の違いを超えて、全世界で愛読されています。幼い子ども達にもわかりやすいシンプルなストーリーと貴重な教訓が込められていることが魅力。日本では、16世紀の末にイエズス会の宣教師により『イソポのハブラス』として紹介され、明治時代に入って修身の教科書に取り入れらた位、古くから親しまれていますので、タイトルを言えば、すぐにそのストーリーが思い出されるのではないでしょうか。

 「きたかぜとたいよう」は読むたびに、反省を促され、何度読んでも、あたたかく心に響き、心に痛い物語です。ついつい、いつの間にか、「きたかぜ」のような考え方をしてしまいがち。家族における親子関係や夫婦関係、職場の上司と部下、教育現場での教師と生徒、友人関係など、幼い子どもから老人に至るまであらゆる年代にとっての教訓、人生訓となりうる物語ではないかと思います。

 本書は、蜂飼耳(詩人・小説家・エッセイスト)の再話により、岩崎書店から刊行されたシリーズイソップ絵本の最終巻です。『オオカミがきた』(ささめやゆき・絵)、『いなかのネズミとまちのネズミ』(今井彩乃・絵)、『ライオンとネズミ』(西村敏雄・絵)、『ウサギとカメ』(たしろちさと・絵)に続いて刊行されました。イソップの物語の中から5つの寓話を厳選し、新進気鋭の語り手と最先端のイラストレーターを起用した岩崎書店の企画を高く評価し、「きたかぜとたいよう」の新たな秀逸絵本として、本書をお薦めします。

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紙の本ライオンとネズミ

2009/11/04 14:24

あったかい「ライオンとネズミ」

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 イソップえほんシリーズ、「ライオンとネズミ」の画家は西村敏雄さん。『バルバルさん』『もりのおふろ』(福音館書店)など、ほのぼのしたあたたかい味が魅力の画家だ。蜂飼耳さんの再話によるこの作品でもその味は十二分に活かされている。

 「ライオンとネズミ」では、小さいと馬鹿にしていたネズミに、大きなライオンが助けられる。弱者が強者を助けることもあると、弱者を励まし、強者も弱者に助けられることがあると、強者の慢心を戒める寓話だ。
 この作品は、弱者強者の単なる力関係にとどまらず、そこを超越したあたたかさが漂う。ストーリーは変わらない。だが、ネズミがライオンを助けた後の文に、たがいを理解し心がつながったふたりの喜びや安らぎが感じられ、ほわっとあたたかくて、嬉しくなるのだ。この後半の文は蜂飼耳さんが原話をふくらませて書いたのだろう。
 そうしたあたたかみが、西村敏雄さんのぬくもりとユーモアのある絵により、いっそう増している。最終ページの絵をながめおわれば、満ちたりた気持ちで絵本をとじることができる。こんなあったかい「ライオンとネズミ」は、わたしは初めて読んだ。

 ところでライオンを捕えるのは3人のひげ面の人間で、三者三様の特色のある顔に描きわけられている。そのうちのひとりは銃をもっているのだが、その男だけが、ライオンが逃げようとしているとき、汗をかいている。ほかのふたりも、慌てて悔しがってはいるが汗はかいていない。銃を抱えた男だけが口をへの字に結び、汗をかいて苦しそうな顔をしているのだ。銃でしとめることもできるのだが、おじけついているのか、それともライオンを殺したくなくてためらっているのか、ただ汗かきだけなのかと気になる。三人の人間のサイドストーリーがありそうだ。

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紙の本いなかのネズミとまちのネズミ

2016/04/04 20:48

現代人に通じるお話

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:honyomi - この投稿者のレビュー一覧を見る

いなかのネズミとまちのネズミ、
それぞれがお互いを食事に招待します。
いなかはのどかですが、食事が今ひとつ、
まちは食事は豪華ですが、人間の影に怯えながらの生活。
どちらも一長一短で、今の暮らしに通じるものがあります。

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紙の本オオカミがきた

2009/10/28 18:19

今の時代からみたオオカミ少年

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のはら そらこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 イソップ寓話のオオカミ少年のお話は、よく知られている。そう、羊飼いの少年がオオカミが来た!と、くりかえしうそをついたので、いよいよ本当にオオカミが来たとき、誰にも信じてもらえなかった、という話だ。「だから、うそはついてはいけません」と、大人は子どもを諭してきた。

 さて、蜂飼耳さんが再話し、ささめやゆきさんが絵を描いたこの絵本でも、男の子がうそをつき、3度目にうそをついたときには信じてもらえない、というストーリーは変わらない。だが読後「だから、うそはついてはいけません」と、教訓を垂れる気にはならない。なぜなら、ラストで男の子があまりにも哀れだから。

 草しかはえていない広い野で、男の子はたったひとり、羊の番をしていた。羊はめええ、めええとなくばかり。男の子は退屈でたまらない。ほんのいたずらに「オオカミが来た」とさけんでみたら、村人たちがびっくりして、みんなでかけつけてきた。とても、面白かった。そして、(絵本の文にはないけれど)たぶん、嬉しかった。

 男の子は、気にかけてもらいたかった。人と話したかった。さびしかったのだ。だから、人に注目されることをいってみた。けれど、一度集まってきた人々もすぐに去っていってしまう。だから寂しくて同じ狂言をくりかえし、とうとう大切な羊を失ってしまう。
 もし村人の誰かが、男の子の虚言癖を真剣に心配してくれたら、あるいは、男の子の寂しさに気づいて、いっしょに番をしようといってくれたら、こんな悲劇はおこらなかったのに……。男の子のうそを責めるよりむしろ、人の情に恵まれなかった男の子をわたしは可愛そうに思うのだ。

 それというのも、文が男の子の視点で書かれているからだろう。絵も男の子を常にクローズアップして表現豊かに描かれている。大人の側からでなく、男の子つまり子どもの側から描かれているのだ。

 さて、この先は私の深読みだが、男の子は、現代の、自己の存在感が薄くなっている孤独な若者にも重なって見える。自己の存在感を確認したくて、男の子は注目されることをしたのだ。
 もしこの男の子が、青い空の下、広々とした野で羊の番をすることが楽しいと感じていたら、そういう自分を誇らしく感じて満足していたら、こんな悲しい狂言を演じることはなかっただろう。また、孤独を感じていても、自分を偽らないで素直に「誰かといっしょにいたい!」と叫んでいたら、救われただろう。個人を尊重する今の時代だから、「自分にうそをついてはいけません」と教訓をつけてもいいかもしれない。

 イソップ寓話は、ものすごい昔、紀元前の時代のものだ。現代の作家が描き、現代人が読めば、同じお話の内に、違うものが見えても不思議はない。蜂飼耳さんのイソップ絵本は全5巻。ほかのおはなしも現代の目で見直してみよう。



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紙の本いなかのネズミとまちのネズミ

2010/07/14 19:34

イソップさんの考え

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

いなかのネズミとまちのネズミ イソップえほん 蜂飼耳 今井彩乃

 わたしがこの物語をはじめて読んだのは、8歳ぐらいのときでした。いなかのねずみととかいのねずみというタイトルで覚えています。都会ではなく、町が正しいようです。また、8歳のとき、舞台は日本という設定で理解しましたが、この本ではイギリスの風景です。
 赤いネズミがいなかのネズミ、黒いネズミがまちのネズミです。いなかは粗食(収入が少ない)、まちは美食(収入が多い)、人間社会のありようについて、ネズミをとおして擬人化してあります。年収が少なくても気楽な生活がいいのか、(逃げ回るのに)忙しくても豪華な生活がいいのかという対比の面があります。長い人生を通して、どちらか一方の暮らし方をするということは少ない。若い頃はまちに出たい。老齢になってくると田舎暮らしをしたいということもあります。
 いなかのネズミにしてもまちのネズミにしても、世界が狭いということに変わりはありません。このふたりがどこで出会ったのかの説明はありません。縁があったのでしょう。それとも最初はふたりともいなかにいたのかもしれません。あるいは、親子なのかもしれません。もうひとつの共通点として、両者に「生産性」がありません。他者の食べ物に依存します。自らが食べ物を育てるという知恵がありません。
 イソップさん(2600年ぐらい前のギリシャの作家さん)が、いなかとまちの暮らし、どちらがいいかという単純な選択を目的としてこのお話をつくったのか、それとも解決不可能な人間の欲望について深い考察をされたのかは、今となっては知る由もありません。

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紙の本きんのおの

2017/09/09 22:22

オノガキラリ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

有名なイソップ童話の一つ。湖からあらわれる女神が、オノを見つめる視線に一瞬ドキリ。女神の表情がやけにリアルです。

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紙の本アリとキリギリス

2023/06/09 12:16

人にはやさしく

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

まじめに働くのがいいよ、という教訓です。
よく知っている話、と思ったら、私の知っているものと結末が違いました。
私の知っている話はキリギリスが凍え死んでしまうものですが、
このアリはやさしい。
この話だと教訓がもう一つ「人にはやさしくしてあげましょう」

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紙の本ウサギとカメ

2018/11/05 09:56

可愛い二匹

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ウッドチャック - この投稿者のレビュー一覧を見る

うさぎが、いやらしく描かれていなくて可愛いです。
いろいろな出版社からたくさんの絵本が出ていますが、それぞれ印象が違っています。
絵は好きでしたが、あまり文字がない方が自分で解釈できるのでいいかなと思いました。

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