紙の本
収入が増えない現代における幸せの考え方を再考した希少な書です!
2017/11/29 10:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、もはや収入が増えない現代社会において、多くの中間層の気分は、このまま放っておけば、一気に中流から下流へと下がっていくという状況に対し、これまでの既存概念を捨て、新しい視点から幸福ということについて考えてみることを提案した画期的な書です。同書は、これまで経済学では取り扱われなかった「地位財」及び「非地位財」という概念を導入し、私たちの幸福を高める方法について考察していきます。どのようにすれば、私たちの幸福度は上がるのでしょうか。続きは、ぜひ、本書をお読みください。
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・地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの
(所得、社会的地位、車、家など)
非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、
それ自体に価値があり喜びを得られるもの
(休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)
・相対的な所得が大きく増えると、主観的幸福度も大幅に上がることこそが重要
・社会は、ある行動が少なすぎる状況や多すぎる状況を規制しようとする。
・アメリカは、公共投資の軽視に大きく傾いている。
・日本における最高限界所得税率は、1979年より、40%下がっている。
この減税は、受益者の幸福度に全く貢献しないどころか、それが消費パターン
を変え、中間所得層世帯の生活を困難にした。
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幸せとお金について、経済的な視点から述べた本。
人が生きる上で欠かせないお金だが、何に価値や喜びを見出すかでその幸せは変わってくる。人と比べるのではなく、その人自身の幸せのためにお金を使うことこそが大事になってくる。
ただ、一方で最近の傾向としてはお金よりも信頼にその価値がシフトしてきている。
何かをもつというモノ消費から、何かを体験経験するコト消費へと徐々に関心は移りつつあるのである。
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地位材と非地位材。コンテキスト重要。高所得者が平均を押し上げるとそれによって非高所得者にも影響を与えうる。本書内では就職時のスーツを例にとって解説している。
これは、人の外見とかそういったことも同じだと思う。例えば、最近の子供は歯並びがいい。幼少期から児童期に歯科矯正を行う人が増えたのと、フッ素塗布などの予防歯科が増えたからだと思う。で、そういう余裕がないと平均に達せず、競争的には不利になる。
こういう事例は複数考えられるから、そういった平均的になろうとすると経済的に苦しくなってくるよねとか。
累進的消費税も受けましょうかねとか。
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比較される地位財でなく、非地位財にお金を使いなさい。だが、言うほど簡単ではないよ、というメッセージと受け取った。途中に出てくる、日本の人の幸福感のグラフに笑った。
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ひとの幸福度は絶対的指標ではなく、置かれているコンテクストで決まる。地位獲得競争は人間の進化的性であり、超富裕層の見栄消費が中間所得層の無駄な負担強要へと波及する。格差拡大・一人勝ちの時代、累進消費税の導入で社会インフラを向上させれば皆が幸福になれる。
一人勝ちの時代には累進消費税も一案と知った。アメリカの実情、統計ベースだが、スーパーリッチのスーパー消費、日本にどの程度まで適用されるのだろう。日本の実例も明示されてはいるものの。
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他人との比較で生きている中で、周り全員の収入が増えてしまうと、全員の支出が増えるだけで、ちっとも幸せに繋がらない。子供をいい学校に入れるためには、収入の高い地区に住まなくてはならないが、その学校の子供は金持ちばかりで、学校にいれるだけでお金を使い果たしてしまう家の場合、その子供は学校で惨めな思いをするという。悲しいことだが、これが現実なのだろう。合わない学校に入ったとしても運良く、良い友人に恵まれれば良いが、そうでないと悲惨なことになる。だからといって、それほど良くない学校にいれていいかというとそれも違うような気がする。出口ない問題なきがする。
みんなで我慢することで、幸せになるといのがこの本のメッセージと思うが、実際の実現の方法
見えなかった。
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三千万のママ友時計バトルは衝撃
これが実際どうやったら実現できるのかが問題
目の前に見えてるものは否定できないし
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地位財と非地位財。地位財にお金をつぎ込む結果、満足が得られない。
20211104再読
限られた収入を非地位財に振り向けたほうが、本能には反するが、幸福度が増す。
廻りの支出にあわさざるを得ない状況がある。家がだんだん大きくなる理由。平均並みの学校に通わせるには、周りと合わせた家の大きさが必要=廻りが大きくなれば、自分が買う家も大きくならざるを得ない=地位財にお金を使わざるを得なくなる。
地位財は、周りに合わせる必要がある。個人の消費支出は他人とは無関係ではない。相対的な関係で決まるため。
結婚記念日のディナーは相対的に豪華である必要がある=普段の食事にお金をかけていれば、もっとお金が必要になる。羨望や優越感からではなく、相対的欠乏のため。
家の大きさは、相対的に大きければ、小さくてもよい。休暇は、絶対的に長い方がいい。住宅は地位財で休暇は非地位財だから。
地位財にお金を使う結果、非地位財に使えなくなって幸福度が下がる。
中間層の所得が変わらない中で、トップの収入が増えると、相対的地位を保つ費用が高くなる。格差が中間層の富を奪う結果になる。
幸せな人ほど社交的。助けの求めに応じる傾向も高い。
収入と幸福度の関係は、時系列では収入とは無関係。しかし、同じ時期の収入と満足度には、正の相関関係がある。
相対的な格差の拡大は、幸福度を下げる。北欧が幸福度が高い理由。
格差が大きい地域では離婚率が高い。
高額な商品がカタログに載っているだけで、高額の基準が情報遷移する。
時代とともに普通が高級化高額化している。スミスの時代に出っ歯を気にすることはなかったが、現代は歯列矯正をしなければ恥ずかしい思いをする。
金持ちが大きい家を建てると庶民の家まで大きくなる。
車も服も同じ。軍拡競争と同じ。贈り物のワインの値段も同じ。
身近な仲間との関係が影響が大きい。局所的な地位を一番気にする。準拠する集団はごく近所の集団。
低所得者の貯蓄率が低いのは、他の人たちの支出に追いつこうとするから。
フリードマンの恒常所得仮説は所得と貯蓄率は関係ないと主張している。相対所得仮説は、低所得ほど貯蓄がないと主張している。
中間所得層は、共働き、貯蓄の低下、カード破産、長距離通勤、睡眠時間の減少、などで補う。
通勤時間の違いは気にならない。通勤時間が短いからと言って優越感には浸れない。その結果、目に見える家の大きさにお金を使うことになる。通勤時間の短さは非地位財。
鹿の角はメスの獲得のために大きくなる。たとえ森の中で身動きが取れなくなるとしても。=コモンズの悲劇。
軍拡競争、共有地の悲劇、漁場、全員がたちが上がる劇場
勝者総取りの構造。技術革新、情報革命。
自由競争が大リーガーの年俸を吊り上げた。移籍の自由が生まれたため。
CEOはかつて同じ企業に勤めていた。自由競争になってからは、同業だけでなく他社から経営者を引き抜いた。その結果、CEOの給料が上昇。
海外との競争がない歯科医でも、美容歯科では人気投票で格差が広がっている。
格差が広がることで、贅沢のレベルが上昇。
全員で地位財への消費を減らすことが必要。
ぜいたく税や禁止令は、抜け穴を探すだけ。
累進消費税=収入と貯蓄額で消費税率が変わる税。金持ちが節税のために消費を減らせば、それで幸せになれるし、贅沢のレベルは上がらない。消費は抑えるが貯蓄が高まれば投資は増える。
貧しい国では一輪のバラでよいが、豊かな国ではバラの花束が必要。
シンプルライフの探求。しかしすでに簡単に支出を減らせるものはない世帯もある。
富裕層でも、競争的支出のために無駄な地位財の消費をしている。
すべては、相対的なもの。
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地位財=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。 (例:所得、社会的地位、車、家など)
非地位財=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境)
性淘汰の過程で、序列を意識することは人間のDNAに刷り込まれたものですので、これ自体を否定することはできません。
そのうえで、中間所得層が限られた収入を地位財の競争に振り向けるのではなく、非地位財を意識してそちらにお金を振り向けるほうが、人間の本能に反するけれども結局は良い結果になり幸福度が増加するのではないかということです。
命題①
人には相対的な消費が重要だと感じる領域がある。
命題②
相対的な消費への関心は「地位獲得競争」、つまり地位財に的を絞った支出競争につながる。
命題③
「地位獲得競争」に陥ると、資金が非地位財に回らなくなって幸福度が下がる。
命題④
中間所得層の家庭では、格差の拡大によって「地位獲得競争」から生じる損失がさらに悪化した
絶対的な所得よりも相対的な所得のほうが、幸福度の指標として信頼できるという考えと一致します。
実際のところ、先進国では、絶対的な所得が幸福度を大きく左右することはありません。
ところが、最貧国においては、全員の所得が増えれば幸福度も増します。
しかし、さしあたり重要なのは、絶対的な所得が一定の値を超えると、全員の所得が同じ割合で増えても、幸福度はほとんど変化しなくなるという点です。
私たちにとっては、こうした現実的な点──相対的な所得が大きく増えると、主観的幸福度も大幅に上がること──こそが重要なのです。
非地位財の消費が重視されている社会のほうが、主観的な満足度は高いことがわかっています
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幸福の持続性には、地位財と非地位財が関係する。
地位財とは周囲との比較により満足を得るもの。例えば、所得、社会的地位、教育費、車家時計を始めとした物的財。
非地位財とは、他人が持っているか否かに関係なく、それ自体に価値を見出せるもの。例えば、健康、レジャー、労働環境、安全、保険、貯蓄、自由など。
安心、安全な生活に必要な非地位財は幸福の持続性が高い。一方、生存競争に必要な地位財は幸福の持続性が低い。
面白いのは結婚の概念である。配偶者の他人への自慢や家庭をもっているという社会的ステータスと言う意味では地位財。配偶者や家族への愛絆と言う意味では非地位財と言える。
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人間はモノを買うときに相対的尺度や見栄を重んじるため、際限がなく、どんどん支出を増やす。(もっと大きな家、もっと高級な時計...)しかしその支出で幸せになれるとは限らず、労働時間は増え社会的格差は広がり続ける。みんなで幸せになるためには、シンプルライフを意識したり公共政策にお金を回した方が良いのではないかという感じのお話。ちょっと難しかった。
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心理的なお金と幸せの感じ方は納得感ある。
翻訳書なので、例えが日本だとピンとこないものが多いのが読みにくい。
ブランド品や給料、社会的立場といった地位材は幸せの持続が短い。
健康や貯蓄、安全といった非地位材は幸せの持続が長い。
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他人との比較によってはじめて満足できる地位財をもとめて、地位獲得競争に飲まれることで、長期的なこうふくから遠のいていくことを論じている本。
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地位財(役職、収入、ブランドものや高級品を買う)
非地位財(健康、自主性、社会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情)
どちらも、良い悪いなんてないし、両者がいるから世界は成り立つ。しかし、この反対の思想を持つ人同士の付き合いは難しい。ブランドものが好きな人の周りにはブランドものが好きな人が集まると思う。
わたしの周りには非地位財を大切にする考えの人が多いから、世界に地位財を大切にする人がどのくらいいるのかわからない。
どちらも同じくらいいるのだろうか。
だが、地位財を大切にしすぎると、いつか張っていた線がピンと切れてしまうこともあるようだ。そのことには気をつけたいものだなあ。