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極道トップの父の死で娘が……
2023/01/28 22:46
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この始まりだと、赤川次郎のセーラー服と機関銃じやないかと思う人はたくさんいらっしゃると思いますけど……、全然、違います!あのお話は、ユーモアミステリーでしたけど、こちらはひたすらハード。惨殺シーンなんか……で。読んで疲れ……
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長編でした!!が、大迫力の戦後犯罪小説、しかも主役は教師から転身した女組長。
次々と人が死に、敵対する相手も女性。
リボルバー·リリーも良かったが、個人的には今作がベストワン。大藪春彦賞でも受賞すると予想しておきます。
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「暴力」とか「壮絶」という言葉が微笑ましくさえ見えるこの血みどろ肉弾戦小説よ!
500余ページで描かれる終戦後10年間あまりの時間の中で、主人公の周りでいったいどれだけの人数が死んだのか、いや、殺されたのか。
この時代については学校ではさらりと流していく程度。
政治に興味がなければ敗戦のあとの日本を、誰がどうやって動かしてきたのかさえ知らないかもしれない。
そんな状態でもうっすらと、これはあの政治家がモデルだなとわかる。そして知る。
これはフィクションという名のこの国の歴史なのだと。
「プリンシパル」と聞くと今までは白洲次郎を思い浮かべていた。
けれどこれからは「プリンシパル」=長浦京 となるだろう。
父親の死に伴い、戦地にいる兄たちが復員するまでヤクザの五代目代行となる綾女。
教師として子どもたちの疎開に付き添っていた一人の女性が、忌み嫌っていたヤクザ家業のそのトップなんかになれるわけがない。そう思っていた。綾女本人も、そして読んでいる私も。
だけど、ヤクザというのは、やはり「血」なのだな、と思い知る。
絶対的服従と究極の信用、そして圧倒的な命の軽さ。
陰謀と裏切りの血が雨のように降り注ぐ。
読んでいる間、いったい何度私は殴られ刺され撃たれたのか。死が死を呼ぶ、業と因縁と徹底的な復讐の10年間。
読み終わった後の疲労感が半端ない。これは2022年度鼻血本に決定だ!!!
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1956年経済白書で「もはや戦後ではない」とうたわれるまでの半無政府状態の敗戦後10年の激動の時代の極道のバイオレンスアクション大河ドラマを、虚実ごちゃ混ぜで劇的に圧倒的なスピード感で描く大作。残酷な描写も多いので賛否両論あるとは思うが、長浦作品らしさ全開で大人の小説として堪能させていただいた。エンディングの鮮やかさも特筆。「プリンシパル」よりも「サラブレッド」語源の「Through Blood」あたりがタイトルとして適当かと感じた。
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久しぶりの長編小説だった。読みだした当初は「なんだヤクザの娘が父親の跡を継ぐ、映画やTVでも扱った物語」だと思っていた。しかし、読み進めていくと終戦後の日本・東京の混乱状況や歴史が忠実に著されており、それに基づいた本物に近いヤクザ物語であった。本書を読みながら Wikipedia や本などで終戦後の混沌とした東京の状況や歴史を確認してみたので、戦後の日本についての勉強する機会にもなった。
ヤクザの世界を描いているので、当然殺人や薬物などが描かれてはいるが、主人公の綾女がその世界に染まっていく過程が面白かった。
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★5 敗戦直後の日本復興の足跡 ヤクザ、政治家、GHQ… 悪党たちの繁栄と暗躍 #プリンシパル
またすごい主人公が現れました。
見た目は絶世の美女なのに、どんな屈強な男よりもヤクザらしいヤクザ。
ヤクザが大嫌いながらも、血が彼女を育て、図らずも楽しみながら能力つけて増大していく。誰よりも業が深く、任侠の道筋をきっちり通す。
まさに暴力の世界のプリンシパル、圧巻のキャラクターでした。
もし映像化された際には、いったいだれが綾女を演じ切れるますかね~
綾瀬はるかさんなら怪演を期待できますが、綾女は20代ですからね。もう少し若い女優さんがよいかな。
しかし、久しぶりにこんな本物の悪女を見た。いやー、かっこよかった。
その他敵対勢力のヤクザ、兄弟、GHQの不良外国人、悪徳政治家など、出てくる人物はワルモノばっかりなのよ。怖いっつーの。
しかしその中でも唯一の安らぎである一輪の花、若き女性歌手。そんな彼女にも極道のレギュレーションが…ううう
そしてもう1つ本作の素晴らしい点は、戦争直後の裏社会を見事に表現できているところですね。
もちろんフィクションなんでしょうが、現実でも当たらずとも遠からずでしょう。当時のヤクザが日本社会に与えた功罪、とても勉強になりました。
またプロットも文章もお上手なんですよね、読ませる読ませる。これは小説として完成してるなぁ。
そして大円団、ラストシーン。
読者はこの生き物としてのセリフを聞いて、何を思うのでしょうか。
■推しポイント
将来を見通す視野がない、利権にしがみつき自らの私腹を肥やす、恐怖による支配をしているだけ。政治家がヤクザに言い罵ったセリフですが、表と裏の違いがあるだけで、本質的には同じですよね…
しかしながら、おそらく誰よりも一国の復興のために力を注いだ彼ら。
今の自身の仕事が、どれだけ社会に貢献できているのか。最後を迎える時、生きた意味や功績を見出せるのか。悪党になる必要はありませんが、ほんの少しの人にでも感謝されるような働きができているかと、自身を振り返るきっかけになりました。
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戦後を生きた水嶽彩女の壮絶な10年を描く物語。
疎開先で教師をしていた綾女は、危篤状態の父親を看取る為、疎開先から東京へ戻って来た。時に1945年8月15日。
玉音放送と同時に日本は戦争に負けた。
同時に極道である綾女の父も息を引き取る。
「代行」を務めることになった綾女の周りでは、不穏な動きが・・・
大切な人たちが目の前で殺され、綾女自らも手に掛ける時、綾女は悪女となる。
組のトップとして、大物政治家やGHQを手玉に取り、仕掛ける。
どんなピンチも乗り越える綾女は、作者の代表作である「リボルバー・リリー」の主人公の姿に重なる。
実際の歴史に沿いながら、時代背景もきちんと描かれているので、知らなかった戦後の歴史の点と点が、自分の中で繋がるのも興味深かった。
しかし、後半の熊川との攻防は少し引いてしまった。
そして、呆気ないラスト。
まぁ、きっとこうなるだろうなぁ、とは思ったラストだったけど、あまりに唐突過ぎて、ちょっと消化不良。
物語全体の流れが単調で、この長さは読んでいて、ちょっとしんどかった。
もう少しメリハリがあって、短くても、十分面白くなった気がする。
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ヤクザの物語はだいたい悲惨な終わりを迎える。
このプリンシパルも例外ではなく、主人公の綾女は凄惨な最期を迎える。
高等女学校で教師をしている綾女は関東最大級のヤクザの娘だ。父親である組長の命が尽きる頃、呼び戻された綾女。ヤクザを心の底から憎んでいた綾女だったが、周囲の画策もあり、組長にならざるを得なかった。
その才から組長として一家を大きくしていく綾女。しかし、あまりにも敵は多く、多くの血が流れていくことになる。
『聖女か、悪女か、獣物か。』この帯に煽られ手に取ったが、正直少し期待はずれ。ヤクザモノならとことん暴力や犯罪で染めてほしいところだが、見応えがあるのは最初と最後だけ。あとは綾女率いる水嶽本家が成長していく様を描いているに過ぎない。
これはこれで良いのだろうが、535ページのボリュームに相応しい満足度は得られなかった。
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絶縁状態だった父親〈水嶽組〉4代目、死去に伴い
教師をしている綾女が社長代行を務めることになる。
昭和22年、未だ進駐軍に占領された東京で
ヤクザが商売人を、女子供を護り汚れ仕事を背負いかたづける。
綾女には、あれほど忌み嫌っていた父親と同じ「血」が流れている。
使命感から突っ走っていく者たち。
狂気だな。
綾女が見た亡霊たちに読者の私も救われた。
長浦京さんのインタビュー記事から。
〈史実が既に劇的なので、物語部分は極力シンプルを心がけた〉
と。
それでも惨殺シーンは辛くて
途中、恋愛小説を一冊挟んでしまったほど。
それからは、ラストまで休むことなくページをめくり
無事、おもしろく読了。
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主人公「綾女」の約10年の小説。これが重い。表紙がバレエの絵になっているので、てっきりそうかと思ったらなんと教師ながらヤクザの統領を引き継いださながら女戦士か。
彼女に感情移入しつつも、あまりに人が多く死ぬので面食らう。
戦後のゴタゴタの最中に覇権争いをするヤクザ集団。そこに組み込まれる美空ひばりを想像する女性歌手。西のヤクザは名前は違えどXX組らしいし、どこまでが実際にあった話で、どこからが完全なる創作なのか境目がわからない。
そしてドンデン返しでもう終わったかと思ったらまたもドンデン返し。
これ絶対映画にしたら良いと思う。
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タイトルと装丁からはまったく想像できなかった展開に、最初は『読む本間違えた?』とも思いましたが、主人公の生き様にページをめくる手が止まりませんでした。
ラストも衝撃。
幻覚を見ていた頃はまだ罪悪感や『水嶽のために』という気持ちが強かったのでしょうが、だんだんと『自分のため』に争いを引き起こすようになってしまったのでしょう。
血というか背負った業の深さというか…
時代と運命に翻弄された、という言葉がぴったりで、ただ自我が芽生えたことであのようかラストになったのだとしたら、本人も翻弄されている意識があったときのほうがよかったのかもしれませんね。
いやー面白かった!!
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久々に面白いと思える1冊に会えた。
最後がちょっとヤケクソ感があるが、綾女という女性の強さとヤクザとしての残忍さに終始心惹かれた。ヤクザの派閥も、芸能事務所や所属タレントも、参考資料を見てなるほどと実物と照らし合わせてしまった。
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元教師の主人公がここまで冷徹になれるのは何故なのか、やはり流れる血の定めと言うことなのか。復讐心が呼び覚ました天性のヤクザの性が、本人の醒めた心を置き去りにして、組織を守り抜くことだけを目的に暴力の限りを尽くしていく。これ程、スリリングなバイオレンスサスペンスはなかなかないと思う。そして本書が凄いのは、戦後の混乱期に社会の秩序を保つために政治家やGHQがヤクザを使っていたという事実を正面から描いているところだと思う。そして組織を守り抜くために個を犠牲にしていくことは、戦前戦後を通じて、また表社会裏社会いすれにおいても日本に存在していることに視点を向けている。
主人公だけでなくサブキャラクターの人物設定が凄くいい。特に塚原が良く、彼の主人公への忠告かストーリー展開の伏線になっている。
とにかく面白かった。今年読んだ小説で間違いなく自分のベスト3に入ります。
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戦後の復興期のことはあまり学校では教わらないことと、○田、○山、といった首相の名前、東京ブギウギをカバーしたひかり、など実在の人物に酷似したキャラが出てくることから、ノンフィクションっぽさが最大限に醸し出されてリアリティを感じました。あと、これも戦後のGHQ統治下での道路の名前がでてきて興味深い。ちょっとググってみたらこんな感じのものがあり、なるほど、と。
第一京浜 → Aアベニュー
青山通り → Fアベニュー
甲州街道 → H アベニュー
ストリートの方は、
皇居を一周する 1(ファースト )ストリート
明治通り → 30ストリート
たまたま、読了した今日は東京駅近辺で飲み会だったので、当時の光景を想像してしみじみしました。
あ~、面白かった。
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丁寧な心理描写と人間関係の濃密さに感情移入して、一気読みした。吉野首相や娘婿の浅尾、次期総理の座を狙う旗山や歌手の美波ひかりとか、モデルらしき人物が沢山登場したので、ついヒロインのモデルは誰なのかと興味深かった。壮絶な抗争シーンはきつかった。