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新訳ラヴクラフト選集パート3。
最も好きな作品は既刊に収録されているので、
もう買わなくてもいいか、
創元推理文庫でほぼ既読なのだし……と思ったものの、
毒を食らわば皿まで――と考え直して購入、読了。
収録作は
アウトサイダー(The Outsider,1926)
無名都市(The Nameless City,1921)
ヒュプノス(Hypnos,1923)
セレファイス(Celephaïs,1922)
アザトホート(Azathoth,1938)
ポラリス(Polaris,1920)
ウルタルの猫(The Cats of Ulthar,1920)
べつの神々(The Other Gods,1933)
恐ろしき老人(The Terrible Old Man,1921)
霧の高みの奇妙な家(The Strange High House in the Mist,1931)
銀の鍵(The Silver Key,1929)
名状しがたいもの(The Unnamable,1925)
家の中の絵(The Picture in the House,1921)
忌まれた家(The Shunned House,1928)
魔女屋敷で見た夢(The Dream in the Witch House,1933)
魔都アーカム頌
といったところでしょうかね。
元々お好きな方はコレクションに加えてみるのも
いいかも。
読者が「あれ?」と
ページを捲る手を止める瞬間が来るのだが、
何事もなかったかのようにシレッと続く「銀の鍵」、
雨宿りのために立ち入った家の主が開いたままの
稀覯本の話「家の中の絵」が好み。
細かい話は後日ブログにて。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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クトゥルフ神話に関連した作品を集めている。
全体的に禍々しさが漂う。
しかし、ちっぽけな家の中に展開される異郷の広大な情景は神々と人間の住む世界を対比して描いているようで、ラヴクラフトの作品の精神世界が常に超越したものに向いているようだ。
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短編15編。すらすら読み進められるかと思いきや、中盤のハイ・ファンタジー系も含めなぜか目が滑るというか、作品世界内の描写がどうにもイメージし難く、逆に疲れてしまう始末。最後の2編、「忌まれた家」は今年になってからアンソロジー『怖い家』で読んでいたし、「魔女屋敷で見る夢」は以前コミカライズ版を読んでいたこともあってまあなんとか。新潮文庫版のこのシリーズを3冊続けて読んで、ラヴクラフト作品はやはり自分には今一つ性に合わないのかもしれない……ということを感じた次第。
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新潮文庫のラヴクラフト新訳選集も第三弾、ラヴクラフト氏の「うぶなロマンチスト」(巻末の解説から)的側面が味わえる、ファンタジー寄りの作が多めだろうか。あと、「魔女屋敷で見た夢」はクトゥルー神話の元々のアイデアが、使い古された怪奇小説のガジェットを疑似科学(SF)の用語で語り直すことだったんじゃないかと、思わせてくれて楽しい。個人的ベストは、そういう意味でもストレートなSFホラーになっている「忌まれた家」。
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初心者が噂のクトゥルーを読んでみるぞ三冊目!
今回は「ハイファンタジー」も含む一冊で、前二巻とはまた毛色が違っている。
不気味で湿度の高い陰気な屋敷や町並みが展開する一方で、夢の中で幾度を旅するきらびやかなファンタジー世界も作者のなかに広がっている。
個人的な読書体験になるけれど、直前に『文豪怪談傑作選 妖魅は戯る』(ちくま文庫)を読んでいた。
夏目漱石の「夢十夜」に連なる「夢」をもとに描いた作品を中心に収録した一冊で、
独特な夢日記を展開する中勘助、うす暗さと怪談味を帯びる内田百けん、見た夢をその都度分析する寺田寅彦と、
「夢」の世界、「夢」への向かい方、作品の描きかたなど、それぞれの個性がかなり現れていることがわかるアンソロジーだったが、これはそのラヴクラフト版のようにも感じた。
その流れなら、近代知で閉ざされてしまった世界に今も焦がれ再訪を望み、一方で悪しき夢の世界が現実世界に侵食していく或いは隠された現実が夢に投影される、という憧憬と恐怖の相反する「夢」を描いたのがラヴクラフトか。
あのアンソロジーに無理やりねじこむなら「セレファイス」「銀の鍵」あたりかな。
家や建築が舞台装置として事細かなのは前と同じだけど、よりくわしく設定してある。ただ、なかなかイメージしづらい(建築用語の知識がないので画像検索と同時進行な)ところも多々。
「あら、あの面々がここで…?」というのもちらほらあり、そこは面白かった。
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クトゥルー神話傑作選、シリーズでは3冊め。不気味な話が続く。猫の話は不気味というよりは不思議な感じではあるけど…。あんまり細かい設定は覚えられないのだが、なぜか不気味な雰囲気に魅かれる。独特の世界観なんだよなぁ…
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新潮文庫第3弾。
ファンタジー寄りで、ドリームランドというシリーズらしい。
長さ的には小粒だが、かなり好きな作品群。
ロード・ダンセイニのペガーナ神話に、ラヴクラフトなりに影響を受けて。
という意味では稲垣足穂の兄弟なのだ。
第4弾はどうなるんだろうか。
積んでいる創元推理文庫に手を伸ばすべきか、小休憩を置くべきか。
■アウトサイダー
・山尾悠子が「作品集成」の付録冊子中の「ラヴクラフトとその偽作集団」にて言っていたのが、確か、ラヴクラフトにはハマらなかったが唯一「アウトサイダー」には惹かれた、と。
・いわゆるクトゥルー神話群のサスペンスや衒学的描写やペチャグチャな狂騒に比べると、本作は大変に静謐。
・根拠はないがボルヘスも本作を好きなんじゃないか。鏡が出てくるし。
・あるいは鏡が抑制されているという意味では、マルセル・シュオッブ「黄金仮面の王」とか、直接の影響関係にあるやないやは不明だが、死穢と老いと病が人間の本質だとして、それに直面させる鏡というモチーフは、普遍的なものなのかもしれない。
・私も一番好き、かもしれない。こういう心象風景に生きたことがあった、かもしれない。
(田辺剛による漫画あり)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC_(%E7%9F%AD%E7%B7%A8)
■無名都市
・他の邦題に「廃都」。
・神殿の歴史絵に描かれたのは、神か、それとも? というツイスト。
(田辺剛による漫画あり「名もなき都」)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E5%90%8D%E9%83%BD%E5%B8%82
■ヒュプノス
・他の邦題に「眠りの神」。
・大瀧啓裕は「魔犬」が本作の進化形だというが、個人的にはこちらのほうが美しいと思う。幻想文学として。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%A0%E3%82%8A%E3%81%AE%E7%A5%9E
■セレファイス
・他の邦題に「夢の都市セレファイス」「光の都セレファイス」。
・夢の中の世界の方が本物だ、という、辛く(現実の彼の最期)、優しく、美しい話。ギレルモ・デル・トロ「パンズ・ラビリンス」「シェイプ・オブ・ウォーター」ぽくもあり。
・明晰夢体質だったラヴクラフトの分身だろうと感じたが、wikipediaによれば「未知なるカダスを夢に求めて」に再登場し、主人公ランドルフ・カーター(これまた作者本人がモデル)に助言を与えるんだとか。おお、自分が自分を導くという構図。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B9
■アザトホート
・他の邦題に「アザトース」「アザトホース」。
・短編ともいえない断章。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B6%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B9
■ポラリス
・他の邦題に「北極星」。
・「セレファイス」と似た趣向だが、こちらのほうが不気味。
・なんでもドリームランドのシリーズというらしい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%A5%B5%E6%98%9F_(%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88%E3%81%AE%E5%B0%8F%E8%AA%AC)
■ウルタルの猫
・他の邦題に���ウルタールの猫」。
・猫を殺す奴は惨殺!
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%8C%AB
■べつの神々
・他の邦題に「蕃神」「異形の神々」「異形の神々の峰」。
・賢人バルザイ、全然賢くない。そのぶん神官アタルがなんとか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%95%83%E7%A5%9E_(%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%83%95%E7%A5%9E%E8%A9%B1)
■恐ろしき老人
・他の邦題に「恐ろしい老人」。
・映画「ドント・ブリーズ」の「舐めてた相手が殺人マシンでしたモノ」を連想。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%90%E3%82%8D%E3%81%97%E3%81%84%E8%80%81%E4%BA%BA
■霧の高みの奇妙な家
・他の邦題に「霧の高みの不思議な家」「霧のなかの不思議の館」。
・またも「怖ろしき老人」が。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%A7%E3%81%AE%E9%AB%98%E3%81%BF%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AA%E5%AE%B6
■銀の鍵
・他の邦題に「銀の秘鑰」。→関連作「銀の鍵の門を越えて」「幻影の王」
・ランドルフ・カーター遂に失踪。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E3%81%AE%E9%8D%B5%E3%81%AE%E9%96%80%E3%82%92%E8%B6%8A%E3%81%88%E3%81%A6
■名状しがたいもの
・wikipediaに項目なし。以下代わりに。
・またもカーター。
・怪を語れば怪至る式の話で、結構面白い。
https://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10847254673.html
■家の中の絵
・他の邦題に「一枚の絵」「家のなかの絵」。
・人肉食……しかも語りだけでなく、天井から血が垂れているという強烈なビジュアルで、短編映画のよう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%AE%E7%B5%B5
■忌まれた家
・他の邦題に「忌み嫌われる家」。
・回帰と戦うために武器を用意する! 映画「TATARI」とかも連想
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%8C%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%AE%B6
■魔女屋敷で見た夢
・他の邦題に「魔女の家の夢」「魔女の家の怪」「魔女の家で見た夢」。
・屋敷好きだなーラヴクラフト。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%A4%A2
◇編訳者解説 南條竹則
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原文がそうなのか翻訳のせいなのか、装飾過剰な文章を読んでいる内に内容を忘れてしまい、どうにも読みにくい。
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ひとりごと
懐かしくて購入。
ラヴクラフトの日本初の全集が国書刊行会から出たのは私が学生の時。いまだに持っているが、装丁も何もかもよかった。お小遣いも少ないので親に前借りして購入したほど。
まだ荒俣宏氏も団清二というペンネームであったときのような。あの頃、紙袋二つを持ってお茶の水古本街ですれ違ったことがある。
荒俣宏氏が、海洋関係の仕事の昼休みに翻訳をしているとかいろんなことが書いてあったチラシ?みたいなもの、どこに行ったかな。
要するにまさかラヴクラフトが文庫なんて思わなかった時代である。
当時、本は文庫でいいのか!みたいな質問にいろんな作家や評論家などが書いていた小冊子もあったな。
そんなふうに思いながら、新潮文庫の100冊の栞が欲しいがために手にしてしまいました。それもまた良し。
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具合のわるいときに見る悪夢を次々と見せられてるような、そんな不可思議な短編群。
悪夢具合は楽しいけど、過剰で不必要に丁寧な情景描写が多くて、読み進めるのがちょっとしんどかったかな。
個人的に好きなタイトルは『ポラリス』。虚無な日常に残酷な悪夢を見せられたのか、はたまた長い長い悪夢に囚われ続けているのか不明瞭な様がとても良かった。
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クトウルー神話傑作選
苦手なラグクラフトですが
これは 全15編の短編集なので
思いの外楽しめました
「アウトサイダー」 1926
廃墟となった広大な城
城の外はどこまでも続く森
空をみたい
塔を登り続ける
自分が映し出された姿に驚愕する
アウトサイダーは、誰だ
人間社会に居場所を持たぬ存在の孤独
「無名都市」1921
アラビアの砂漠の奥地
名前の無い都市
アラビア人 アルハザート 架空の人物
ネクロノミコン 架空の書物
これらの詩が引用され 全体的に悪夢的
私は一人無名都市にたどり着く
そこには朽ちた神殿
天井は低く 地下へと続く
壁画には爬虫類系の生物
人類以前の文明の歴史絵巻→狂気の山脈へと
「ヒュプリス」1923
眠りの神
若く美しい彫刻のような神
彫刻家は家に招き共に暮らす
友人は眠りを夢を恐れる
ある日 北冠座からの光に照らされて彼は彫刻となる
宇宙的恐怖 割と好き♡
「セレファイス」1922
架空都市 (夢に見た都)
夢を彷徨うクラネス
子供の頃見たセレファイスに入り込む
その都市に行く為 麻薬に溺れていく
夢の中でその地を支配して 現実では…
現実世界に膿んだ人間が夢の世界へ避難する
「アザトホート」1938
白痴の魔王 神々の始祖
2.5ページくらいのショート
わからない なんかの断片らしい
「ポラリス」1920
北極星が見える部屋に住む男
夢の都市で肉体を得る
幻想の中でイヌート族の侵攻を見る
「ウルタルの猫」1920
ウルタルには猫を捕まえて殺す老夫婦が居た
旅の少年の猫が居なくなる
少年は何か祈りを捧げると
翌日町から猫が一匹も居なくなる
その次の日 猫達は満腹で帰宅
老夫婦は骨が見つかる
動物は可愛がりましょう
「ベツの神々」1933
神々は高い山に住む
ウルタルの賢者バルサイは 神を見たい
月蝕の中 大地の神を見る
そこに別の神が現れて…
見てはいけない物を見てはいけません
「恐ろしさ老人」1921
キングスポート物語群
キングスポートに住む一人暮らしの老人
たいそう金持ちで身体が弱いと噂
三人の強盗が忍び込む
翌朝、男達は浜に捨てられていた
人を見かけで判断してはいけません
この三人の男の名前がアメリカへの移民系で
100年前の移民問題
「霧の高みの奇妙な家」1931
恐ろしい老人の続編らしい
険しい岩山の灰色の家
そこが彼の住まい
うーん?就職語が多すぎて日本語がよくわからない
そこに行った哲学者が廃人のようになって戻る?
「銀の鍵」1929
ランドルフカーターが夢で見つけた
大きな銀の鍵
それは 夢の門の鍵
毎晩 その鍵を使いあらゆる不思議な国へ
大人になって鍵を無くした
「名状しがたいもの」1925
墓場の隣の廃協会
二人の友の見たものは
あれはなんだったんだ?
あいつは名状しがたい物
ザ解決
「家の中の絵」1921
雨宿りした古い家
古い家の中の古い調度品
恐ろしいほど生きていそうな老人
コンゴ王国記の人肉部族の絵
「忌まれた家」1928
クラフトの生育地
プロヴィデンスの古い家
ここで続く不審死主人公は泊まり込み調査
クラフト版残穢的な土地の怪異
「魔女屋敷で見た夢」
勉強しすぎの数学者
呪われた魔女の家を借りる
ほんとに魔女の家だった
しばらく、クトウルーはお腹いっぱい
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初ラブクラフト。なかなかいい!この暗い、奇妙な生き物が出てくる感じの世界観好み
が、クトゥルフ出てこなかった…