パーレーツ・オブ・コック?
2023/07/31 14:46
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投稿者:ツクヨミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は腕のいい料理人のウエッジ。目の前で悪名高き女海賊マッド・マボットに主を殺され、料理の腕を見込まれて、海賊船に拉致されてしまう。週に一度、マボット船長を満足させられる料理を作らければ、命の保証はない。
海賊船は常に追われている。でもマボットにはやり遂げたいことがある。
修道院育ちの善良なウエッジには、海賊船はさながら地獄。脱走ばかりを考えているが、大海原ではそれも不可能。そして日曜日にマボット船長を唸らせるような料理を作らなければならない。限られた食材で、いかにまっとうな料理を作れるかに、彼の心の半分以上はもっていかれている。
そしてだんだん分かってくる。厨房の中にいた彼には分らなかった、世界の悲惨さ。狭い海賊船の中で、彼の視野は世界へと広がる。
海賊船の戦闘シーンは迫力。映画にしたら、誰がマボット船長役になるのかな?
日本の捕鯨船と物々交換で手に入れた味噌と醤油が活躍します。
ウエッジが赤子のように常に胸に抱いていたパン種が命を守ってくれたり。
期待していた以上に、面白い活劇でした。
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晩餐の席に現れた女海賊マボットに雇い主を殺され、腕を見込まれて拉致された料理人ウェッジウッド。マボットに毎日曜日、ディナーを作るよう命じられるが、船内は道具も食材も劣悪な状態。試行錯誤で極上の料理を作り出す。ディナーの席で、お互い素で語り合ううち、マボットの意志に触れ、これまでの世界がひっくり返る所から、よりストーリーが面白くなる。クルー達の個性も豊かで、イギリスと阿片という時代背景や戦闘シーンの数々、命の危機など、読みどころ盛り沢山。
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帯に惹かれて手に取りました。
海賊にさらわれた料理人の運命やいかに!というかこの主人公、本当に料理のことばっかりで頭がいっぱいになっているのが面白い。勿論、囚われの身から抜け出すことにも頭を使っている訳ですが、それよりもパン種を作ったり、素材をいかに調理するかを考えている発想力がすごい。
読んでいて、そうか、キリスト教は肉食を禁じていないから(そういえば子羊とかを生贄に捧げてたよな、旧約聖書では)、教会で修業した調理人は殺生を行うんだなぁと改めて思いました。
お話の本筋はイギリスと中国の阿片貿易に絡んだなかなか骨太なお話で、人間関係の複雑さも絡み、面白かったです。個人的には味噌と醤油を日本の捕鯨船から仕入れるくだりが良いな!と思いました。
そして船長さんはどこかでまた出会えるという可能性があると良いなぁなんて思いながら本を読み終えました。
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2024.3.25 読了。
貴族の専属料理人として働いていたウェッジウッドは主を女船長マボット率いる海賊団に殺され海賊船に拉致される。マボットは船の上での身の安全を約束する代わりに週に一度の自分だけに特別料理を作らせる。ウェッジウッドは船内の整っていない設備や限られた食材で料理を作る羽目に。料理人としてしか生きてこなかったウェッジウッドが船の上で様々な経験をしていくことをウェッジウッドの手記形式で語られる。
書店で平積みになっていたので気になってやっと読み終えた。500ページ近くある物語なので途中少々中だるみ感があったし「海賊」とあって期待していたのだが衝撃的な描写が少ないかなぁと感じた。
設備も食材も乏しい中創意工夫し料理を作るのは「芸は身を助ける」といった感じ。
女船長マボットがこれだけのクルーを率いて行動できるだけの魅力は彼女の優しさのある強さとユニークでチャーミングな人柄とその人生を生き抜く中で持ってしまった隠している哀しみの為せる技という感じがした。
漫画も含め海賊冒険物にほとんど触れて来なかったので文章から想像し読んでいくのに時間がかかった。解説にあるように時代背景をもっと把握できていたらもう少し魅力的な小説に感じられたかもしれない。
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もう設定からおもしろすぎ。
海賊の女船長にさらわれた料理人が無事生き延びる条件は、毎週日曜日に彼女に最高の料理を振る舞うこと。わくわく!
前半は古い価値観と世界の光の当たるところで生きてきたウェッジの凝り固まった正義感にイライラしてばかりだったけど、海賊と、特に船長のマボットと過ごす中で変化していく価値観に、現代を生きるわたしもハッとさせられるところがあり心が洗われる感じがした。
映画化したら楽しいだろうな〜。マボットは、ジェシカ・チャステインとかピッタリだと思うな〜。
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長い!けど、面白かった。非情な女海賊マボットに主人を殺され、海上にさらわれた料理人ウェッジウッド。彼の日記、というスタイルで話は進む。
乏しい設備と材料で、船長たるハンナ・マボットのために料理をさせられるウェッジ。命は惜しいから仕方なく作る・・・が、作っている最中はわりと生き生き(?)している。材料、料理ひとつひとつに対し少々大げさな表現を連ねながらやるところがなんとも面白い。1ヶ月、2ヶ月と経つ中で脱走も試みるが失敗し、次第にマボットと実のある会話をするようになり、ほかの海賊たちともなじんでいってしまう。逃げ場のない船、そうなるより仕方ない!
「発酵種を育むのと同じように、自分の勇気も優しく育まねばならないと知った。ここではあっという間に干上がって傷んでしまうものだからだ。」
海賊らしく掠奪もしながら、ある人物を追いかけ、また、人道的とも言える目的を持っているマボット。彼女のなんと魅力的なことか。非情さと、情を捨てきれない側面、繊細さと剛胆さ、明るさと暗さ。海のように日々ちがう顔を見せてくる。明日をも知れぬお尋ね者のこの女船長を、ウェッジは見つめ、記録し、読み手の私たちに披露してくれている・・・みたいな気がしてくる。キリスト教のことよりよほど熱心に伝道者として活躍しているんじゃないか?
中盤は少々退屈してしまって読み進めづらかったけど、ラストは怒濤の展開。血が流れ、切なく、おそろしく。勇敢な者たちの戦いが、文字の中から浮かび上がる。
陸へ戻ったウェッジのもとを、いつか彼らがおとなう日が来るといい。
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202210/ユニークだし面白くはあったけど私にはとても読みにくくて読了まで時間かかった。登場人物もいまいち好きにはなれない人達ばっかりだったのと、もっと料理描写が多いと思ったのでそこはちょっと期待外れ。
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海賊船の捕虜になり週に一度女船長に最高の料理を振る舞わないと殺されるという契約に縛られながら設備も材料もごみレベルの環境下で悪態つきつつも工夫凝らして毎回舌唸らせるメニュー案出する中隙あらば脱走企て失敗し挙げ句の果てに敵船の砲撃(?)で片足失いうんざりするが若い聾唖の船員に文字を教えてあげたり船長との食事楽しんだりなんだかんだで良い思い出になり船降りた今もときどき生死不明の船長恋しがる料理人の日記
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海賊に攫われ「美味しい料理を作れ」と捕虜にされた料理人の手記として綴られた小説。
船上の掟、容赦のない戦闘、少しずつ明かされる船長の素性…荒い船旅の合間に提供される料理が全然想像つかないのに、ものすごく美味しそう。
訳者あとがきで書かれていた通り、飯テロ版千夜一夜物語だった。
逃亡したくて焦れるウェッジウッドの心情を少しずつゆっくり読んで追っていたけど、最後の100ページくらいは一気読みになってしまった。
どのキャラクターも魅力的。
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貴族の専属料理人だったウェッジウッドは、海賊に主人を殺され、さらわれて海賊船の料理人となる。材料も調理用具も満足にない過酷な台所事情を乗り越えつつ、海賊との波瀾に満ちた冒険がはじまる。
清濁併せ持ちつつ、大人として自身の正義を貫く海賊という、女船長マボットのキャラクターがとても印象的。
終盤の怒涛の展開は、ONE PIECEとはまた違う冒険活劇でとても面白かった。
惜しむらくは、個人的事情により、細切れ読みで読むのに2週間かかったこと。一気読みしたかったです…。
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貴族のお抱え料理人ウェッジウッドは主人を海賊団に殺されて捕虜になる。海賊団の女船長マボットはウェッジの料理を気に入り、週に一度自分のために料理を作れと言い出して……。海賊冒険お料理小説!(ミステリ要素はなし)→
常識人ウェッジウッドがとにかく融通が利かない。何度も逃げ出そうとしたり、海賊たちを下に見たりととにかく苦手キャラで正直400ページあたりまでは読むのがしんどかったんだけど、ウェッジがマボットの影響を受けて一皮剥けた後はめちゃくちゃ面白くなった!
クライマックスは最高!ラストは泣く!
小説の形式がウェッジの日記なんでウェッジに感情移入できないとなかなか読み進められないのが難点。
でも、クライマックスはすごい。ウェッジもがんばる!
そしてエピローグ!!みんな読んで!めちゃくちゃいいエピローグだから!私この終わり方すごい好き!!
ウェッジがあまりにうだうだと偏見まみれの考え方で話すから、途中でちょっと諦めかけたけど(笑)
いやぁ、読んでよかったよー。映画見てるみたいやった。
てか、これは映像化して欲しい。ラストは映像でみたい。絶対カッコいい。
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目の前で雇い主を殺されてしまった料理人。ところが、その殺した当人である海賊船船長に拉致され、週に一度自分のためだけにご馳走をふるまえと無茶ぶりをされる……という斬新かつ怒涛な展開で幕を開ける物語は、その後も使い古された言葉なれど、まさに「波乱万丈」の一言。
賞金首の海賊なだけに、命を狙われて続けている航海だから、敵の来襲は当たり前。なおかつ、船長は別の目的をもってある人物を執拗に追い、そのために自分と船の危険度をあげてもいる。その道行きそのものもとても躍動的で、かなりわくわくさせられます。
そして囚われの料理人ウエッジウッドの孤軍奮闘ぶりがユーモラスにそして驚くひらめきを持って描かれます。脱走を諦めずシニカルな彼の個性も生き生きとしてよいのですが、海の上の貧弱な食材と道具から生み出される、船長の舌を満足させる料理の数々もまた魅力的。海賊にはかかわりたくありませんが、この一触即発のディナーには一度お目にかかりたいものです。
海賊船の人間模様もまた種々さまざまで、彼ら彼女らが背負ってきた苦難を知っていくことで、いとおしさが生まれてきます。
それでも、本筋は命の取り合いである海賊の道行きを辿る物語。ウエッジウッドと船長マボットの緊張感を保った関係の変化も物語に深みをより与えつつ、犠牲と打算と裏切りがめくるめくクライマックスを迎えていきます。
ラストシーンは、凪いだ海の波面のように穏やかでした。脳裏に浮かぶその静かな波間の中に、通り過ぎていった冒険の数々と、彼女の強さと弱さに思いを馳せるのでした。
とても好きな物語でした。
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あまり読まないタイプの海洋冒険小説。
美味しい料理を作らないと死んでしまう、シェヘラザードの海賊版小説。
船長のマボットはとんでもなく魅力的な女海賊(某スマホゲーのドレイク船長みたい)だけど、主人公の料理人ウェッジウッドがヘタレすぎて、結構好き嫌いがあるかも。
特に中盤が少し中弛み。
そしてウェッジさん、脱走しすぎだろう笑
ある意味、途中の中弛みがあるからこそ、登場人物に愛着が湧き、ラストの迫力ある大海戦での散り様に心動かされるのかも。
最後は静かな中にも、過去の航海の記憶があって。余韻のあるラストでした。
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海や船自体の知識が少なく、描写を上手くイメージしきれないところはありましたが、読み進める毎に料理物だけではない色々なジャンルの小説が混ざりあい、とても面白く読むことができました。
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冒険とお料理が混ざった歴史エンタメ小説!ホントに面白かった。1819年当時の世界が文章で再現されていたし、海賊だから当然船と船の戦闘シーンもあって、とにかく少年心をくすぐられっぱなしでした。
親子や恋人同士の愛についても描かれていて、色々な視点で楽しませてもらいました‼︎そんな中で日本の味噌と醤油も登場してました笑