富裕層とそれ以外の格差ではなく、先進国・途上国の間の格差
2023/03/10 09:50
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとつの国の中で中間層が崩れて、富裕層とそれ以外の格差が広がっている、という意味の格差ではなくて、先進国と発展途上国の間の格差・不平等のことをテーマにしている。ちょっと議論が粗い印象。ホモ・サビエンス発祥のアフリカ東部からのホモ・サビエンスの拡散の距離が多様性の減退のひとつの指標となっているという話は、あまり腑に落ちなかった。
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大きな船にゆられるようや展開で論が進められていく、とてもダイナミックな本。前半はなぜ人類が成長したのかを時系列でだとっていく。いつから格差の起源?の思って読み進めるがこれはこれでおもしろい。後半はタイトルにある通り、ではなぜ格差が生まれたのか?を今度は前半に来た道とは逆に遡っていく。
後半の途中まではふむふむもと思いながら読んだ。最後の出アフリカから導き出されている多様性云々の結論は半分理解するが、そうなのか??とも感じており個人的には評価は留保。こういうのは判断せずに熟成していくのもよいのだろう。人生の歴史からみたらこんなの極めて短い期間。即判断する必要はない。
ユヴァル・ノア・ハラリやジャレド・ダイアモンドが好きな人にはよいのだと思う。
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感想
得意不得意が差を生む。能力が貴重なら高い地位を占めるようになる。自然なことであり格差は悪いことではない。再分配が機能しないことが問題。
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副題がしめすように、経済成長と不平等の起源に関する壮大な人類史。
本の前半では、まず経済成長の起源について説明がなされる。大まかには、産業革命や技術発展が原因なわけだけど、著者は産業革命で全く違う原理で世界が動き始めたとはみていなくて、産業革命以前からの変化が積み重なって一種の相転移のようなものがおきたとする。そのドライバーとして人口の役割を重視している。産業革命の前と後の連続性を指摘するところはなるほどな議論ではあるが、それほどの驚きはない。
後半では、格差の起源ということになるが、ここで扱われるのは、ある社会のなかでの階層的な格差ではなく、国ごとの経済格差。なぜならば、そちらのほうが大きな差があるからとのこと。
若干の疑問は残るが、とりあえず著者の議論に乗っかって、先を読み進めていくと、現代社会から、格差の起源をもとめて、歴史を遡り、制度、文化、地理、農業革命、そして最後には人類の出アフリカということになる。
一つ一つの議論には、なるほどな面もあるし、経済的な要因だけでなく、文化的な要素など多様な側面に格差の原因を求めるのは、健全な議論ではある。
で、この本の狙いである「経済成長」と「格差」を一つの統一理論によって説明するという展開になって、ここでも人口や人の多様性ということに議論は整理される。
本を最後までよめば、そういうこともあるだろうなとは思うものの、なんだか後付けの説明のようにも思えて、全体としては、あまり説得力のある議論とは思えなかった。
とはいえ、いわゆるワシントン・コンセサス的な「発展途上国も経済発展することで貧困をなくし、人々の幸せを作り出すことができる。そのためには、自由主義的な経済政策が有効」みたいな処方箋からは、一歩、前進して、国の文化、歴史などにも配慮した政策が必要という結論には至るので、そのあたりは評価できるかな?
が、格差の説明要因に、さまざまな文化、歴史要因を入れたからといって、国の経済格差を発展度合い・スピードの違いで理解しようという姿勢は、相変わらずのワシントン・コンセンサスの世界観。
マルクス的な搾取の構造とまでは言わないにしろ、豊かな国があるため貧しい国が構造的に生み出されてしまう、そして、国内でも豊かな社会階層があるので、貧しい階層が生み出され、構造的に再生産されるという視点もやはり必要なんじゃないかと思った。
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タイトルは「格差の起源」だが、むしろ、「なぜ人類は、ここ200年程度で急速に繁栄したのか」が真髄だと思う。格差(繁栄度の違い)については、「重・病原菌・鉄」などでも分析が試みられているが、本書はそれらの議論を網羅的に踏まえ、一つの完成品と言って良いと思う。大まかに言って格差とは、より生産性の高い技術いち早くを導入し(そのためには既得権益を手放さなければならない)、それを使いことなすこと(そのためには広く教育を行わなければならない)で、付加価値を生み出し続ける(営業や認知向上を行わなければならない)ことができたものが繁栄し、できなかったり留まったものが置き去りにされるということ。これを、文化や制度が加速するということも重要。今の日本、自分は大丈夫か。
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人類の「発展」にこれだけの格差がついた理由を解き明かす一冊。まずは素直にそうだろうなと読める。気候、それがもたらす害虫などの生態系も人類の発展に大きな影響をもたらした。また、人類の誕生の地であるアフリカから遠くなればなるほど、集団の多様性が薄れていくという指摘には驚いた。漫然と逆だと思っていた。すると、日本人の均一性、移民を忌避する気質にも、人類誕生の日からの必然性がともなっているのだろうなというのが感想。
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本書の第Ⅰ部は「成長の謎」を扱う。人類の生活水準はここ200年でそれまでとは比較にならない向上が見られる。それがどのようにして生じたのか、技術進歩があっても人口増加が吸収していた状態(マルサスの壁)をどうして抜け出すことができたのか。つづく第Ⅱ部は「格差の謎」を説く。人的資本への投資が可能であること、社会の均質性と多様性が存在することなどが格差の根源にあるようだ。一読しただけなので、もうすこし読み込みたい。
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格差の起源_オデッド・ガロー著_柴田裕之訳
そもそも格差とは?
健康格差、教育格差、経済格差、世代間格差、地域格差など、世の中にはさまざまな格差と呼ばれる言葉がある。
Wikipediaによると、"格差(かくさ)とは、同類のものの間における、程度(水準・資格・等級・価格・格付け、レベル)などの差や違いである。また、社会問題の一つとしての意味合いを込めても用いられる語であり、貧富の差(経済格差)などを意味しても用いられる。"とある。
そもそも、違いがあるのは当たり前なので、格差があること自体は当然。その一方で、後者の部分を指した言葉が、〇〇格差なのだと、改めて認識した。
では、そのような違い及び、社会問題ともなる格差はどのように人類で始まり、今に至っているのか。
この本は、それを説明する本である。
特に興味深いのが、なぜ農業革命が起こり文明が進化した地域で産業革命は起こらなかったのかという問い。
それを、著者は人類がアフリカから出た時から、実は始まっていると説明する。
それが、実は現代の男女の賃金格差や多様性に結びついている。
最後に著者はこう結ぶ。
"豊かさと地球規模の格差の起源を理解する事が、世界全体の繁栄を促すような政策設計につながり、人類が未知の領域へと旅を続ける中、読者が、先々待ち受ける今よりさらに豊かな未来を思い描き、その実現に向けて努力できるようになることを、わたしは願ってやまない"
#格差の起源
#オデッドガロー
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産業革命まで人類の生活レベルは生存水準から抜け出せていなかったが、産業革命後、人的資本への投資、人口転換などによりマルサスの罠から抜け出して、生活レベルが急激に上昇した。しかし、産業革命が早く始まった地域とそうでない地域には大きな格差が生じた。では、なぜ産業革命が西欧で始まったのか。本書は、その原因を制度、文化、地理、人の多様性に求め、それを人類の旅として検証していく。歴史的、地理的な壮大なストーリー。
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初期の農耕社会は狩猟採集民より生活水準は低下した。
狩猟技術の向上で、獲物が減少し農耕に移行せざるを得なかった。
イースター文明は魚の取りすぎで人口が80%近く減少した。
統一成長理論=現代の経済成長とマルサスの時代の停滞を統合する理論。
産業革命のころは4歳から働かされた。小さな手は繊維工場の機械の詰まりを取り除くのに好都合。
工業化の進展で子供に可能だった単純作業が自動化され、児童労働の恩恵が減った。同時に教育を受けさせる価値が高まった。工場法で1833年に9歳未満のこどもの労働は禁止された。
人口転換=1870~1920年ごろに出生率が30~40%低下した。
食糧難の時代に平均結婚年齢が上がり独身者が増えて出生率が下がり、豊かな時代には逆になって出生率が上がるのが普通だった。
人口転換の理由は、子供に教育投資をする利益率の上昇が原因。乳幼児死亡率が低下、子供の教育が普及、その結果、教育の利益率が上昇し出生率が低下した。
きつい肉体労働の重要性が減少、男女の教育と所得の格差の減少。
女性の賃金が上昇すると世帯の予算制約が緩和されて子供の数が増える=所得効果。
子供を増やす、または早く結婚させることの機会費用が増加し、少子化晩婚化に向かう=代替効果。こちらのほうが勝った。
収入の格差は、労働生産性の違いを反映している。格差は縮まらない。国際貿易の拡大は工業国と非工業国に非対称な影響を及ぼした。工業国は人的資本への投資に見返りがあるが、非工業国には少ない。そのため、貿易の利益は、工業国では教育に、非工業国では多産と人口増加に使われた。イギリスとインドの例。
貿易の前提条件は、統治機関が機能すること。
韓国と北朝鮮は、以前はともに独裁国家。韓国は私有財産の保護や農地改革を実行。北朝鮮は大規模な国有化と中央集権化。非民主的な体制でも、インフラや人的資本への投資、市場経済の振興によって経済成長できる。中国やベトナムの例。
イギリスで産業革命は黒死病によって農業の労働力が不足して農奴の取り分を上げたから。東ヨーロッパは西からの農業生産物の需要が高まって地主の力は強力になった。
地理の影響
家畜が存在しない地域(アフリカ)は人口が少ない。ツェツェバエが家畜に睡眠病を運ぶ。その後の経済発展の道筋を決めた。
資源が豊富だと、資源の呪い、が生まれる。人的資本集約型の産業が人が集まらないために育たない。
イギリスの産業革命は石炭も重要な要素だが、中国にも石炭はあったのに工業化は遅れた。
マルサスの時代は土地が農業に適していることは人口に対して恩恵だったが、近代にはその部門から工業部門への移動を妨げることで繁栄の障害になる。
領土が限られていると権力と権威に歯止めがかかる。大きいと権力も大きくなり、技術や文化の発展を制限できる=中国の歴代王朝やオスマン帝国の例。
ヨーロッパは小さな国が独立して陸続きなので、制限が加わると隣国に逃げる。=コロンブスが資金の出し手をお止めてポルトガル、ジェノバ、ベネチア、��ングランドなどに声をかけた。
中国は、王朝が航海を禁止することで発展が妨げられた。オスマン帝国は印刷技術導入の遅れも知識階級が知識を独占しようとしたから。
ヨーロッパでは政治的な分裂が、競争を生み技術と文化が発展した。
中国では、大河川を利用するダムや灌漑設備が必要でそのために、巨大な権力の誕生が必然だった。ヨーロッパでは大河川がないために、降雨を頼みにしていた。米は大規模農業が適しているが、小麦は個人的農業でも生産可能。
ヨーロッパの海岸線は入り組んでいて商業用の航路が生まれやすい。アジアには朝鮮半島以外に半島が少ない。
中国は大河川を利用した地理的連結性がある。中央集権化が進み中世には有利だった。産業革命には逆効果。競争や文化の流動性のほうが大事だった。
植民地が独立しても成長を遅らせるような収奪型の制度を維持した。豊かな作物が育つ地域は人口密度が高く収奪的な制度に向いていた。
未来志向の文化=作物がよく育つ地域では未来への投資に実りが多い=ますます収穫が高水準になる。
「欧州社会調査」「世界価値観調査」によって解明された。長期的思考の強い人がそこに移住するということも考えられる。
稲と小麦は、アジアの相互依存文化とヨーロッパの小麦文化に影響している。小麦は米ほど協力を必要としない。
クワを利用する土壌は男女の役割分化が進む。スキや熊手を使う農業では男女が共同で行う傾向がある。
気候変動が激しい地域では、損失回避型よりも冒険型のほうが利益が大きくなることがある。気候変動が穏やかだと、損失回避型の行動のほうが利益がある。「総合社会調査」の世論調査と過去1500年の気候データの組み合わせからわかる。
性別の作業区別がある文化では言語も性別の区分がある言語が生まれる。社会階層の区別がある社会はそれを反映させた言葉が生まれる。作物が豊かな地域では未来志向が生まれ、言語にも迂言的な未来時制の言葉が生まれる。
土壌が大規模プランテーションに適していると収奪的な制度が生まれやすい。地理は格差を生む大きな要因。
「オハロⅡ」と呼ばれる遺跡は23000年前に農耕が起きていたことを示す。
メソポタミアで農業革命が起きた理由は生物の多様性と家畜化可能な動物が豊富だったこと。
オセアニアやアメリカは、人類の到達が遅くすでに狩猟技術が発達していたため、大型哺乳類は早く絶滅させられた。
アメリカやアフリカは縦に長い=気候が違う。ユーラシア大陸は横に長い=気候が似通っていて栽培技術を移植しやすい。
戦争の歴史では強者は病原体を保有していた。アステカ帝国やインカ帝国は病気によって滅ぼされた。
農業社会では人口密度が上がると首長制国家が現れる。税収が必要。税は初期は穀物。イモでは不便。穀物が収穫された土地では複雑な階層社会が生まれた。都市国家に発展した。
農業革命を先導した国のほうが現在貧しいのはなぜか。
農業の比較優位は、工業化を遅らせることになる。人的資本の形成(教育)や工業技術の進歩が遅れる。
ロックンロールの誕生は黒人文化と白人文化の融合から。
連続的創始者効果=移動するにつれて多様性は失われる。アフリカから出国した人類は、遠くに行くにしたがって多様性がなくなる。適度な多様性が経済の繁栄にもっともつながりやすい。
貧しい国を繁栄させる政策提言(ワシントンコンセンサスなど)は、偽の飛行場を作ったタンナ島の復活の儀式と同じ。前提条件が整っていれば自由貿易は規制緩和、民営化、財産権の保護は意味があるが、社会の結束が弱い、賄賂が横行している環境では無意味。
格差のおおもとはグローバル化と植民地化の非対称な影響。さらにいえば植民地化以前の不平等に基づく。
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現在の社会は21世紀になっても未だに国家間・地域間の経済格差が生じている。
この大きな格差を生み出した要因とは何か?
という問いに答える本書。
テーマとしてはダイアモンド博士の鉄、銃、病原菌と重複する部分は多い(実際引用も多い)が、それよりも近代の産業革命以降に多くのページを割いているのが特徴的。
子どもがよく言う「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」
というという問いに一番納得できたのが本書だった。
本書を通じて面白いのは「生活水準」に重きを置いていた点である。
人類全体の所得に着目するのでなく、人口一人当たりの所得に着目すると、19世紀以前の世界では、世界のどこでも生存ギリギリの生存水運が普通であった。
(もちろんごく一部の特権階級や、発展した都市では別だったのだろうが)
それまではマルサスの罠と呼ばれるすべての生物が陥る貧困のスパイラルから人類も逃れられなかった。
(技術革新で余剰食糧が生まれても人口を増やして食いつぶしてしまうこと)
それを乗り越えたのが産業革命であった。
これにより市民は人的資源(つまり基礎・高等教育)の重要性を認知し、子供に教育を受けさせるようになる。
教育には金がかかるので、出生率は低下した。
これにより人類はマルサスの罠を抜け出し、余剰所得はそのまま人々に分配され、それが更に人的資本に注入され、技術・社会制度革新を生むという正のループに入るというのが、豊かになった国々の特徴といったお話。
後半では、なぜ欧州では人的資本に注力できたかを様々な視点から紐解き、歴史をさかのぼって探求していく。
こちらもなかなか面白い。
ただし、現在の経済構造や国家間の経済格差には触れられていないので、そちらはどちらで気になる点はある。
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久々に迫力のある本を読んだな、と思う。ページをめくるたびに「そうなのか」と驚いたり感心したりしながら読んだ。
前半は、いつ人類が豊かになったのかを述べ、後半は格差がなぜ生じたのかを述べている。
人類が豊かになったのはジャガイモやアンモニア合成、産業革命(そのもの)だと思っていたが、まったく違った。それぞれの時代の各世代の生活や人々の考え・判断まで考慮しないといけなかった。そんなに単純なものではない。
格差の起源については、現代から理由を探っていき、どんどん遡っていく。圧倒的な時間の流れを受けながら要因検討を追体験する。自分が何億年も生きてきたような錯覚を抱いた。
地理、文化、政治、様々なものが俎上に載せられる。それぞれ勉強になった。
とくに専制政治の利点と欠点について、歴史的な事実の話は面白かった。「言われてみればたしかにそうなるよなあ」と思う。
表向きは専制政治でない現在の日本だが、その欠点ばかりが目立つ。
よくわからなかったのは多様性の影響度。大きいのかそうでないのかよくわからず(他要素を足していくと、およそわかる気はするが)、言葉を濁しているように感じた。
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分かりやすく(?)、今の世の中における格差の生じた原因を探っていく興味深い内容。
2部構成の内容で、第1部がグイグイと読ませる。これは、近年興味を持っている「人口」による世界の勢力図の話にも相通じる部分で(『人口で語る世界史』( https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4163910859 )、人類が如何にマルサスの罠を脱してきたか、その水面下の動きを、まさに、水が沸点に達し暴れ出すのと同様に脈々とその素地、力が蓄えられてきたからと説く。それが人の頭数であったり、あるいは教育であったり、ぱっと見、歴史の授業で習う「産業革命」が、あたかも先進国の1人あたりの所得を爆発的に増加させたことが原因であるかのように語られがちであるが、それは表面的なことに過ぎない、というのが本書の論調だ。
第2部では、さらに問題を深掘りしていく。
産業革命を育んだ水面下の要因に、技術革新や教育の差があったのは事実だが、それですら表層要因だとし、さらなる「究極要因」を探る。そのために、著者は、「では、なぜそうなったか?」「どこにその違いが生じる要因があったか?」と次々と問題提起を行う。
その国、地域の制度、文化度の差、そして地理的条件とつき詰めていき、ついには人類の出アフリカの時代にまでさかのぼる。
このあたりまでくると、本書もユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』からの派生商品という気がしてくる。サピエンス全史を逆に辿っていくようなもので、その原因を、そんな昔にまで辿られては・・・と、だんだん諦観に支配されてしまい、読後感はあまりスッキリしないものだった。
格差の起源は辿ってみたが、それを克服することはもはや困難?!
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昔は確かに格差があった。
しかし今は基本のライフラインは確保されてて、
資本主義の参加具合だけかな?
高い服を持ってても羨ましいと思わない。
今は格差は捉え方次第だと思う。
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我々人間は、産業革命により、人間の力とは別の機械の力を得て生まれた余裕を、子作りでなく子孫の教育に投資した結果、マルサスの貧困の罠を脱し、現在の繁栄を謳歌することができた。他方で、頭数が絞られた子孫側から見れば、現状の生活水準を維持するための社会的コストを負担にあえぐ結果となった。やはり、そこでもマルサスの貧困の罠を脱し切れていないのではなかろうか。