紙の本
心理面の追求が浅く偏っている
2023/03/25 20:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ムーミン・パパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
20年以上も前の出来事だが今も記憶に残っている凶悪事件のルポルタージュであり、裁判記録など当時の資料も詳細に挙げられているので、事件のことを知らない方にもその恐ろしさは充分に伝わる内容になっている。
ただ、犯人の一人である緒方純子が犯罪に手を染めていく経緯は比較的詳細に読み取れるが、主犯の松永太が何故このような犯罪を思いつき、ここまで残虐な性格になっていったのかという点いついては全く触れられていない。成長の過程において人格形成に何が影響したのか等、松永側の関係者の証言や家庭環境、交友関係等に対してもう少し深く切り込んで欲しかった。緒方含め被害者側への取材が丁寧であっただけに非常に残念であった。
同様の犯罪への警鐘のためにも松永がマインドコントロールを扱えるようになった経緯、何がここまでの自己中心的な性格を作り上げてしまったのかを追求して欲しかった。
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【7人が惨殺された「最凶事件」全真相】福岡県北九州市で7人が惨殺された?最凶事件?発覚から20年。事件を追い続けてきた筆者が徹底的に描く「地獄の連鎖」全真相。
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著者の余計な憶測や感情が一切なくてとても読みやすく、わかりやすい内容。本当のドキュメント。
この事件を聞いた誰しもが『なぜ一家は逃げられなかったのか?』という疑問に行き着くと思う。それを知りたくて読んだわけだが、やっぱりわからなかった。その従わざるを得ない理由を理解はできるが共感や納得はしない。松永の巧妙さが完全受け身の一家に作用してしまったのが不幸だったのか。
一家を騙して従わせた松永は相当 頭がいいのだろうとほめる人まで出てきそうだが、他人の人生に次々と寄生し喰らいつくすような生き方しかできないこの死刑囚には遺族の言う『害虫』という表現がとてもよく合う。
こんな事件は人々の記憶からさっさと消えてしまうのが、残された親族や死を免れた被害者にとって幸せなのではないだろうかとまで思う。
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まさに「完全」ドキュメント。
えげつない事件を、丹念に追いかけている。著者の努力に頭が下がる。
関わった人たちがお互いに殺し合いさせれる場面も余すところなく描写されており、まさに目を覆わんばかりで、吐き気を催す。
取材途中の、記者や警察、検察との一問一答が相当ページあるのも臨場感。
事件自体は、非道、と言う他ない。
主犯が、最後まで無実を主張し続けるのも、冤罪の可能性というより、破廉恥としか思えない。
それにしても、市井の一般市民が、誰でもこうことに巻き込まれかねないのが現実だ。
こういう人外の存在が、実際にこの世にあることが、実態だ。
日本はまだ、平和であろう。
安全であろう。
それでも戦慄を禁じ得ない。
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センセーショナルな語りに流れるのではなく、事実を丹念に拾い上げている。だからこそ、余計に精神にくるものがある。
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★★★★
今月3冊目。
日本の凶悪事件ベスト3に入る、いや、トップかもしれない事件。
家族同士を殺し合いにさせたり遺体を解体させて捨てたりとにかくとんでもない。この本なんと575ページ。
逮捕から裁判の傍聴など、豊田さんの消された一家とはまた違った切り口。
悪魔ってのはいるんだな。松永然り、尼崎の角田然り、そして埼玉愛犬家の関根然り、バケモノはいる。
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この本を読む方はすでに豊田正義の『消された一家』を読んだことがあるか、あるいは当事件をモデルにした小説や漫画を読んでいるかも知れない。本書は裁判記録や関係者への取材を多く引用し、そのためにやや物語調に書かれている『消された一家』より読みづらいと思うかも知れない(あと単純にページ数も多い)。しかしそれにより事件の凄惨さ、救われなさが事実として非常な重たさを持って感じられる。
ちなみに読む時は気力と体力が十分にあるときに読んだ方がいいです。
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20年以上前の北九州連続殺人事件のドキュメント。
570ページにわたり、事件の事実である肉親である両親、妹、妹の夫、甥や姪を互いに殺させ、遺体を解体させる。電気を身体のあちこちに通電するなどの虐待をするなど。
読書中の一週間は常に、このマインドコントロールをする側、される側の感情の動きを想像しながら、自分のコントロールもできないほど、鬱々とした気持ちだった。
それだけこの事件は残酷であった。
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これぞドキュメント!というように、事件の内容、当事者それぞれの行動や思考が記載されていました。
読んでいる途中でフィクションではないか、いやそうであってほしい、と思わせるような事件で、情報量も膨大で、それをここまで読みやすく分かりやすく書かれていることに感動しました。
関係する人があまりにも多いのですが、登場する人物たちの関係図があったので、だいぶ分かりやすかったです。
また本の中の展開(必ずしも時系列順ではないこと)で、だいぶ引き込まれました。読み終えたときには、ほっとした気持ちになりました。
基本的には小説ばかり読んでいますので、ノンフィクションでかつドキュメント形式のものは初めてに近かったですが、とても読みやすかったです。
裁判の記録も細かく記載されていたり、事件以外の部分も興味深かったです。
ただ、しばらくお肉料理はしたくなくなりました…。
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筆者の個人的な感情は出来るだけないように、事実とされていることを残しておかなければという強い意志を感じた。流れがわかりやすくどうやって進んでいったかがとても理解出来ない事件なのに頭のなかにすっと入ってきた。
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生い立ちから事件を経て判決まで事実が淡々と列挙されており、著者の推測や憶測は皆無でノンフィクションとして読み応えがある。淡々と事実の列挙であることから、事件の凄惨さや異常性をひしひしと感じる。読んでいて気分が悪くなることが多々ある。
某有名芸人がバラエティ番組で松永死刑囚が裁判で爆笑をとったなどと吹聴していたらしいが、この本を読んで感じたのは″爆笑″ではなく、自分が主犯のくせに最後まで醜く自己弁論を繰り返す態度への″冷笑″だと思う。いくら弁が立つとはいえ、この事件の残虐さを知っていたら、まともな人間は笑えない。
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2023年10月2日読了。
九州という土地がサイコパスを産む素地を備えているのだろうか。この松永太然り、ママ友を洗脳した赤堀某という巨漢主婦然り何故にここまで人を思うがままに操作する怪物が産まれるのだろうか。
被害者にもある一定の傾向が見て取れる。皆一様に世間体を気にし、「家」を重んじている。恥の感情に入り込むことに長けた松永太の狡猾さは生まれながらの才能なのだろうか。傍から見るだけでは子供騙しも甚だしい嘘に皆が絡み取られた事実をなかなか理解出来ない。
一刻も早く松永の処刑が叶うことを心底より希求する。生きていてはいけない人間である。
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著者の真実を伝えたいという執念を考えると評価は5なのですが。。。
サイコパス(松永)の残酷さを思うと、素直に5がつけられないという複雑な心境に至っております。
そもそも、なぜこの本を読んだのか?
読売新聞の書評欄でこちらの書籍の紹介を目にしたのですが、あらすじがぶっ飛んでいて内容が理解できなかったのです。そこで、図書館で予約して読んでみる事にしました。
(予約して4か月くらい待った)
本を見てびっくり!厚みが4㎝弱あります。文章もびっちりめで、しかもハードカバー。
本からの圧が強かったため、速攻で読みました。
読んでみての感想ですが、本物のサイコパスは加減を知らないので、つけ込む隙があればどんどん入り込んでくる。
私利私欲(松永の場合、お金)のために、都合のいい人物に狙いを定めたら、マインドコントロールし資産を吸い上げるだけ吸い上げ、これ以上吸い上げるものがないと判断したら切り捨てる。切り捨て方もマインドコントロールしている人物に殺人を指示するというやり方で、
自分の手を汚さず人を殺める。
今回の事件で多人数の犠牲者が出た理由の一つともいえます。
数は少ないと思いますが、この手のタイプが身近にいないとは限りませんし、今後出会わない可能性が0%とも言い切れませんので、自分なりに人間関係を切る時の基準を作っておくといいのかな、と思いました。
サイコパスは人の弱みに付け込んでくるので、ターゲットに冷静さを失わせ判断能力を失わせる状況をつくります。その瞬間、地獄の入り口が開いてしまう。
サイコパスと早めに縁を切るためにも、どういう時に人間関係を切るのか、という基準を作り、家族・大切な人と共有しておくといいのかも?と思いました。
(実際、サイコパス被害に遭っていないので経験談が語れない)
この本から学んだことは、以下2つ。
・殴る・蹴るなどのDV行為を行うものからは一刻も早く
逃げる。
・お金の貸借は人間関係が切れる時。
貸したら戻ってこない(あげる覚悟)と思って貸す。
その時は人間関係が切れる覚悟で!
この2つが揃ったら、今までの思い出とか、育んできた情とか、プライドも何もかも捨てて縁を切った方がいいと思いました。サイコパスと縁を切らないことで受ける被害は自分だけでなく、家族、友人関係へと蜘蛛の巣状に広がってしまうのが怖いのです。
著者はかなり詳細な情報を文字で伝えています。
(読んでて具合が悪くなるレベル)
読むと残酷な事ばかりで辛くなってくるのですが、この事件から学ぶことはあると思います。
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これが現実に起きた事件だなんて信じたくないくらい残虐。
サイコパスによる洗脳はこんなにも逃れられないものなのか。。
度々気分が悪くなって斜め読み。
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読み終えて、どっと疲れた。得体の知れない怪物との戦いを終えたような消耗がある。その怪物は我々の日常生活に紛れ、こちらを伺っているのだ。
この犯人を言い表す言葉は恐らく存在しない。「邪悪」すら生ぬるい。おそらく遺伝子の中に人を騙し、追い詰め、死に追いやる要素が紛れていた。そうとでも考えないとやっていけない。
事件の詳細さは目を逸らしたくなるレベルだが、それでも見てしまう引力がある。
恐るべきなのはこうした凶悪犯罪が今もどこかで人知れず行われている、という現実である。
圧倒的濃度の一冊である。