紙の本
間違って買った本ですが、読み応えがありました。
2023/08/25 22:44
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、私は当書を間違えて購入しました。同じ光文社新書レーベルの、『東大生』がタイトルの頭にある、別の本と勘違いして買いました。
ですが、いざ読んでみたら、実に読み応えがある内容でした。当書は教育格差をテーマに、東大で実際に行われた講義を書籍化した1冊です。全部で13回の講義になっており、各講担当教諭が違います。
現役東大生の様々な意見が飛び交っていて、彼らはこう考える、議論するんだ、というのを当書の文章から感じ取れました。似たタイトルの光文社新書と間違えて買った当書ですが、私は偶然この本を手に取れたことを有意義に思います。紙幅は300頁を超え、分厚いですが、一気に読み切りました。
紙の本
大学生向け授業の教科書をベースにしたゼミ形式授業の記録
2023/07/04 10:08
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
編者の、教育格差についての事実や認識、知識などを教育者教育や実地の教育者への必須のカリキュラムにしたい、という思いをもとにした本で、その授業・ゼミの様子を記したものです。
格差というネガティブな部分と、いろいろな意味での多様性や違いといったポジティブな部分とをどう分けるのか・区別するのかということが必要なのではないかと思いました。教育の基礎的な部分や個人の希望ややりたいことに対するアクセスの部分での格差がないようにして、そのうえでの多様性ややり直しなんかが、より柔軟にできるような仕組みができるといいのかなぁと思いました。基礎部分、アクセスの部分も、どちらも時代なんかで変わってくるので、そういった部分の恒常的な見直しや改良も必要だとおもいます。
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学生の感想パートを通読すると、何とはなく、いかにも東大生だったらこう答えるよな、という臭みが目立つような気がする。といっても、きれいに視点や論点を敷きならべているので、標準的な教材としての価値はあるのだろう。
中学校、高校の部活動は、教科学習以外の軸で生徒の自己実現のチャンスを用意するとか、生きていれば避けて通ることができない社会の「決まり事」を体得するための複線教育という意味合いは、たぶんあるかもしれない。しかし、パワハラ、いじめを、根っこのところで大なり小なり肯定するような、体育会系の気質を再生産し続けている元凶でないか、そしてその毒素を現実のオトナ世界に投射し続けているのではないのか、というのは腑に落ちるお話。
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私は東大生ではないが、偏差値の高い大学で学んだので、教育格差を学ぶ学生たちの感想が自分とすごく近く、共感しながら読んだ。
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自分自身が首都圏の公立進学校出身で現在も都内の大学に在学中で、実際にこの講義を受けていた学生と環境が近く、語られる経験が似通っており、学生の意見に共感したりしなかったりしながら読んだ。
教育社会学をテーマとした本書だが、登場する学生の中には教育に関心があった訳ではなく、これからも教育関係の仕事に就くことはないであろうと語る人もいる。私も教育現場が孕む様々な問題については社会の構成員として関心があるが、将来的に教育を職とすることは無いであろうと思う。けれど、先述した学生が講義を終えて参加した座談会で語るように、直接は教育に関係ない立場だったとしても、企業の人事を考えたり、子育てをしたりするにあたって、社会にある教育格差とその背景にある個人の様々なバックグラウンドを考えていくことは必要だろう。
私の地元は比較的教育に対する関心が高い層が多くを占めており、海外にルーツを持つ人やブルーカラーも少ない地域である(もちろん私が小中学生として生活する中で気付いてなかった可能性も大いにあるだろう)。従って現在関係を持っている友人・知人の多くが非常に同質性が高く、それ自体に危機感があった。小中学生の頃からインターネットで同じ趣味を持つ人と繋がり、時に各々の生活にまで話が膨らむことで自分と異なる他者の存在を知ってきた。また、私が好きなアイドルについて、大抵の場合は高卒もしくは中卒で自分と異なる経験をしている人達について、彼らや私が何を得て何を得てこなかったのかを改めて考える機会になった。
他者の合理性に似たような意識は以前から持っていたが、この言葉を得られて良かった。
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松岡さんの教育格差の本を読んで違和感を持っていた。なんだか「大学に進学するのが幸せである」というのが大前提で話が進んでいるような気がしたからである。本書では東大生による議論が中心なので、同じような流れになるのかとは思ったが、1章ずついろいろな所属の先生方がファシリテータになっているのでちょっと期待して読んでみた。なかには「こいつバカか」(失礼)と思ってしまうような東大生の発言もあったが、それでも「東大に入るよりも田舎で農業でもしていた方が幸せだったかもしれない」といった発言を読んでちょっとほっとした。そう、いろいろな幸せがあって良いと思う。そして、部活の章での山本さんの発言を読んで、自分の中のもやもやがすっきりした。「文化資本や経済資本って、幸福を得るための直接効果があまり強くない・・・幸福にとって一番大事な資本は社会関係資本だというのが定説」やっぱりそうなんだ。将来のために一生懸命努力して、つらい思いもして東大に入り、超一流企業に就職し、高給を取っていたとしても、ブルシットジョブばかりさせられて、それで人は幸せと感じられるのだろうか。まあ、その人にとってそれが最も合理的な生き方であれば、他人がとやかく言うことではないのかもしれないが。いま自分にとって一番切実な問題は、中2の男子数名が授業をまともに聞こうとしないことだ。映画を観るのと同じくらいの時間単価を支払っているのに(もちろん親が払っている)。いまの気持ち優先で生きるのか、未来のことを考えて生きるのか、どちらかだけではなく、どちらもだけれど、その配分をどちらよりに考えるのか。未来よりにシフトさせたいけれど、それは、その子のためを思って言っているのか、それとも自分の授業のしやすさを意識しているのか、うーん、悩ましい。本書を読んでそれぞれの立場で、それぞれの思いを語れる場があると良いと思う。僕自身は、それほど高いSESの家庭で育ったわけではないが、お金に困ったという記憶はないし、留学もさせてもらったし、ありがたいことではある。自分の子育てについては、経済的に余裕があったわけではないが、文化資本には気を配ったつもりだ。それが良い影響をもたらしたかどうかは別として。そして、いま幸せかどうかと言えば、うーん、不満がないわけではないが、まあ幸せな方がまさっていると思う。
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特別SESが高い家庭ではなかったが、親が教育熱心だったお陰で(隠れた意図的養育)学業に困ってこなかった。一方で、大学進学、就職と周囲の環境が変わるにつれて、周囲に優秀な人が増え、自分の家庭との経済格差を感じるようになった。塾に行くこと、浪人すること、幼少期の種々の習い事等に制限のあった自分と裕福な家庭の子を比較して卑下することがあったが、この本を読んですこしそのもやもやが解消された。
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ぼんやりと感じていた教育格差について深く考えるきっかけになった。同世代の人の意見を元に話が展開していくが、共感する意見も、ハッとさせられる意見もあっていろいろな気づきが得られた。
対話形式なのでスルスルと読める。
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教育社会学の入門としても読めるし、東大生の実態への野次馬根的な本としても読める。本書内で学生が、知ることと実践することには乖離がありつつも、知ること自体に意味を見出しているのが素晴らしいと感じる。
自分が東大卒なので、学生の感想や議論には違和感を持たなかったが、他の人の感想を読むとそうではないようで、難しい。
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男子は上半身裸で体育、黒髪最高、生まれながらの犯罪者はいない。
今も昔も変わらない問題を生徒が考えるのに意義があります。
経済だけでなく教育も30年変わらないのかと涙出ました。私たちの責任ですね。
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興味深いテーマではあったが、良くも悪くも結局は「東大生」という枠組み(もちろん彼らも皆それぞれ多様な人生を歩んでいるのだが)の中でのディスカッションなのだ、と感じた。しかし、このような学びの機会によって、先ずは自分たちの育ちの環境について思いを馳せることができたのは、学生たちにとってとても有益だったと思うし、書籍化によって、わたしたちも学べるようにしてくれてありがたいと思った。
平等と公正と正義の違いについての話は興味
深かった。
また、「幸福にとって一番大事な資本は、人間同士の絆、いわゆる社会的資本だというのが定説です。学歴や収入より、むしろ困ったときに助けてくれる人、人生を一緒に歩いてくれる人がいることが幸福には影響するわけです」(p264)という発言に大いに共感した。格差が無くなることというよりは、このような人と人との繋がりができる社会になることを目指していけるようになりたいと思った。
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まず、知ることが大事だと感じた。
偏差値の高い東大生でも自分が恵まれた環境にいることにさえ気付けない人がいるのだなと。
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まず、東大生の言葉の運用能力が高いと思った。
印象的だったのは、他者の合理性と異質な他者への想像力。