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末期がんが判明した椎名利夫の余命は一年。予期せぬ宣告に家族や周囲の人々は戸惑いを隠せなかった。利夫のために何をすべきか焦燥は募るばかり。晴れ姿を利夫に見せるため妻は四十路の娘に結婚を求め、娘は自分の思いを決して曲げようとはしない。すれ違いながらも、それぞれの脳裏によぎるのは利夫とのあたたかな思い出の数々。だが、想像を絶するスピードで利夫の体調は崩れ始め……。
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父の病により 4人家族がそれぞれの生き方を考え 思い合う姿が良かったです 妻の切羽詰まった心情や 娘の 言葉にしてこなかった言葉 皆切ないですが救いはあります
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余命一年を宣告された79歳の利夫と、妻、二人の娘を中心に描かれた家族小説。
癌で逝った父親の事を思い出し切ない気持ちで読み進めた。
予想を遙かに超えるスピードで病状が悪化する利夫。
夫が存命中に独身の長女の花嫁姿を見せたい一心で娘に対し思いの丈をぶつける妻。
これだけ多様性が叫ばれている中、両親、親戚、長女の友人が一様に結婚に拘り、辛辣な言葉を投げかける場面にはうんざりした。
特に長女の友人・愛美の発言には、腸が煮えくり返る。
誰かを犠牲にする事で得られる幸福感など偽物だ。
家族が幸せである事こそが親の願いではないか。
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最初の方は、乾さんらしくない内容でつまらないと思ったけど、最後の方の数十ページは大感動。乾さんの新境地に立った作品だった。ありきたりの状況をこんなにも上手く表現しており、流石ですね。
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末期癌の宣告を受けた父親とその家族。
世の中の常識と、家族の幸せ。
この家族は、いいなあと思える。「常識」に振り回されるところはあるにしても、最終的に親が求めるのは娘が笑っていること。娘も「常識」の呪縛から逃れる。
娘に対して「常識」を押し付けてくる「親友」の言葉は、彼女自身が受けている呪縛を思わせる。
恋人気取りの男は言わずもがな。自分の考えが多数派で常識だと思える人はある意味幸せだ。それを他人に押し付けていいとは全く思わないが。
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父のどうも身体の調子がよくないからと検査入院してから癌が発覚。
余命一年と言われたが、あまりにも進行が速い。
いつもちょっとした冗談を言っておちゃらけるところも変わらず、心配はさせまいとする父。
母もセカンドオピニオンを受けたらどうかと言うほどであったのだが、一気に腹水が溜まり入院。
結婚もせずに40歳まで両親と同居している長女の由希子は、相変わらずバイトだけの日々で小説を書いたこともかあったのだが…。
次女の真理子は両親から見れば優等生で、今は2人の子どもを持ち仕事もしている。
まだ一年あると思っていた父の病状の悪化。
それに伴い、母から結婚を願われる由希子。
川崎から勝手に恋人ヅラされて別れを言われる由希子。
友人の愛美から親の病気がショックなのは結婚せずにいまだに実家暮らししているからだと言われる由希子。
だが母には、自分の気持ちをしっかりと話した日から波立たせた感情が鎮まり、書きたい世界が広がったようであった。
しっかりと最後まで食べれば治ると信じている父と寄り添う母と姉妹。
最後は母に看取られ余命一年が36日という短さで亡くなった。
「……ありがとうな」
「おまえが、一番だ」
これほど泣けることばはない。
別れを前にした家族の在り方は、どういうふうにあれば良いのかわからないけれど家族がいる限り訪れることで、温かさを残したこの物語にはとても感動した。
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79歳の椎名利夫は体調不良を訴え内科を受診した。本人は季節外れのインフルエンザを疑っていたが、処方された薬は効かなかった。再訪した利夫に、医師は消化器内科への紹介状を書く。検査入院の結果、ステージⅣの膵臓がんと診断された利夫の闘病生活とそれを支える家族の話かと思いきや、主人公は40歳になっても親元を離れない長女だった。
小説家としてデビューし3冊の本を上梓したが鳴かず飛ばずで、現在はアルバイトで生活している。しつこいほどに結婚を迫る周囲の声に辟易するが、彼女が結婚しない本当の理由が明かされ愕然となった。
ステージⅣの膵臓がんといえば、どうしても山本文緒さんを思い出してしまう。進行が早いうえ発見が難しく、数多いがんの中で最も死亡率が高い難病だ。
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末期癌で突然の余命宣告を受けた父。
そこからあっという間に病状は悪化する。
そのスピードを自分に置きかえてみたら、ただただ怖かった。
家族は残された時間をできるだけ幸せなものにしようと頑張るのだけど、その「幸せ」って一体何なんだろうと考えさせられた。
父利夫のキャラクターが昭和の親父っぽい部分は困るけど、お茶目なところもあって憎めない。
読み終えて、なんだか自分の親に会いたくなってしまった。
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ある日突然、余命一年を宣告されてしまった利夫。それまで特に体調が悪い様子も見せなかったため、家族にとってもそれは青天の霹靂だった。しかもその進行は驚くほどに速く、最期の日はきっと遠くない。それまでに何をするべきなのか、何ができるのか、家族の思いは乱れるばかりになる。ひたすらつらくて重苦しくて、だけれどどこかしらに救いもあるような作品です。
平穏無事に続くと思っていた日常が終わりを告げる時は、突然やって来るのかもしれません。このようなことは誰にとっても他人事ではないのかも、と思わされました。だからこそつらい。でも誰にでも最期はやって来るのだから、それをいかにしてより良いものにするべきなのか。限られた時間の中で模索する彼らの姿に胸を打たれます。
そして個人的には、利夫の娘である由希子の境遇がなんとなく自分と似通っていることもあって、それがさらにつらく思える部分でもありました。四十路で未婚、実家暮らしで非正規雇用、本を出したことがあるけれど作家と呼ばれるほど安定した地位でない由希子は、何かにつけて蔑まれ哀れまれる存在。親を安心させるために身を固めろと再三言われ続ける彼女の姿は、生きづらく感じられます。でも彼女は結婚したくてもできないというわけではなく、仕事がないわけでもなく、ただ周りが押し付けてくる「幸せ」の価値観のずれが苦しいんですよね。彼女の生き方自体は全然不幸じゃないのに、不幸だと思わされてしまいそうになる。その部分がやたらと刺さりました。他人に何と言われようと、自分自身が納得して、幸せだと思える生き方をしたい、そう思えます。
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80歳近い男性が突然体調不良からがん宣告後急変していく様を妻と娘2人の家族の視点で描かれている。描写がリアルで臨場感たっぷり。思わず一気読みした後、続けて2回目も読んだ。
闘病ストーリーではなく、本題は長女が結婚しないことを本人が、家族が、どう受け止めいくかにあったように思う。
自分は妻の立場で何度も頷きながら読んだ。
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79歳の椎名利夫は腰痛を訴え精密検査を受け、末期の膵臓癌と診断される。余命1年、暫くすると半年、更には2, 3ヶ月と診断が変わる。妻の慶子、長女由希子、次女真理子の家族の葛藤が始まる。あくまでも気丈夫に振る舞う利夫、残り少ない余命に希望を託す家族、そして腹水が溜まり痛みも激化していく。何よりも利夫が気にかけていたのは40歳で未婚の由希子のこと。しかし、最後にはお互い理解しあえ、慶子も真理子もいい別れができたと思う。「癌はそんなに悪い病気じゃないんだ、お別れが言える病気」切ないが温かい気持ちになれた。
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昨年、父を亡くした私には
リアルすぎて切なかった
最初の告知からの病気の進行が早すぎるし
痛み止めをなかなか出してくれない
奥村医師にイライラした
最期も病院におらんし
なのに、奥さんも娘さんも
冷静に対応していて
私はこんな風に冷静には
無理やったなと思った
由希子が結婚しないことに
たいしての母親や親戚の反応は
あるあるやなぁ
でもホント1番いいのは
本人が幸せと思うことだよね
最期まで我慢強いお父さん
いつもふざけてるとこも
頑張ってご飯食べるとこも
自分の父親と重なり
色々思い出した
変に御涙頂戴にしない
リアルなストーリー
良い本だった
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余命一年と言われたのにあれよあれよと病状が進み…人生末期の親になにが出来るだろう。独身の娘は花嫁姿を見せるのが親孝行になるの?両親揃って娘に結婚を急かすシーンはあまりにもくどくてイライラさせられたけど、人生を終えようとしている父親に寄り添う娘や妻の姿がなんだか泣ける一冊でした。
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最後の由希子の人生の選択に凄く共感できました。
子どもが幸せに生きていることが親にとって一番ありがたいことなのだと、当たり前のことを再認識しました。
末期癌のお父さんが、ホスピスに転院もせずセカンドオピニオンも受けない、癌に対して攻めていかない生き方も、こういうことも普通にあることなのかもしれないと思わせるものでした。
すごいことが起こったり、素晴らしい人格の人がいたりする話しではないけれど、老親や年頃の子どもをもつ私としては等身大の家族の話として面白かったです。
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末期がんが判明した椎名利夫の余命は一年。
予期せぬ宣告に家族や周囲の人々は戸惑いを隠せなかった。
利夫のために何をすべきか焦燥は募るばかり。
晴れ姿を利夫に見せるため妻は四十路の娘に結婚を求め、娘は自分の思いを決して曲げようとはしない。
すれ違いながらも、それぞれの脳裏によぎるのは利夫とのあたたかな思い出の数々。
だが、想像を絶するスピードで利夫の体調は崩れ始め……。
(アマゾンより引用)