紙の本
ちょっと寂しい人たち
2023/10/01 11:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこにでもいそうな人がある日不幸に見舞われる。肉親の死とか勤務先の倒産とか。誰にでも起こりうる、自分ではどうしようもできない出来事。
そんな人たちが少しだけ勇気を出して幸せを取り戻す短編集。
自分の境遇を受け入れながらも、小さな幸せを見出していきます。静かで物悲しいけど、少しだけ心が温まるような話です。
お話は独立しており繋がりはないです。
紙の本
さみしいけれど、あたたかい
2023/09/14 15:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「つれていって」が特に好きだった。
こういう優しさのある世の中になってほしい。
装丁も優しいイラストと色合いでよかった。
投稿元:
レビューを見る
三好愛さんのホワンとした装画が堪らなく可愛い。
誰もが日常で交わす「ごめん」「なんで?」「ありがとうね」等の何気ない言葉をモチーフに、人生のひとコマを切り取った12話収録の短編集。
装丁のイメージ通り柔らかで優しい言葉が心にスルリと沁み込んで来る。
どの物語も脳内に情景が浮かんで味わい深いけれど、特に印象に残ったのは、父子家庭で暮らす高校生の娘と父親の姿を描いた『もういいよ』。
寂しさが伝染して来る『待ってた』『きれい』。
現代人が抱える孤独に寄り添い、温かな言葉で人生にほんのりと灯りをともしてくれる癒しの作品集。
投稿元:
レビューを見る
何気ない言葉をモチーフにした短編集。
この本を読もうと思ったのは、装丁がほんわかしていたから、挿絵もタイトルを連想させる。ミニマムだけど温かい。
三好愛さんは、宮部みゆきのおいち百物語シリーズも手掛けてるけど、なんだろう、怪しい話なのに癒やされるホントに不思議なイラストだ。
投稿元:
レビューを見る
何気ないひとことだったり。
普段よく使うことばだったり。
必ず口にしたことのあるひとことでもある。
そんな言葉がもたらしてくれる不思議な奇跡。
言葉が繋ぐ想いもじんわりと感じる短編集である。
「大丈夫」のことばは、目が見えなくなるかもしれないと不安になっている私に夫がずっとそばにいるから心配しなくてもいいという大丈夫なのかもしれないし、夫や子どもたちに心配しなくても大丈夫だよと私が言うことばかもしれない。
「ごめん」のことばは、母が亡くなり実家に帰ったが兄には冷たいと言われて、母親からは会えば嫌みを必ず言われるので足が遠のいたからで、だけど兄嫁から先にお風呂にどうぞとゆっくり入って下さいね。ここは香奈江さんのご実家なんですから。のことばで涙が溢れて、ただただ「ごめんなさい」と何度も言ってた…。
なんだかわかるようで…悲しくて切ない。
「覚えてる」は、亡くなったおじいちゃんが「人は裏切る。しかし身につけたものはおのれから離れず、身を助ける」ということ。
泣いて帰ってきても根掘り葉掘り聞かずに、人は裏切るけど自分で学んでたくさんのことを身につければ、誰に裏切られてもびくともしない鎧になると。
ちゃんと覚えて実行しているのがすごいことだ。
「もういいよ」は、27歳でシングルファーザーになった父が娘のためにお弁当を作り続けていることに、がんばらなくてもいいよと。
楽しんでするぶんにはいいけど無理をしてるのはイヤかもしれない。
無理ならもういいよってこと。
短いことばでも捉え方で印象が変わったりする。
何気ないことばだからこそ、軽く流すのじゃなくって考えてみることで違う意味も含んでいるのかも…と思ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
さらっと読む気だったんですが、1話からガツンと来た上に単純に暗い重いでくくれないズンとした話が多くて粛々と読みました。「的外れな優しさだけど、自分に対して矢を前に飛ばしてくれたことは純粋にうれしい」というフレーズは何だか目が覚めるような考え方で印象に残った。
投稿元:
レビューを見る
12の小さな物語。
やさしそうであって、どこかしら不穏さも漂わせ、何かが欠けた者たちが欠けた場所を埋め合うような切ない寂しさも感じさせる。あたたかいのに冷たい印象。
投稿元:
レビューを見る
星3か4で悩みました。12の短編集。
ふわふわとした表紙にやわらかい話を想像していましたが、真逆で驚いた。明るい先の見える話もあるが、読み進めると気分は晴れなかった。
誰もが抱える暗い気持ちや悩みと
側に居てくれる誰かがもたらした言葉を大切に心に届く様子がわかりやすい。
それぞれの章に登場する人物は少なく、どこにでも誰にでも側に居てくれる人がいるということに気付く。
投稿元:
レビューを見る
色々な世代の、境遇の違う人生の一コマを切り取り、心のひだを丁寧に描写しています。その言葉選びに惹きつけられるものがありました。
ちょっぴり寂しい気持ちになりつつも、遠くの方に光が差している、「いろんな生き方があっていいんだよと」励まされるような12編の物語でした。
投稿元:
レビューを見る
歌人でもある東直子さんの 「言葉」 がもたらす12 篇の短編集。 大丈夫、 ごめん、 ありがとね...などのひと言がタイトルになっていて、ページをめくると三好愛さんの優しくて可愛らしい挿絵が描かれています。
お話の最初は孤独感や寂しい気持ちを 抱えてる主人公たちですが最後にはひとりじゃないよ 〜と明るい兆しの見えるお話ばかり。言葉による小さな奇跡てあるのかもしれません。『待ってた』のアケミちゃんとスミレちゃんのお話のラストは悲しいけれど石で綴った「マッテル」の文字。アケミちゃんはきっと見てくれるよ
投稿元:
レビューを見る
人と人とが普段何気なく交わす言葉がタイトルの短編集。
「もういいよ」「なんで?」「ありがとうね」…それらのタイトルはとてもシンプルな言葉だけれど、見ただけでその背景がなんとなく伝わってくるから不思議。
これらの言葉は自分ひとりっきりではまず出てこないだろう。対話する相手がいるからこそ生まれる言葉だと思う。
そんな短編集の表題が『ひとっこひとり』とは。「ひとっこひとりいない」から「いない」をあえて失くすことに、東さんは意味を持たせているのかも。登場人物ひとりひとりが抱える想いを丁寧に掬い取った短編集だった。
『大丈夫』『ごめん』『覚えてる?』『きれい』が特に印象に残った。
投稿元:
レビューを見る
日常のありふれた言葉からこんな素敵な短編が生まれるのは、やっぱり歌人だからかなと感じた。
優しい印象の装画から、癒やし系の物語を想像したけど、そうでないものも。
人間は「一人」を強く感じる時もあるけど、本当にひとりぼっちってことはなくて、言葉や思い出とか何かしらのもので他人と繋がっているんだよなと、改めて感じさせてくれた。
1話は15ページ程度なのに、予想以上に中身がぎゅっと詰まっていた印象。
投稿元:
レビューを見る
本の表紙に魅かれて、手に取った。
「ひとっこひとり・・・」
後に続く言葉は色々、
そんな、色々な年齢の色々な事情を抱えた一人の話。
でも、必ず、そばには誰かが現れて、
寂しさを癒したり、暖かい気持ちになれる、
そんな出会いのストーリー。
「大丈夫」
「待ってた」
「見つかった?」
が、特に切なくて、印象に残った。
投稿元:
レビューを見る
日常の本当に本当に何気ないヒトコマを切り取った短編集。
この世にはいろんな事情、思いをかかけてたくさんの人が生きている。改めてそれを思いしる。
どの話も深く掘り下げすぎず、読者が想像を巡らせる余韻がたっぷりとある。白黒はっきりさせたい人には向かないかもしれないが、私は好きだった。
投稿元:
レビューを見る
短編がいくつも。日常の、ありそうな、いろんな人のいろんな場面を切り取った、といった感じ。個人的には、話に入り込んだところで終わっちゃうので物足りなくてもっと読んでいたい感じもしたけど、それがいいのかな。それぞれの主人公たちの、その後を想像すると、みんな幸せであってほしいなあと思った。
ひとっこひとり、誰一人として同じ人はいない、そんなところなのかなあ、このタイトル。