- 販売開始日: 2023/08/11
- 出版社: 亜紀書房
- ISBN:978-4-7505-1804-6
ルポ リベラル嫌い――欧州を席巻する「反リベラリズム」現象と社会の分断
著者 津阪直樹
〈「もう、リベラルはうんざりだ」?〉極右に惹かれる若者たち、移民を不安視する労働者たち、敵視される団塊世代、そして高まるEUへの不信感……。近年、欧州で広がる「反リベラリ...
ルポ リベラル嫌い――欧州を席巻する「反リベラリズム」現象と社会の分断
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商品説明
〈「もう、リベラルはうんざりだ」?〉
極右に惹かれる若者たち、移民を不安視する労働者たち、敵視される団塊世代、そして高まるEUへの不信感……。
近年、欧州で広がる「反リベラリズム」感情の底流には、一体何があるのか?
EU本部の置かれるベルギー・ブリュッセルに赴任した著者が、揺れる欧州の現場に取材し、不安の根源に迫る、渾身のルポルタージュ!
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【目次】
■プロローグ……リベラリズムの行方
■第1章…………若者 vs. 団塊世代?──敵視されるリベラル
■第2章…………移民とグローバリゼーション──広がる経済不安
■第3章…………緊縮がもたらした分断──リベラル・パラドックス
■第4章…………ブレグジットの背後にあるもの──取り残された人々の怒り
■第5章…………ポルトガルの奇跡──「反リベラルのメロディー」を越えて
■第6章…………新型コロナとインフレ──問われるリベラリズム
■エピローグ……未来へと一歩を踏み出す
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思想主義論、欧州論、経営論、そして哲学書!
2023/09/06 07:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風車の旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は単なる主義思想論や欧州レポートではない。現役の新聞記者がかき集め拾い尽くした事実や想いを一冊に閉じ込めた記録。新聞紙面に収めきれなかったその記録が丁寧にかつ勢いよく紡ぎ出されている。
自国ファーストか全体主義か。EUの理念である「戦争経験を踏まえた平和のための共同体」「民主主義のシンボル」は素晴らしい。一方で、28カ国にはそれぞれの背景や事情があり経済力が異なり国益を重視することを優先せざるをえない。緊縮を押しつければ国民は動揺し反発するばかりだ。
「これはどこかの企業と同じだな」と企業人なら思うし、「これは我が家のことだ」と大家族の主人は思うだろう。
「自国ファースト」は仕方ないとの見方もあるが「自国オンリー」になるべからず、国のトップは説明責任と透明性を果たし、国全体で諦めずに知恵と底力を出し切れば、その道の先に薄明かりが見えてくる。それこそ「踏み出すべき第一歩」なのだろう。第5章の「ポルトガルの奇跡」は著者のそんな想いが彷彿している。
そういう意味で本書は「経営書」や「リーダーシップ論」でもあり、その根底を成す「哲学書」でもあるような気がしてきた。本書なら、真のジャーナリストを目指す方々、経済や政治を志向する若者たちに是非読んで頂きたいと願う。
1年に50冊程度は読む小生が、こんなにも一冊の本を多面的に深く夢中になって読んだのは久しぶりだ。それもこれも、本書から醸し出される著者の気迫、ジャーナリスト魂が小生の心の中で渦を巻き席巻したからと思えてならない。