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女性不況サバイバル
著者 竹信三恵子(著)
コロナ禍は,「ケアする性」を直撃した災害でもあった・・・.世界各地で「女性不況」と課題視されたにもかかわらず,なぜ日本の女性たちの雇用危機は無いことにされ,放置されてきた...
女性不況サバイバル
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女性不況サバイバル (岩波新書 新赤版)
商品説明
コロナ禍は,「ケアする性」を直撃した災害でもあった・・・.世界各地で「女性不況」と課題視されたにもかかわらず,なぜ日本の女性たちの雇用危機は無いことにされ,放置されてきたのか.社会に埋め込まれた「不可視化と沈黙」を生み出す六つの仕掛けを浮き彫りにし,女性たちの模索をたどる.危機はまだ終わっていない.
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紙の本
非正規雇用のあり方がおかしくなっているのでは
2023/12/02 10:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
派遣、外国人実習生、公務員の任用職員などの低賃金不定期な雇用のしくみが、女性ということに限らず、雇用のありかたや社会や経済の閉そく感の大きな原因になっている気がしました。雇用の流動性はあったほうがいいと思いますが、それを支える仕組みや環境が不十分なまま、変に賃金を抑えられた不安定な仕事が増えていることが、まわりまわって少子化とかにもつながっているのではないかと感じました。
個人を十分に支援できない、企業や世帯を対象にしているいろいろな制度もだいぶ疲労しているんだと思います。マイナンバーカードなんかが、ちゃんと機能してくれば、改善されるのでしょうか。土台のレベルで、つくりなおしを考えた方がいいように思えました。
紙の本
コロナ禍が日本社会の弱点である女性低位の構造を晒しだしたのか
2023/09/14 10:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍は社会の弱点を晒しだしたことは間違いない。それは、保健所や医療機関の感染対策だったり、ワクチン開発、マスクの生産が中国頼みであったり、数多くて驚いた人も多かっただろう。本書は、序章で女性の置かれた立場、十分改善されていなかったゆえに起こった問題を取り上げる。社会の実情を無視した学校の一斉休校は、何も分かっていない人の思い付きとしかいえない案件も出てくる。当時、一斉休校で医療機関、福祉施設等の職員が出勤できないといわれ、学童クラブ等で対応せよというのを聞いて、学校より狭いところでは感染拡大させたいのかと思った。しかし、ここで日本社会の弱点が見えてきたことは事実である。多くの犠牲者を出しながらであるが。目次を見ると、
序 章 「女性発」の見えない脅威
第1章 「夫セーフティネット」という仕掛け
1 シフト制パート女性の反乱
2 「家計補助」のトリック
3 一斉休校と「子育て緊急事態宣言」
第2章 「ケアの軽視」という仕掛け
1 感染拡大下での学童保育指導員雇い止め
2 「保健師増やして」キャンペーン
3 「三密」の連続、上がらない報酬
4 会計年度任用職員の登場
第3章 「自由な働き方」という仕掛け
1 キャバクラの女性たちの「雇用回復」
2 脆弱雇用ほど手薄な支え
3 フリーランスを素通りした育児支援
第4章 「労働移動」という仕掛け
1 就労支援の先の劣悪雇用
2 「資格」の限界
3 「正規化」にも限界
第5章 「世帯主主義」という仕掛け
1 「簡素」「迅速」ではなかった世帯主支給
2 繰り返される給付金差別
3 子どもや少女に広がる被害
第6章 「強制帰国」という仕掛け
1 「外国人切り」も女性から
2 二つの「派遣切り」の温度差
3 「入れ替え装置」に挑む
第7章 新しい女性労働運動の静かな高揚
1 「夫」の外にセーフティネットを作る
2 実態に合ったルールを作る
3 「よい労働移動」を目指して
4 動き出す若い世代
終 章 「沈黙の雇用危機」との闘い方
1 作られた「女性不況」
2 男性労働問題の核でもある女性労働問題
3 「使えるもの」を掘り起こす
おわりに
主要引用・参照文献一覧 となっている。
以上のように、本書では、女性不況と題した原因となるものを次々に取り上げていく。夫セーフティネットは、女は早く結婚して夫に養ってもらえば安心という。しかし、バブル崩壊後、就職氷河期も含めて、30年余り経済成長せず、賃金も上がらず、世界から取り残されてきた結果、男の経済力は大幅に低下しており、非正規のまま、年金があるか不明という人が増えている。それでも、しがみついている人が多いのだろう。本来、給与を払うべき仕事に無償が当たり前という世界は異常といえば異常である。介護保険の報酬の議論でも、スーパーのレジ打ちと同等と見る向きがあった。双方に失礼な話であるが。多くの企業が売り上げを増やして利益を上げることから、人件費等を節約して利益を上げ、配当を増やしてきたことと対になる構造が、女性不況というものであろう。後ろ向きな日本社会の実態を次々と出され、初めて知った方、憂鬱になる方等の多くの方がおられるであろう。それでも、現実に向き合い、正面から取り組む人の姿を見て、あるべき社会を考えていく必要があると思う。これは女性だけを対象としたものでなく、女性の無償労働の発想は、軍隊の徴兵制という無償又は低賃金という発想にも共通するものであろう。一読してほしい本である。