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【オール讀物新人賞で注目を浴びた新鋭、初の長編小説】かつて、山田家の嫁と女中頭だった千代とお初さん。大正から戦後にかけて、「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く二人を描く。
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初めての結婚、初めての嫁ぎ先での暮らし、
うまくいかない旦那との生活・・・
それらをひっくるめて、女中の初枝と絆を結んでいく千代。
ちょっとのんびりしているせいで、
旦那は離れていってしまうし、嫌なは話は聞いてしまうし。
のんびりがそんなにいけないの?
千代の体を普通じゃないと言った旦那さんは
女のことなんにも分かってないなーと思った。
そして、そんな千代を見た初枝さんがした行動は
千代さんのことを信頼しているからなんだろうな。
千代さんは女としての人生を満足して過ごせたのかなとは思った。
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初めて読む作家さん。
書評に書かれていたのは、太平洋戦争の混乱の中、元主人が元女中さんの下で働くという逆転現象が起こる、でも空気は明るく軽やか・・・と言うようなことが描かれていた気がする。
それで、かなり緊張して読み始めたのだが、なるほど、この設定ならば、空気がよどむことはないと、胸をなで下ろす。
わたしは女性の友情物語が好きなのだが、まさにそんな小説。
女性達が素晴らしすぎて、これを映画化したらと、キャスティングまで考えてしまったw
今の段階で、確定は年若い女中さん・お芳ちゃんに杉咲花さん。
跡取り息子・豊一郎に杉野遥介さんでどうだろう?w
主人公/千代とお初さん、お芳ちゃんの三人がこしらえる、料理がおいしそうなのも、いい。
そして、何より働くこと、手を抜かないこと、そのすがすがしさがいい。
途中、自分は勤めを果たした、あなたは何をしたのか?と
千代が問われるのだが、その成果主義、コワイコワイ。
お初さんや千代のように、笑って生きていきたい。
心からそう思わせてくれる小説。
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Kindleで読んだ。
裕福な家に嫁いだ千代と、女中頭の初衣。戦後すべてを失った千代は住み込みの女中に、視力を失った初衣は三味線の師匠となり…。大正から戦後にかけて、「普通」から逸れてもそれぞれの道を行くふたりの女性を描く。
初読みの作家さん。
お初さんとお芳ちゃん、そして千代で山田家を切り盛りしていく。
当時の家事の様子を読むのが好き。
千代と夫との関係は読んでて苦しかった。
戦時中も工夫して生活していく二人。
“千代とお初さんは敢えて同じ種類の野菜を育ててどちらが多く収穫するかを競ったり、千代が配給の脱脂綿で防空頭巾の顔まわりの感触を雲のように柔らかくしてみせれば、お初さんは高助の背広をほどいて二人分のもんぺに仕立て直したりした。置かれた立場や戦争の二文字を頭から振り払うかのように、ひたすら日常に埋没していた。”
空襲の混乱のなか、はぐれてしまった二人だけど、再会できて良かった。
戦後だからこそ、この言葉がしみるね。
“「大変かもしれませんけど、二人一緒なら、どこへでも行けます。だって、生きているんですもの」”
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とても読み心地のいい物語。戦前から戦後までの二十数年を描いていて、中心にいる千代と初衣。千代の嫁ぎ先にいた女中の初衣との出会いからの日々。この二人の女性のやりとりが両者への思いやりに満ちている。厳しく難しい時代の中で女性として生きる困難さをお互いがいるということの心強さをたくさん感じることができる。前作の『駐車場のねこ』と今作でこれから新刊が発売されたら必ず購入する作家さんになりました。
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大正~戦禍~戦後という時代背景とは正反対に、働き者の女性たちの家事への奮闘、工夫を凝らした料理の数々、心を許し合った女たち特有のテンポの良い会話が、ページをめくるワクワク感を最後まで損なわせない愛すべき物語。
千代と夫・茂一郎や秋山さんとの関わりは、生々しく時に滑稽だが、真面目で鈍感な千代がいじらしく思えて応援したくなってくる。
個人的には、千代が男性に深く愛されてほしかったけれど、お初さんやお芳ちゃんとの絆があれば、これもまた幸せ。「優しい光に包まれながら」「死ぬまで一緒に生きて」ほしい。
~明治生まれの亡き祖母に読んでもらいたかった一冊です~
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先日第170回の直木賞の候補作が発表になりましたね(芥川賞は興味なし)
・加藤シゲアキ『なれのはて』(講談社)
・河﨑秋子『ともぐい』(新潮社)
・嶋津輝『襷がけの二人』(文藝春秋)
・万城目学『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)
・宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)
・村木嵐『まいまいつぶろ』(幻冬舎)
の6作品です
前回は直木賞発表前に読み比べみたいなことをしてみたんですが、今回は正直どれもあまり食指が動きませんでした。(『まいまいつぶろ』のみ既読で面白かった)
そんな中、唯一読んでみたいと思ったのが本作『襷がけの二人』でした
で、まあそうねぇ…
なんかこうサラッとしてたなぁ〜
いろいろあるのよ
それなりに波瀾万丈なのよ
戦前から戦後にかけての物語でもあるし
でもこうなんか、サラッとつるっとした喉越しのいい物語でした
なんだ喉越しがいい物語って!
こう、ざる蕎麦みたいな(いよいよ意味不明)
主人公の女性二人の関係性がそんな感じだったからだろうなぁ〜ってね
だから何だよ!ざる蕎麦みたいな関係性って
いや、面白かった!面白かったんだけど…もっと他に候補作あったやろ…ともちょっと思ってしまいました
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いい本を読んだ。
千代さんとお初さんの関係が素敵。
予想とは違う関係だったのだけど、お初さん粋だなぁ。
茂一郎はやっぱりちょっとひどいなぁ。
お春さんも私もいやな女ですねぇと思ってしまう。
戦時という怒涛の時代を生きた二人のお話なんだけど、のんびりやの千夜さんが主人公なせいか、ゆったりと読めて良かった。
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直木賞候補作。
まず構成が面白かった。
最初に、お初さんのところに女中として千代が働くことになり、以前は逆だったと話が進む。
戦前〜戦後の昭和の時代を、千代とお初さんが生き抜くお話が面白かった。続きをもっと読みたいと思った。
それにしても、やはり昔は女性の立場が低かったんだな…と思った。
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主人公の千代が若い頃の話では、のんびりしてぼんやりしすぎていて、不幸な境遇も致し方ない感じがしました。常に親切で素敵な女性のお初と出会えて幸運だったし、歳を重ねてしっかりしていくのは良かったです。
料理を作る場面が多いので、料理好きに楽しい1冊でした。
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Amazonの紹介より
裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。
「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。
やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……
幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!
第170回直木賞候補にノミネートされたということで読んでみました。
立場や年齢が違えども、2人のやり取りは微笑ましくもあり、愛のある厳しさもあって、強さや柔らかさ、和やかさの混ざった「友情」のような雰囲気がありました。
最初は、立場が違って、三味線の師匠(初衣)と女中(千代)との関係から始まります。今まで何があったのか、バックボーンが分からず、現在(昭和24年)のことが描かれています。
師匠が視力を失っているということで、女中がほぼサポートするのですが、師匠との雰囲気が仲睦ましく感じました。
なぜ師匠は視力を失ったのか?
なぜ女中は声がガラガラなのか?
理由は戦争ですが、詳細に語られていません。ここからは過去(大正時代)へと誘っていきます。
女中だった人は夫の家に嫁ぎ、師匠だった人はその家の女中頭だったことがわかります。
現在に至るまで、どんな人生を辿っていったのか。一筋縄ではいかない人生に女性たちの苦悩がいっぱい詰まっていました。
特に近所のおばさんの存在はウザかったです。噂好きといいましょうか、他人の不幸は蜜の味なのか、ちょいちょい突っ込んでくる描写は、読んでいてもイラッとしてしまいました。
夫の行動も、まぁ許せない場面もありました。優しい嫁がいながら・・・ちゃんと嫁をサポートしてあげないととか思ってしまいました。
千代は千代で、なかなか人には言えない体の悩みが描かれています。女性ならではの悩みであり、意外と丁寧に描かれていて、男にとってはちょっと衝撃的でした。誰にも言えない悩みを初衣さんにだけ打ち明けていますが、この辺りから千代と初衣の関係性が、次第に絆が強くなっていく描写が印象的でした。
夫や近所の人に翻弄されつつも、次第に千代の心が弱さから強さへ、段々と「女」として生きる姿にパワーをもらいました。
そういった困難を乗り越えて、また新たなる困難へ。戦争なのですが、絆が深まったからこそ、突然引き裂かれる描写は、心苦しかったですし、今後どうなって行くんだろうと心配で仕方がありませんでした。
まぁ、結末は現在パートで、なんとなくわかっているのですが。
女性にとって、「幸せ」とは何なのか?
周囲から何を言われようとも、本人が幸せでよければいいと思います。昔の時代だと、「普通」とは違う人生を歩むと、「��常」というようなレッテルを貼られてしまいます。
それでも、生き抜いた登場人物たちの描写に、元気・勇気をもらいました。
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強く生きる女たちのお話。途中で、作者がとんでもない性癖なのかと思って話が入ってこなくなった。結果的にはすごく感動した
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第170回直木賞候補作。表紙の絵のイメージで読み始めるとまず、あれ、と思って、読み進めているうちに、思うよりずしりとした重みがかかってくる。でも、表紙絵の二人のように、軽やかとまでは言えないまでも、二人共が乗り越えていく。美しい話でした。
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千代が女中として目の見えない初衣の元で働き出した冒頭。どうやら千代は初衣のことを知っていて慕っているようなのに、なぜか自分の正体を明かさない。
読んでいる間ずっと心が温まるような、気持ちの良い読書だった。
千代も初衣も気持ちの良い人間だし、風呂場での2人のやり取りは笑ってしまう。千代の持つ「もの」は名器だったということでよろしいか。笑
主人(の嫁)と女中という関係上、女中が一方的に従うという様子が思い浮かぶが、やれやれ、面倒みてあげましょか、という態度の初衣とのんびりした千代には主従関係みたいなものは当てはまらない。かと言って千代を軽んじることもなく、女中としての矜恃を持っている初衣の振る舞いは見ていて格好良い。
一番好きなシーンは、初衣が千代の夫の子を産んだ女(不倫相手という点を除けば自分の立場を弁えた物分りの良すぎる女)のことを「いやな女ですねぇ」と言ったところ。なんだかスッキリする。
立場が変わって千代が女中となっても、2人の関係は何も変わらないだろう。なんて素敵な物語。
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戦前から戦後にかけての東京を舞台にして、若奥様と女中という関係で始まったある二人の女性同士の絆を描いた作品である。
全体的なストーリー展開にそれほど真新しさは感じられず、オーソドックスなバディものに留まっていると印象だけど、主人公の千代に関わる「ある秘密」についてのインパクトは中々のものだった。秘密の中身はもちろんここでは書けないけど、よくこれだけ開き直って書いたなあと。色々な意味で感心した。
この手の話は扱いを間違えると果てしなく下品になっていくんだけど、本作に関しては不思議といやらしさは感じない。とはいうものの、アマゾンのレビューで朝ドラに期待、みたいなことを誰か書いていたけど、この原作小説を忠実に映像化するのは少なくともNHKでは無理なんじゃないですかね。
幸田文や有吉佐和子の流れをくむ作品とのことだが、どちらの著作も読んだことが無いのでその妥当性については判断できず。
個人的にはもう少し続きがあってもいいのでは、と思った。