紙の本
え?を大切に
2023/01/31 12:36
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
え?という違和感を大切に、同調圧力に負けるな、という趣旨のことが、さまざまなAPIソードと一緒につづられた一冊。講演録も含まれる。
同調圧力に関する実験の話や、「君たちはどう生きるのか」、『村八分の記』の少女の話などが、梨木香歩さんの優しい言葉で紹介されており、読みやすい。
小学校高学年以上の子どもなら理解できると思う。ぜひ読んでほしい。
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ムラ社会という言葉が表しているように、日本という国は同調圧力が非常に強いようです。
世間や組織、共同体の常識(それが正しいか正しくないかは関係ない)に反する人の声は無視され、酷い場合には排除されます。
本書のタイトル、ほんとうのリーダーのみつけかたのリーダーとは自分自身のことです。
物事に対して「引っ掛かる」ことがあったら、内なる私自身の魂の声を聞き漏らさぬよう、善悪の判断を誤らないよう、自ら考えて行動が起こせる人間でありたいと思いました。
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後半の内容はよくわからなかった。前半は面白かった。自分のなかで生まれた「え?」という疑問・違和感が、その人らしさを保っていく。
2本の鉛筆のうち、どちらが長いか?を答える話…中国人の捕虜の残虐の話…自分だったらどうするか考えさせられた。ボクも同調圧力に弱いからな…捕虜の残虐については、決断しているという意味から考えると、自分らしさがないなんてあり得ないことなんじゃないかと思った。
自分のなかのリーダーを見つけること。すなわち客観力。鳥の目。俯瞰的にみるってすごく大切だな。
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単行本の時に一度読んでいるものの、増補部分と若松英輔さんの解説を読みたくて購入。数時間で読了できた。人間は、群れを成して生きている動物なので、群れ(=集団)に属したい欲求があるものだし、属していないと不安になるようにできているとしている。問題は、属する集団が意に沿わない場合だったときで、その際には「内なるリーダー」の声を聞くとよいとする。まず、個人であることを大切にしたいという、若い世代へ向けたエールであった。
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梨木さんのものがたりは読みやすくわかりやすいのだが、エッセイは意外に難しく、何度となく読み損ねていた。この本はスピーチを文章化したものが底本なので、読みやすいと思う。
「日本語について」は大いに共感する。
『君たちはどう生きるか』を再読したくなった。
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今の混沌とした時代だからこそ、リーダー不在の時代だからこそ、物事の本質を見失いそうな時代だからこそ、魂に訴えかける書であった。本書が出されたのがコロナが始まった時、そして増補版として出された。ともに言葉を大切とする若松英輔氏の解説も秀逸。シンプルに書かれているが、内容は深く、何度も自分の中で反芻させられる書であった。
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この2年以上、国民はリーダーの不在に流されてきた。本書の単行本が出たのは2020年7月。コロナ感染が急拡大して、国民が半ばパニックに陥っていた頃だ。その少し前の4月に政権が2枚の布マスクを全国民に配布していた時期で、新刊の棚に本書が並んでいるのを見た私は、ああ梨木さんも国に物申すのかなと思い、きちんと目を通していなかった。
今回、それが文庫版となって刊行された。ツカが出なかったのか、厚めの紙に、ゆったりとした組み方で、さらに書き下ろしが1章加えられている。それでも100ページほどの薄い本だが、内容は濃い。
読み終えた第一印象は、“あれ、思っていたのと違う”だった。私は梨木さんが、頼りない国を糾弾して、リーダーとはどういう人か、その考えを述べると思っていたのだ。だが、違った。本書の肝は、「あなたの、ほんとうのリーダーは、あなたです」に尽きる。私は無意識のうちに、自分の決定権を、誰かリーダーという他人に委ねようとしていたことに気がついた。だから、本書の内容を、タイトルを見ただけで想像してしまったのだ。
本書は、『僕は、そして僕たちはどう生きるか』文庫化の際の講演録がベースであり、年若い人たちに向けて語られているため、読みやすい。ふとした折にまた読み返してみたくなるかもしれない。
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コロナ禍が深刻化していた2年前の単行本の増補文庫化。
書き下ろしの章「引っ掛かる力、そして新しいXさんの出現を ―『村八分の記』(石川さつき著)を読む―」と、岩波現代文庫のためのあとがき、それに若松英輔の解説がついた。
新たに加わった章の高校生が村ぐるみの選挙不正を告発した顛末は、いまの日本の若者は自分の行動で社会や世界を変えられる、という自己効力感が低いという話につながる。信念にしたがって声を上げる人がこんな目にあってはいけない、でもそういう人に距離を起き批判する意見にも理がなくはない。そこを橋渡しするXさんというのはどうやって生まれうるのだろう? 若者をどう叱咤激励しても、教育を工夫して「引っ掛かる力」が身についても、まず大人が変わらないとこの絶望的な状況は変わらないなと思った。
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ほんとうのリーダーのみつけかた
群れというもの
テレビの実験―同調圧力
「みんなちがって、みんないい」の重み
日本語について
あなたのなかのリーダー
群れの一員としての幸せ
ヘレン・ケラーがたたんだナプキンのこと
あなたの、ほんとうのリーダー
チーム・自分
鶴見俊輔さんのお話から
あるテニスの試合で起こったこと
敗者であることの奥深さ
今、『君たちはどう生きるか』の周辺で
この年月、日本人が置き去りにしてきたもの
引っ掛かる力、そして新しいXさんの出現を――『村八分の記』(石川さつき著)を読む
ことの発端
その二年前に起きた事件
朝日新聞静岡支局への投書、村びとからの村八分
朝日新聞本社への投書、その全国的な反響の大きさ
村の同級生、Bさんの立場と意見
「細胞」の生き方
六十三年後
「引っ掛かる」力
いつか、新しい「Xさん」の出現が
岩波現代文庫版あとがき
解説……………若松英輔
初出一覧
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チーム・自分の中のリーダーの声。
「僕は、そして僕たちはどう生きるか」は、よかった。
が、啓蒙主義の匂いがほのかに。
もちろんその意図はあるはず。
そして深い誠意から来ているはず。
でも自分が14歳だったら反撥していたかもな。
本書はもっとそう。
ヘレン・ケラーがナプキンを畳んだという件に深く感動する母親の姿に胸打たれたのは、やっぱり大人になってからだもの。
でも自分のような頑なな少年にも、こういう言葉を一度送っておけば、どこかで復活するものだと思う。
「みんなちがって、みんないい」のような言葉をシニカルに受け流す姿勢が身についてしまっているが、逆の姿勢も持っておきたいな。
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梨木の著者である『僕は、そして僕たちはどういきるか』が岩波で文庫化された時の2015年にジュンク堂の池袋本店での若者向けの講演会がありそれを基に書籍化された。
「僕は、そして今僕らは」吉野源三郎著の『君たちはどう生きるか』を意識しているのとのこと。(それは良いそうだよね。どなたがみたってね)ファシズムの軍歌が流れたれ吉野等が危機感を抱いて「君たちは」を出した時代と現代に同じ空気を感じ書かれた。2007年の教育基本法の愛国心を強要するかのような改変、2013年の教育秘密保護法が成立したなどだ。
同調圧力とは、群れとはを具体的に教えてくれ、同調圧力に屈しないで自分の軸を大切に生きていく術が示している。
それにしても、宮本常一の『庶民の発見』の鐘楼の話には驚愕した。想像を超えた話だった。
石川さんの『村八分の記』は、石川さんの勇気に驚き同時にこの構図はどこにでもあると感じた。会社や官公庁の不正を告発した人も石川さんと同じようなあつかいを受けるのだろうなと。
「だれよりもあなたの事情をよく知っている。両親よりも、友だちよりも、いわんや先生たちよりもあなたのことをすべて知っている。(省略)そう。あなたの、ほんとうのリーダーは、そのひとなんです。」は、テレビでくりーむしちゃうの上田が若手芸人のADのカンベにムシしたいがどうすれば良いかの質問に答えていたこんな言葉を思い出した。「ADなんて俺のこと20%くらいしか考えてない。俺は俺のこと100%考えているから、自分に従う」
を思い出した。
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「君たちはどう生きるか」という問いへの筆者なりの一つの答え。
これまで何も考えず、同調圧力に従い生きてきた気がする。
尊敬できるリーダーを探し求め、やっぱりちょっと違うなぁ、とがっかりしたり。
思ってもないことを言って、自己嫌悪に陥ったりすることもたくさんある。
「自分の中の、埋もれているリーダーを掘り起こす」作業をしたことがなかった。
自分的基準や批判精神を持って、自分にいいかっこしながら生きていく。劣位にある自分も受け止めていく。そうして、「自分という群れ」のリーダーとしての振る舞いを学び、世界への愛と祝福の想いを抱きながら進んで行けたら。引っかかったことに勇気を持って声をあげることも、いつか、できたらいいなと思う。
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図書館で偶然手に取って、内容に引き込まれてその場で読了。
日本がいつ戦争になってもおかしくない、最近の社会情勢に危機感を感じている人は多いと思う。
そこに刺さってくる内容だ。
同調圧力の社会心理学についての実験の話や、鶴見俊輔氏から聞いたという中国人捕虜への残虐な行為
そうしたエピソードからはいろいろ考えさせられた。
でもタイトルにあるリーダーの見つけ方と言うフレーズと本の内容がいまひとつ結びつかなくて悩ましい。
自分のリーダーは自分であるということを言いたいのかもしれないけれど、要するになんなんだろうという読後感。
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再読。文庫化で追補された『村八分の記』がよかった。世の中がどうあれ、世界がどうあれ、他人がどうあれ、自分の中にリーダーを見出し、堅持できるか。考え続ける姿勢だけは放棄したくないと思う。
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ことばを使う時、実を伴って使わないと、ことばは力を失い空疎なものになるということに強く共感した。金子みすずの詩の「みんなちがってみんないい」について、本当に?みんな一緒で安心が日本なんじゃないの?というのは、これまで感じていた違和感を言語化されたようで、胸を打たれた。元々は、長老のような人が子供たちに向ける温かな眼差しのような言葉なのにというところに、梨木香歩さんの優しさを感じた。