だから知ってほしい「宗教２世」問題

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投稿者：雑多な本読み　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、2022年7月の安倍晋三元首相の銃殺事件から戦後の新宗教の振る舞いについて問題にされたから出版されたものである。ここで「宗教2世」問題が急速にクローズアップされたされたという事実は変えようがない。しかし、社会が長年放置してきた問題であることは間違いない。その「宗教2世」問題とは何か。実態はどうなのか。多角的で総合的にまとめられた一冊である。「宗教2世」問題とは何か。どれくらいの広がりをもつ問題か。「宗教2世」問題はなぜ起きてきたのか。「宗教2世」問題にどう対処するのか。「宗教2世」問題の当事者は、何を経験し、考え、向き合っているのかという分類で、重なり合いながら書かれ、まとめられている。目次を見ると、
　はじめにーいま、「宗教2世」問題を問う
　第1部　「宗教2世」問題、その核心と解決への道―分析・対策編
　１　「宗教2世」問題の基礎知識
　２　カルト問題のなかの2世問題
　３　統一教会と2世問題
　４　2世に対する統一協会の法的責任
　５　エホバの証人の「宗教2世」問題―教団史的な観点からの考察
　６　創価学会と2世
　７　フランスのセクト対策とその理念
　８　宗教2世問題の解決への課題―法律家から見た視点
　９　「宗教2世」問題に政治はどう取り組むか
　１０　「カルト2世問題」とメディア
　１１　宗教2世の現実と支援
　１２　アダルト・チルドレンと宗教2世問題―家族という視点から考える
　第2部　私たちの声を聞いてほしいー当事者・実践編
　１３　私はなぜ「宗教2世」を描くのか
　１４　創価学会幹部の家に生まれ育った私
　１５　宗教2世の経験を詩にのせて生きる
　１６　宗教2世のための自助グループーその実践と課題
　１７　2世からの回復―音声SNSを活用したピアサポートの試み
　１８　統一教会2世として生まれて
　１９　「宗教2世ホットライン」について
　２０　報道分野で働く宗教2世として
　２１　オウム真理教家族からみた「宗教2世」問題
　２２　仏飯を食べたらお坊さんにならなければいけないのかーお寺の2世問題
　２３　日本のクリスチャン2世
　２４　日本に育つムスリム「2世」をめぐる覚書
　２５　だから、いま、語りたいーさまざまな宗教2世の声
　おわりに
　あとがき
　執筆者紹介　　　　　　　　　となっている。
　以上のように展開される。これで概要は見えてくると思う。一つ一つ取り上げればきりがない。読めば読みごたえがあり、実際に何ができるのだろうかと思ってしまう。憲法の信教の自由がよくわからないまま、この規定をとりあげて逃げてきた社会の問題が見えてくる。一読してほしい本である。