人が人を罰するということ ――自由と責任の哲学入門
著者 山口尚
人間は自由意志をもつ主体であり、過ちを犯した者が咎められ罰されることは、古くから共同体における基本的なルールと考えられてきた。一方、自由の存在を否定し「刑罰は無意味だ」と...
人が人を罰するということ ――自由と責任の哲学入門
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商品説明
人間は自由意志をもつ主体であり、過ちを犯した者が咎められ罰されることは、古くから共同体における基本的なルールと考えられてきた。一方、自由の存在を否定し「刑罰は無意味だ」とする神経科学や社会心理学の立場がある。はたして人間は自由な選択主体か。私たちが互いを責め、罰することに意味はあるのか。抑止、応報、追放、供犠といった刑罰の歴史的意味を解きほぐし、自由否定論、責任虚構論の盲点を突く。論争を超えて、〈人間として生きること〉を根底から問う哲学的探究。
目次
- 序 責めることと罰すること──自由と責任の哲学へ/I/第一章 刑罰は何のために?──〈応報〉と〈抑止〉/1 なぜ刑罰について考えるのか/2 刑罰とはなんだろうか/3 刑罰の意味をめぐる問い/4 抑止効果/5 応報とは何か──正義のバランス/6 応報と抑止/第二章 身体刑の意味は何か?──〈追放〉の機能/1 抑止と応報にとどまらない刑罰の意味/2 古代中国の身体刑/3 苛酷で残虐な刑罰に何の意味があるのか/4 社会からの排除/5 刑の軽重と追放の体系/6 なぜ刑罰は追放の意味をもつべきなのか/7 現代にも残る追放/第三章 刑罰の意味の多元主義──〈祝祭〉・〈見せもの〉・〈供犠〉・〈訓練〉/1 刑罰が多様な目的を持ちうることの何が重要か/2 祝祭としての刑罰──ミシェル・フーコーはこう考えた/3 見せものとしての刑罰/4 供犠──刑罰の宗教的意味/5 訓練──犯罪者を更生させる権力/6 パノプティコン──隠微な権力のモード/7 刑罰の意味が多様であること/コラム 意味をめぐる問い、正当性をめぐる問い/II/第四章 応報のロジック/1 応報の何が問題なのか/2 犯人とは何か/3 行為・責任・主体/4 責任の条件は何か?/5 責任を疑うロジック/6 それは彼の選んだ行為なのか?/7 応報は不可能か?/第五章 自由否定論/1 神経科学からの問題提起/2 脳の神経活動と意識的意図/3 リベットの実験/4 拒否する自由意志/5 拒否は無意識の原因をもたないのか/6 見せかけの心的因果/7 責任も錯覚の一種になる?/コラム 神経科学と刑事司法/第六章 責任虚構論/1 社会心理学からの責任批判/2 小坂井敏晶『責任という虚構』について/3 ミルグラム実験──人間の責任の脆弱さ/4 原因と結果の連鎖/5 責任の正体/6 虚構を通じて社会は存立する/7 変転する虚構/III/第七章 それでも人間は自由な選択主体である/1 人間の生の一般的枠組み/2 罰すること、責めること/3 罰することがすべて無意味になる世界/4 科学的世界観の下で自由に居場所はあるか──私自身の経験から/5 ひとが何かをすること/6 自由の否定の自己矛盾/7 人間の条件/第八章 責任は虚構ではない──自由と責任の哲学/1 私たちはどのように生きているか/2 自由と怒り/3 人間が責めるのは人間である/4 反応的態度/5 道徳的要求と道徳的期待/6 ナンセンスな問い/7 人間の生活と科学の実践/コラム ストローソンの「自由と怒り」/第九章 自由・責任・罰についての指摘/1 人間として生きるということ/2 自由否定論には何が足りないか/3 拒否権説の不足──人間の自由は理論によって確証される必要はない/4 責任が実在する空間/5 刑罰廃止論を問いなおす/おわりに/読書案内/注
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