紙の本
やっと読めた
2021/01/13 22:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から読みたかった「友達」と「榎本武揚」という二つの戯曲が掲載されているのだから読まずにはいられない。私が敬愛してやまない筒井康隆氏が著書の中で「密会」について「いつも内省的な被害者であることが多かった安部公房の主人公、今回は大いにあばれまわり、時には加害者になったり、脅迫したりもする。いい傾向であって、これは作者が芝居に打ち込みはじめたからではないか」と書いている、まあ「友達」の主人公は内省的ではあったが、榎本武揚は暴れはしないがかなり攻撃的だった。やっと読めて満足している、安部氏と筒井氏、違うタイプの不条理の世界を描く文豪だが、どちらの世界も私は好きだ。関係のない話だが、あるドラマに安部氏と同棲していたいう女優が出演していたが老人役だった、そりゃあ私も年をとるわ
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投稿者:しぃちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は戯曲になっていて、台本のような形式で書かれていますが、「友達」に関して書かせてもらうと、「友達」の場合、始めの書き出しがものすごい不思議な始まり方で、話を読み進めていくと、実はその不思議な部分は全部伏線だったのかとわかる構成になっていると思いました。話の途中途中もなかなか凝っている作品です。ちょっとアンニュイな展開にも注目です。
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まともすぎる光景に愕然として
爪を噛み、歯を鳴らす
あたまのうえでは狂った人間が
くるくると回転しているのがみえます
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現実にはありえないような話ばかりだけど、それぞれに含まれたメッセージは非常に現実的なもの、という感じがしました。
自分がもっと成長したときに、また読みたい。
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戯曲3編集。相変わらず不思議な世界が繰り広げられている。「友達」に登場する謎の一家にはイライラしか感じられなかったが、もうそれは惹き込まれてしまった後の話。人間が理想として求める孤独とは何か?人間が美しいとする隣人愛とは何か?果たして、人間は1人では本当に生きていけないのか?社会の中での人間生活における「個」と「集団」という概念を、まったく斬新な視点から強く訴えかける作品。「棒になった男」は高校の現代文の授業で読んで意味不明だったので再チャレンジしてみたが、やっぱり難しい。でも戯曲化された文章だったので少し読みやすかった。これは是非、舞台を観てみたい!ありえない現実。非常識な常識。もっともっと著書を読んでいきたい。
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他の作品とは違って、台本をテキスト化したものなのでちょっと特殊な文体です。この事によって、普通は不可能である、人物が同時に別行動をするという表現が可能なので、短文でありながらも人物の表情や仕草を捉える事が出来る。ちょっと不思議な感じです。
<友達>ある一人暮らしの男の部屋に、見知らぬ9人の家族が上がり込んでくる。出ていけと迫る男に堂々と、自分達がどれだけ大切な存在か、貴方が必要としているかと説き、訳も分からぬまま住み着かれる。大衆とは世間とは、ただの他人の集まりでしかないという恐怖を描いた作品。
<鞄>ある新婚の女性が、悩みを友人に打ち明けるが.........それはとてつもなく大きな悩みでもあり、そうでもない気もする悩みでもあり・・・・・・実際にこんな鞄があったら、やっぱり気になりながらも開けれないだろうなぁ。この話のモナリザの詩が凄く好き。
<時の崖><棒になった男>は他の短編にも掲載されていますが、『棒になった男(棒)』はやはり好きですね。人間ってやっぱりそういうものなのかな〜と、ふわふわと頭の中で浮かびます。
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安部公房は初めてなのだけど…、
戯曲は基本嫌いなのだけど…、
しみじみ面白かった…。
久々の充実感。
最近読んでいた本って軽かったんだなーと。
すごい演劇的なストーリーだと思う。
当たり前だけど。
その全体の理不尽さがすごい演劇っぽい。
表題の『友達』は、
ちょっと私が不得意なタイプの理不尽物語でした。
私にはちょっと辛い。
そして怖い。
でもこの世界観。
他の安部公房を読んでみたい。
全作品素晴らしいのですが、
私は『棒になった男』が一番好きです。
収録作品
・友達
・棒になった男
・榎本武揚
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安部公房の戯曲集。
劇団を主宰していたにも関わらず、彼の戯曲を読んだのは初めて。
戯曲でも公房ワールドは変わっていなかった。
「友達」は読んでてイライラしてしまうくらい、家族が怖かった。
孤独というものに疑問を抱いてしまう、そんな作品。
「棒になった男」は各幕のつながりが全く分からなくて、少し戸惑った。
それぞれの幕も不思議な感じ。
公房の世界観を味わうならこれがピッタリ。
最後の「榎本武揚」は公房にしては珍しく歴史もの。
逆に新鮮だった。
歴史ものなんだけど、公房らしさが出ててるところは流石。
唸らされた。
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「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三作の戯曲が収録されています。
表題作である「友達」は、『水中都市・デンドロカカリヤ』の「闖入者」が原型であり、「棒になった男」は『R62号の発明・鉛の卵』の「棒」が原型のようです。
いずれも以前に読んでいるので、比較しながら読みました。
戯曲のために登場人物の数などを一部変えてありますが、大筋は同じです。
やっぱり、「友達」は理不尽で好きです。
いや、嫌いなんだけど、好きです。
「榎本武揚」はそんなに面白くなかった・・・というのが私の印象です。実際に劇で見たら全然違うと思います。
読み手の問題ですが、登場人物が多すぎて、途中から混乱してしまいましたw
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全部戯曲。
友達:さからいさえしなければ、私たちなんか、ただの世間にしか過ぎなかったのに・・・
すごい。由紀夫ちゃんお勧め
棒になった男:すごい。有能にして誠実な棒たち。確認はされるが登録はされない、棒になった男たち。棒の形に閉じ込められて、不幸ではないから幸福な彼。
よのなかのぜんいんを棒め、と思っているけれど、そんな私はきっとフーテン男女とおなじくゴムホースでしかないのだろう。もっとずっと無能で誠実すらもちあわせないゴムホース。わーああ。
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戯曲「友達」「棒になった男」「榎本武揚」の三篇。
「友達」と「棒になった男」は、『無関係な死・時の崖』に収録されている短編の戯曲バージョン。
脚本として、背景や演技の指定が書き込まれており、ほとんどはセリフだけで構成されているが、阿部公房の独特な世界がしっかりと出ており、一度舞台を見てみたかったと思わされる出来。
小説とはまた別の阿部公房の世界を堪能できつつ、舞台づくりの巧さも感じられる。
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『友達』『棒になった男』『榎本武揚』の三部作からなる、安部公房の戯曲集。
安部公房の戯曲集を読んだのは初めてですが、安部公房の地の文が好きな自分としては、いまひとつ物足りない。
おそらく、セリフと簡単な舞台指定しかなされていない分、想像力が必要とされてくるからなんでしょうね。
あらすじを読んで、『友達』にかなり期待をしていたのですが、ぱっと読んだ時点では理解が追いつきませんでした。
もちろん、安部公房作品を読んだ時に理解できるなんてことは普段無いんですが、字を追うだけで終わってしまう、という点で。
舞台で観たら観たで、きっと全く違う印象で面白かったんでしょうが、想像力の足りない自分に残念です。
あと、安部公房の作品の中で『榎本武揚』という歴史上の人物をモデルにした戯曲があったことが、自分の中では意外でした。
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読み中の感想>>一幕「鞄」が気持ち悪い。三幕だったか、高校の現代文とかで読んだ記憶があるのだが、それも異質だった。
その時、教員がなんとなく流行りもの系的な言い方で紹介したため私の中で公房は一昔前の流行、寂れた感のあるものとなってたんだが実際に触れるとちょっとイメージが違うかもしれない。
前はショートショート的な、謎かけのような哲学を持った作品なんだと思ってたんだけど「鞄」を読んだ限りでは、シュールというイメージがぴったりくる。古典的とは言えなくも無いが、さすがにノーベル文学賞候補まで行っただけあって時代に残る確立されたものを感じた。
なにが気持ち悪いって、頭の中の会話みたいなのだ、女と客、そして鞄が。
ちょっと「七色インコ」読んだ影響が出てるかもしれないけど、私の頭の中にも、こんな何かを追求しようとしてそれについて談義する者たちがいて、どっちかが追求しても、それをとめ、戸惑い、苛苛して、たまに立場が逆転し…という図を繰り返す。
で、意味のわからないことをいうやつもいる。
自分がそこに見えると同時に、他者という得体の知れない存在も感じる。
夫もそうだし、得体の知れないという意味では鞄も、そして自分の中にいたはずの客も。
いつのまにか客は帰ってしまい、女、私はつまらない、とるにたらない問題を追求し終える。
その後冷淡な感じにラーメンを頼む女がなんか気持ち悪い。本当、気持ち悪い。
なんだっけ、別役実ちょっと近いかもしれない。気持ち悪さ的に。
でもあれはまだ血肉がある感じだ。これは三角と四角と丸とって世界。数学的といってもいいような気がする。
ドキドキもわくわくもしないで淡々と気持ち悪いんだ。いや、話の流れに抑揚はあるんだけど。なんだ、いい言葉が思い浮かばない。
人間がやってるだろうに、なんとなく幾何学模様のようにキンとした空気がある気がする。正直、ちょっと今はまだわからない。
鞄がなぜ「先祖」なのか。私たちが使うのと同じの意味で「先祖」なのか。女と客は何者か。全三幕で構成されているが、三幕で謎は解けるのだろうか。
頭が悪い。ああ、よくなりたいなぁ。
読了>>『棒になった男』難しい…。
二場が、なんだろう、あれは。時の崖から、たぶんボクサーは落っこちてしまったんだろうけど…。
謎かけされてるのかと裏を読みたくなる。
素直に読んでしまってはいけない気にさせられる、安部公房。
ボクサーの心の流れるままの混沌とした意識の声を描写してるんだろうか。なんかボクサーが何かの象徴なんだろうか。
最後に川(水?)の中に落ちたって、崖から落ちて、海か川か湖か、とにかく水の中に落ちたんだろうか。
すごく気持ち悪い。
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またまた安部公房の「有り得そう」と錯覚させてくれる作品。特にこれは戯曲だから、変にリアルなの!
いくつか作品が収録されているけど、私は「友達」が1番好き。
無茶苦茶な家族がいい具合に有り得ない。でもだんだん、本当にこの家族が存在するような錯覚に陥る。まさに安部公房の魔法。
実際に上演されるなら絶対観てみたいな。
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ほら、あるでしょ。
クイズに不正解だったお笑い芸人が、突き落とされて小麦粉まみれになるやつ。
あと、少しズレちゃうんだけど、その時自分は面白く無いのにTVの向こうではわざとらしい笑い声がゲラゲラ入ってて、何かから取り残されちゃったなーって感覚。
その傍観者でいたはずの自分てのも、その実当事者であったりするわけで、知らず知らずに小麦粉まみれの芸人やわざとらしいゲラゲラになってる可能性のが高いんだよね。
そんな意思は無くても。
そこがなんか怖くて腹が立つ。