ウィキッド　誰も知らない、もう一つのオズの物語　下

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☆4.6

ドロシーも登場して、役者が揃った。
彼女が、実に素直に、贖罪・謝罪をやってのけるのだが、魔女はすでに赦しを乞う相手を亡くしている。
ドロシーの贖罪・謝罪は魔女にどう響いた？
最後の最後で、昔話の体裁で結まづくあたりが、何とも素晴らしい。多分、これ一回の読書ではこのものかたりの核がよく見えてこないのかもしれない。様々な視点で、読めるし、体験できる。再読は間違いなくすることになるだろう。

その時に、私自身としては、もっと寛容に、あるいは、素直に赦すことのできる人になりたいと思う。

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1
ミュージカルとは内容大分違うんだろうな。
正直四季でやってなかったら、読まなかったし読んでも途中で挫折していた。

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その稀有な見た目のエルファバの苦難、葛藤、友情、恋愛、そしてやむ無く徐々にウィキッドになっていくまでのストーリーはとても良いし面白い。しかしながら、終盤に尺を合わせたかのように、一挙にエルファバの冷静沈着さがなくなり、オズの魔法使いに登場する西の悪い魔女の粗雑な性格に変わってしまうのが残念。個人的には、ドロシーとのやり取りにあと一冊分ぐらいかけて欲しかったと思う。

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メタ的な視点が必要というか、
作中随所で示唆されるようにドロシーやオズの魔法使いが元々いた別の世界があったり、予言があったり
そういった世界と我々読者がいる童話「オズの魔法使い」が世界的に有名である現実が重なった時、
上巻であれだけ芯があって魅力的だったエルファバが西の悪い魔女になる運命を辿る様子を眺めることしかできず無力感を感じるような、貴重な読書体験をした

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ミュージカルと別物で衝撃を受けている。
舞台もほろ苦いと思っていたけど、可愛いもの。小説よりはだいぶんキラキラしてる……

ちょうど今日公開された映画のサントラとの温度差で風邪引きそう

フィエロ……

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誰を中心に見るか、何を中心に見るかで悪や正義が変わる。
宗教、政治、友情、恋愛、家族、自由、信念。
自分にとって1番大切なものは何か。
その時の社会情勢でも誰が『悪い魔女』になるかわからない。

今作の主人公であるエルファバが、成したいことをなにも成し遂げられない、尽く失敗・挫折に終わってしまうのが、読み終わったあともスッキリしない不思議なモヤモヤ感を残すのだが、そこがすごく人間的でエルファバの魅力でもあるように感じた。

映画とはけっこう違っていたが、映画も本もどちらも違った面白さがあって良かった。

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真実は一つでも、誰からみるかによって異なるストーリーがあるというのメッセージは共感しかない。でも、エルファバが劇団四季のミュージカルほど魅力的に見えないのだよな。悪い魔女でないことは確かなのだけど。後味？がいまいち。

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映画をみて興味があり読んだ。乱暴に言うと陰謀論に狂った中年女性の話と切り捨てることも出来てしまう　しかしエルファバに共感する事も多かった 正直者が馬鹿を見る世の中でエルファバにとってはうんざりしただろう。でも彼女の他人の価値観を尊重出来ない所は駄目だと思う　特にボックとの会話が1番分かりやすい。信念を貫く生き方は正しいかもしれないが全ての人が出来る程強くないし環境が変われば信念を曲げなくてはいけないこともある も他者に寄り添う事が出来れば違ったかもしれないが彼女の生育環境では難しいのだろうなと切なくなった

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映画が前編だけだったので待ちきれず本で読もうと思ったけど全く別物だった笑
どこで道を間違えちゃったんでしょう、エルファバ…
ネッサが死に、ネッサの靴も失って、そのせいで友達もどんどん失っていく、、孤立を極めて妄言に取り憑かれて手下の獣たちをドロシーにけしかけて返り討ちにされて最後は自分も…
オズの魔法使いもドロシーと同じ異世界転生者っていうのは面白かった
結局ヤックルって何者だったんだろ？

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オズの国というファンタジーの世界の物語だけど、難しいことを分かりやすく、自身の住む世界にも通じる問題を提起する話で、かつエルファバの寄る辺無さや悲しみ、弱さや身勝手さ、悪辣なところまで、どこか自分の分身として見てしまう側面もある、読み応えある面白い話です
救いはないし、あのエピソードって結局どうなったん？　って分からないことだらけだし、カタルシスが得られる話でもない
当初は、映画との違いを面白がって読んでいましたが、これはもう、独立した違う作品と言っていい

善と悪は白黒付けられるものではなく、表裏一体という訳でもなく、どちらの要素も１人の人間の中に混沌としてあるもので、“善“か”悪”かを決めるのは、本人であれ他者であれ、個人の価値観における視点と思考から自由になることはできない
悪しき魔女、ウィキッドと呼ばれ、己もその呼び名を名乗るようになるエルファバは、家族と過ごしていた頃も、大学で学んでいた頃も、出奔し組織の尖兵として暗躍していた時も、修道女として敬虔に生き、彼を死なせてしまった贖罪のためにアージキ族の元へ赴く時も、
妹と父との再会と失望による別れの時も、オズの国軍からアージキ族の王族を奪還するために武力を求めて飛ぶ猿を鳥とのキメラ手術によって創造したことも、
グリンダが銀の靴をドロシーに渡したことに激怒した時も、
15年前の忘れ去っていた悲願を叶えた（気になった）時も、
ドロシーの一行がウィキッドたる己のもとにやって来た時も、
彼女なりに、己の望みを、すべきことを、見据えて選択してきた人なのだと思う
でもその判断や行動は、オズの国の人々からは悪しき魔女と受け取られるし、小説を読んでいる自分も「これは悪だ」と感じてしまう場面はある、たくさん

この作品に登場する人々は、その行動も性質ひとりひとり全然違うけど、望みを叶えること、自身の幸せを希求することに懸命になっている人たちで、その点において何も違うところはない
乱暴な解釈かも知れないけど、みんなどこか似ているのだ
この話の主軸であるエルファバの視点から見て邪悪に思われるオズの王やマダム・モリブルも、何を思っていたのか、どんな事情があったのか、それらは何も分からないままで、ついにエルファバは、ウィキッドとして、ドロシーの投げつけた水桶の水の中で没する
救いは無く、エルファバは誰にも理解を得られず、その真意を知る人もいない、だからオズの王やマダム・モリブルも同類なんじゃないの？　って思わずにはいられない

んんーー、しかし、それにしても
上巻のエルファバが所属してた闇組織って結局何だったのかとか、心神喪失状態の彼女を助けた修道女ヤックルって、かつてエルファバとネッサローズの母が中毒していた薬を提供した女と同一人物？　かも知れないけど、なんでそんなことしたのかとか、
正気を取り戻しつつあったエルファバがアージキ族の元へ向かう道行きで、後の手下となる犬や猿とハチとカラスが同行する流れは面白かったけど、そこに謎の男の子のリアも加わっていて、どうやらその子はエルファバとフィエロの息子だと読者は分かるけど、エルファバはリアを出産した記憶が無いばかりに何のケアもしてやらない
人間の子どもの世話をするのが苦痛なのは大いに共感するけど、リアを放置子のままにし、フィエロの妻の居城に滞在してからも、フィエロと正妻の間の子達からリアは陰湿ないじめを受ける、でもエルファバはリアも他の子どもたちもまとめて疎んじて、忌々しく思っている、それだけ
エルファバが実父や妹との間で得た苦しみを、消化しきれてないから、リアに優しく出来ない…という解釈は出来なくはないけど、それよりは感情的に、エルファバが実父から受けた仕打ちより、リアに対するそれはひどい、って思ってしまった
でも、リアも他のフィエロの子どもたちも、絶妙に鬱陶しさや喧しさ、乱暴さや図々しさを持つ子ばかりで、こんな子どもらの世話なんかごめんだな、とも思う　だからエルファバの気持ちもめちゃくちゃ分かる

エルファバが大学を去らずにいられたら
修道女として穏健に生きていられたら
フィエロの死亡の謝罪にこだわらずに、ただリアを可愛がって育ててあげられたら
こだわりを捨てて父と妹の元に留まっていたら
ドロシーの言葉を冷静に受け入れて対話を行えていたら…
エルファバの生涯は、ままならない、辛いことばかり
しかしその苦しみは、回りの人間に不幸をもたらす原因になったと見ることもできる
〈動物〉の権利を保護し、解放することを目的としていたことも、いつしかそれは忘れ去っていたようだし、助けた〈牝牛〉からは感謝もされず、〈動物〉を飼い続けるかつての友人を非難もする（でもエルファバは時折チーズやプディングなども食べているのだ）
エルファバはどうすれば救われたのだろうか？
彼女の望みは結局、何だったんだろう
本人ももう、分からなくなってしまったのだろうけど…
分かるところ、分からんところ、文句言いたいところ、全部たくさんある話です　感想がめちゃくちゃ書きにくい
でも、大人が読むべきお伽話としては、とても腑に落ちる、そういうこと、ままならないこと、あるよねって寄り添いたい心地すらする

ところで、ろくに出てこなかったエルファバとネッサローズの弟ってこの物語に要るか？　ってのは１番ピンと来なかったかも
映画では影もかたちもないから、『オペラ座の怪人』でいうところの、怪人の友人のペルシア人みたいなもんかな