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翻訳と異文化――原作との〈ずれ〉が語るもの 新着
著者 北條文緒(著)
「翻訳は原作の鏡である。ただし特殊な造りの鏡で、原作が属する文化とは異なる文化の装置が一面に嵌め込まれている。原作のなかで、その鏡が映しだしにくい部分は歪められ、変形させ...
翻訳と異文化――原作との〈ずれ〉が語るもの
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翻訳と異文化 原作との〈ずれ〉が語るもの
商品説明
「翻訳は原作の鏡である。ただし特殊な造りの鏡で、原作が属する文化とは異なる文化の装置が一面に嵌め込まれている。原作のなかで、その鏡が映しだしにくい部分は歪められ、変形させられ、ときには鏡面から完全にはじかれて写されなかったりする。この本では、そのさまを、日本語と英語の文学作品にかんして、垣間見ようとした。例えば日本文学にあふれている〈悲しみ〉あるいは〈物悲しさ〉の受け皿が英語にはないらしいこと、〈清々しい絶望感〉という日本人には何となくわかるフレーズが英語に吸収されるためには複雑なパラフレーズをへねばならないこと……」(おわりに)。
翻訳は異文化理解の、多分もっとも重要な手段の一つである。しかし翻訳は〈或る文化〉を正確に伝えることができるのか?本書は原作と訳文をていねいに照合しつつ、異文化間の表現の〈ずれ〉を検証してゆく。『テス』における〈手〉、『こころ』に現われる血のイメージからパラグラフや主語の省略まで、翻訳における問題点を具体的に提示する。細部への探究から生まれたユニークな比較文化論の試み。
目次
- 1 はじめに
- 2 たとえば、泣くことをめぐって
- 3 単語の意味範囲
- 4 「悲しみ」
- 5 パラグラフ(段落)
- 6 日本語における主語の省略
- 7 心情表現の具体性・抽象性
- 8 固有の風物・固有の表現
- 9 二つの英訳――夏目漱石『こころ』
- 10 ロドリゴは日本人――遠藤周作『沈黙』
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