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この国を守るための外交戦略 新着
著者 岡崎久彦(著)
アメリカ、イラク、北朝鮮、韓国、そして中国。激しく揺れ動く世界情勢下で、日本が生き残ることはできるのか? 「靖国問題に終止符を打つには」「遊就館展示修正の真意」「台湾海峡...
この国を守るための外交戦略
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商品説明
アメリカ、イラク、北朝鮮、韓国、そして中国。激しく揺れ動く世界情勢下で、日本が生き残ることはできるのか? 「靖国問題に終止符を打つには」「遊就館展示修正の真意」「台湾海峡危機は来るのか」「政権維持の秘訣とは」「日米同盟のあり方」「核武装は必要か」――すべての答えは明白である。中国に譲歩はせず、日米同盟を維持せよと著者はいう。国家と国民の安全と繁栄を守るために、いま日本に求められる外交とは――国際情勢分析における第一人者の知的品位に満ちた論が冴える。 日本の核武装論は、日米同盟によって日本の国家と国民の安全と繁栄を守っているという、現に成功している政策の枠内で考えねばならない。(中略)北朝鮮、イランのように米国と対立的な核武装もあるが、それは日本が選択すべき道でないことは明らかである。(「核戦略論序説――まえがきに代えて」より)
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この人に聞け!
2007/08/28 14:57
14人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外交評論の第一人者、岡崎久彦氏が書いた読売新聞「地球を斬る」や産経新聞「正論」の記事をまとめたものである。それぞれの記事はその時々の情勢を分析した小編なのであるが、こうして一冊にまとめてみると、それがあたかも「書き下ろし」であるかのようにぴたりとまとまって読めてしまうのだから不思議である。それは岡崎氏の外交観が終始一貫微動だにせず、激動する世界情勢の中にあって、彼の思考が揺らぐことが無いからこそ為せる技なのであろう。彼の日本外交に関する思考は透徹している。それは「日米同盟を堅持し、米国との関係を常に良好に保つ限りにおいて、日本の繁栄は保証される」というものである。日本列島に暮らす1億2千万人が、今後ともこの豊かで平和に生きていく為には、その鍵を握るアメリカとの関係を良好に維持することが如何に大事なことであるか。この「当たり前」のことを堂々と述べることが、日本では存外難しい。社民党や日本共産党のような、日本国民の大半から見放された政党は置くとしても、日本ではマスコミや大学含め「反米を語ることが知性の証」とでも呼べる丸山真男以来の悪弊がいまだに幅を利かせている。まことに嘆かわしいことである。日本では敗戦という日本始まって以来の屈辱的事件が起きても、国家は崩壊しなかったし、イラクのような泥沼の内戦も起きなかったし、アメリカに対して徹底したゲリラ戦術を展開する連中も出てこなかった。ギブミーチョコレートと満面の笑顔で米兵に群がる人間ばかりが目立っていた。しかし、その内面では、やはり「アメリカ憎し」という気持ちを持ち続けた連中が少なからずいて、それは今もいるのである。他の書評でも書いたが、日本では「反戦運動」「反核運動」「平和運動」は常に名ばかりの似非運動であって、その実は「平和」「反戦」「反核」に名を借りた「反米運動」であった。その根っこには「ペリー黒船騒動」以来の根強い反米感情があって、それが敗戦という事態で更に増幅されていたのである。しかし、そもそも日本人は「正義」や「真実」といった「大義」のために戦争を始めたわけではない。日本がはじめたアジア侵略は欧州がアジアアフリカ南米で大々的に展開してきた帝国主義戦争なのであって、要するに領土欲しさ経済権益欲しさ、平たく言えば「金欲しさ」のためにおこなった戦争であった。戦争とは経済繁栄を成就する為の近道であり、戦争とは一般に儲かるからやったのである。日本はその儲かるはずの戦争で失敗し、すっかんピンになるのだが、敵であるはずのアメリカと手を組んだら、戦争に勝利しても得られなかったような未曾有の繁栄を手に入れてしまったのである。本来、アメリカは敵であった、鬼畜米英であった。しかし、日本人は、個々の事情を言えばアメリカ人やイギリス人に怨みなんかなかった。ただ金が欲しかったのである。「俺にもよこせ」といいたかっただけなのである。だから敵であるアメリカと手を組むのも、それが儲かるなら、躊躇しなかったのである。こうして今、我々日本人は徳川家康や豊臣秀吉でも味わえなかったような繁栄の真っ只中にいる。岡崎さんは、この繁栄を元となったアメリカとの同盟関係を大事にせよといっているだけなのだが、この当たり前のことを確認することが、国際社会の荒波を渡っていく為には非常に重要なことなのである。岡崎久彦氏は、いわば羅針盤である。ゆえゆめ、「なぜアメリカをもっと憎まないのだ」などという感情論に流されてはいけないのである。分かったかな、諸君。