化石燃料はすぐにはなくならない
2024/10/18 09:37
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
エネルギー、食糧生産、素材生産のために膨大な化石燃料が使われている現状と、それを踏まえれば、化石燃料はすぐにはなくならない・なくせない。温暖化対策の効果がみえ始めるには、いまからはじめても、2080年頃からになる。予測は、前提の置き方次第で変わるし、いまたてた前提は恣意的だったり、大きな変化によって変わるので、ほとんどあてにならない。そういったことを踏まえて、考えて行動しましょうという内容と理解しました。日本語の題名「世界の本当の仕組み」というのは、ちょっと内容が違う気がします。
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自分は何も知らないのだと感じつつ、ヒトが行動するためには電気が必要であり、2020年になっても電気の半分以上が、まだ石炭や天然ガスに頼っている。よって、必要十分なだけ生活を楽しむ事は良いことにつながるのだと思った。
最後の文章の『前進』『後戻り』『奇跡』という言葉が印象的でした。
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現代の世界を構成する要素が、我々の生活にどう関わっているかを教えてくれます。地球温暖化、資源問題などのニュースの理解につながるのではないかと思います。
1 どんなにAIなどの情報技術が進んでも、我々の生活には、プラスティック、鉄、セメント、アンモニアは現代世界には不可欠であること
2 世界では様々なリスクがあるが、数値により相対化、比較すべきであること
3 地球温暖化はかなり以前から予測されていたし、くいとめる努力は必要だが、覚悟も必要だろう
といったことを、多くのデータを使って教えてくれます。訳文がわかりにくいところもありますが、この世界で起こっていることの背景の理解につながるのではないかと思います。
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<感想>
・エネルギー、食料、素材に関して根本的な事実を数字で示してくれる良書
・これらの理解抜きに地球温暖化を語るのは絵に描いた餅
How the World Really Works
A Scientist`s Guide to Our Past, Present, and Future
【目次】
第1章 エネルギーを理解する――燃料と電気
第2章 食料生産を理解する――化石燃料を食べる
第3章 素材の世界を理解する――現代文明の四本柱
第4章 グローバル化を理解する――エンジン、マイクロチップ、そしてその先にあるもの
第5章 リスクを理解する――ウイルスから食生活、さらには太陽フレアまで
第6章 環境を理解する――かけがえのない生物圏
第7章 未来を理解する この世の終わりと特異点のはざまで
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エネルギー―燃料と電気:
原油のンの美と相対的後退
脱炭素化ーペースト規模
食料生産―化石燃料を食べる:
燃料と食料
元に戻ることは可能か
少ない量でより多く→なしで済ませる
素材の世界―現代文明の四本柱:
アンモニア・プラスティック・鉄鋼・セメント
グローバル化―エンジン・マイクロチップ・その先:
蒸気機関と電信
必要性と挫折と行き過ぎ
リスクを―ウイルスから食生活・太陽フレア:
認識と許容度
自発的・非自発的
文明の終焉
環境―かけがえのない生物圏:
不確実性・見通しと現実
モデルと疑念と現実
未来―この世の終わりと特異点のはざまで:
慣性と規模と質量 無知と固執と謙虚さ
付録 数字を理解する―10n
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ファクトとして数字がかなり羅列されるが、表やグラフ資料で補助解説があれば、かなりスムーズに読めるのにと感じた。本書は現代世界、人類の成立が化石燃料ありきと説く。従って、今後の温暖化対策実現にはかなり否定的に書かれている。その視点がかなり面白い。
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化石燃料だけでなく電気への依存度も増えてきた。20~30年で脱炭素できるとは思えない。
セメント、鋼鉄、プラスティック、アンモニアの需要は増え続け、その生産にはエネルギーが必要。
輸送もエネルギーが必要。
酸素、水、食料に環境問題がどのような影響があるか。
石炭は120年、原油と天然ガスは50年の埋蔵量があり、古語も増える。資源が尽きて使えなくなる事態は訪れない。
カーボンニュートラルとは、地下に貯蔵する方法でもいい。発電はすでに15%が再生可能エネルギーになっている。洋上風力もコスト、許認可の問題を乗り越えられれば技術的には可能。しかし、原子力を使わないと断続性を解決できない。
素材生産は、電気だけでは今のところ不可能。
化石燃料は穏やかな減少しかできない。
食料生産はナイル川の氾濫で高密度を達成できた。現代は多くを化石燃料に依っている。運搬、肥料、温室など。
農業の生産性向上がなかったら、すべてを農地にしなければならなかった。
化石燃料は、農薬、肥料などで多く必要。窒素は非反応性の物質として空気中に存在するがN2を分解して反応性の物質にするには自然界では雷とマメ科の根の細菌しかない。マメ科は自分で肥料を作り出せる。動物と人間の排泄物は窒素の含有量は低い。4%以下。
60年代の高収量品種は窒素含有率46%の合成窒素肥料なしには開発できない。
パンと鶏肉とトマトのエネルギーコストを比較すると、穀物が一番エネルギーを必要としない食べ物。サラダでさえ、大量の化石燃料を必要としている。シーフードは重油が支えている。
中国では2/3で二期作が行われている。これがないと中国人は養えないが、大量の窒素が必要。
食料は部分的に石油でできているのではなく、ほとんど石油でできている。
ケイ素はたっぷりあるので、電子部品の素材には事欠かないが、蓄電池の素材はレアアースでふんだんにはない。
合成肥料は、緑の革命を可能にした。中国はアメリカと国交を回復したとき、最初の商取引はアンモニア尿素プラントだった。全世界のアンモニアの80%は肥料に使われ、残りは勝算、爆薬、ロケットなど。
アフリカのアンモニア使用量はヨーロッパの1/3に満たない。
プラスチックは家庭用電気製品で多く使われている。感染症でPVCが使われている。海水中のマイクロファイバーは、90%超が天然由来のもの。
鉄鉱石は使用量の300年分がある。材料にはことかかない。高炉は化石燃料を必要としている。電炉は電気で動くが大量の電気が必要。鉄鋼のリサイクル率は高い。スクラップは先進国の輸出商品となっている。コークスにする石炭や天然ガス煮依存している。
セメントはエネルギー集約度が低いが大量に作られるため鉄鋼と同じくらい負荷がある。これらの建材が2050年までに化石燃料を使わなくなることはない。巨大な風力発電はコンクリートと鋼鉄とプラスチックの塊。
電気自動車も同じ。
かつては帆船と蒸気船が共存していた。効率的な蒸気エンジンが生まれて、帆船が消えた。さらにディーゼル機関、ガソリン機関���発明されてグローバル化が進んだ。
北アメリカとヨーロッパと日本で脱工業化が進み、アジアへ製造業が移動。カナダは森林が高大だが、爪楊枝やトイレットペーパーは中国から輸入する。
コロナ禍によって、工業のグローバル化が巻き戻す動き。今後どうなるか。
パレオダイエットは、肉という化石燃料の塊を食べる。
リスク認識は本来主観的。
自然災害はテレビで見るよりもリスクが低い。
地震画起きることがわかっている土地でも多くの人は住み続ける。実際のリスクは低い。
高齢者のインフルエンザの超過死亡は、寿命が伸びたことの代償。防ぎ用はない。高齢になると基礎疾患なしにはいられない。
火星に住むことは現在ではサイエンスフィクション。
酸素濃度は過去には、最高で35%、最低で15%、現在は21%。人間や動物の呼吸でこの濃度を感知可能なほど下げる気炎はない。大火災で森林や草原が一度に燃えても、酸素は0.1%しかさがらない。
水は管理を誤っている資源。食料生産は地球の生態系を変えた。農業は今後さらに影響を及ぼす。リンは今後1000年分くらいの埋蔵量があるが、肥料のリンは海洋の富栄養化をもたらす。しかし、サハラ以南ではリンと窒素はもっと必要になる。
水蒸気は温室効果をもたらすが、水蒸気を制御するのは大気中にとどまれる水蒸気の量=気温。
雪と氷は、反射するので気温を下げる。
2.6度から3.9度に収まる。2度を超えない可能性は小さい。中緯度や熱帯よりも高緯度のほうが温度上昇は高い。水の循環は温暖化で、盛んになる。降水量が増す。
2030年または2050年に破綻することはない。
40年前は酸性雨が真っ先に環境問題としてあげられた。
予測には多くの仮定を必要とするため、失敗に終わることが多い。
高速増殖炉、飛行機の原子炉搭載、など不可能なことに多額の研究費がつぎ込まれた。
農耕地を使わない都市農業は、葉物野菜はできるがマメ科や穀物はできない。タンパク質や炭水化物が足りない。
太陽光や風力が50倍になったのに,化石燃料への依存度は87%から85%になっただけ。
カテゴリー錯誤=電子機器で起こった変化が他の世界でも起きる、と考えると間違う。今後20~30年では劇的には変わらない。
次のパンデミックは必ずくる。
脱炭素は簡単には達成しない。
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84517990R01C24A1MY5000/
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タイトルにある様に7つの事柄→
⚫︎エネルギー
⚫︎食料
⚫︎素材
⚫︎グローバル
⚫︎リスク
⚫︎環境
⚫︎未来
これを事実に基づきわかりやすく説明されている。個人的には素材の章が新たな発見で興味深く
読ませてもらった。
総じて巷のニュースなどの情報での違和感、矛盾点が少しクリアーになった気がする。
余談だが、帯にビルゲイツと言う文字があると私、思わず購入してしまいます。。。
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自分の無知を突きつけられた一冊。世界は良くなっているし良くなっていくという啓蒙主義にあまりピンときておらず、本書のほうが現実を理解するのに役にたつと感じた。
まず、エネルギーという観点では太陽エネルギーのみでは到底いまの豊かさを享受できないということがたった数十ページで示されていてそこからして衝撃だった。そして窒素固定にアンモニア合成、全然知らなかった…。多くの人口を養うための食糧供給に化石燃料は絶対必要だし、それを許さんとする道徳法律はない…本当に難しい課題だが、ちゃんと理解した上で出来ることをやっていくしかない。電気では代替が難しい部分があるのも良く分かった。
また、リスクについては曝される期間が重要というのも当たり前なのに気づけてなくて、コロナ対応などでモヤモヤしていた部分が少しスッキリできた。
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本の前半パートでは、エネルギーの視点でそれぞれの産業(農業・セメント・プラスチックなど)における化石燃料の依存度が高いことをデータを基に示していた
目に見えるところではEVなどにより、化石燃料の消費を抑えているような印象を受けるが、他の産業ではやはり大量生産を前提として考えるとどうしてもまだまだ化石燃料の依存度が高いことがよく分かった
特にこの本の中で、現代文明の4本柱として記載されているセメント・鋼鉄・プラスチック・アンモニアの生産におけるハーバーボッシュ法のようなブレイクスルーがないと難しいように感じた
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世界の最高知性の一人と言われるバーツラフ・シュミル。彼が「現在の地球の状態」について、科学者として分析し、根拠を示し、解説してくれる本。楽観でも悲観でもなく、右でも左でもなく、「科学者」として書くことを意識したということで、多くのファクトや実際に起こったことをもとに書かれている。エネルギー、食糧、材料、環境など、大切な7項目が書かれているが、確かにどれも深刻。予想の通り、決して明るい状況ではなく、むしろとても厳しい状況で無力感すら感じる。複雑で大きな世界をどう変えていくのか。諦めずに取り組みたいが、まずは事実をしっかり抑えることが大事なんだろう。
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私はエンジニアなので、現在地球規模で起こっている様々な事情や多くの人々が有しているバイアスに対して、かなりの説得力を持った説明が本書ではなされていると感じた。今後、ますます複雑化することが避けられない世の中において、包括的に物事を歪みなく理解して判断する能力の重要性を強く感じた。間違いなく良書です。
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本書がどんな本か、P384からの訳者あとがきに端的に書いてある。
「なぜ本書が必要なのか?有り体に言えば私たちが無知だからであり、事実がないがしろにされているからだ。」
情報の入手がYoutubeやSNSにかたよっている方にこそ勧めたいが、こんな分厚い本を読めと言う人の世間的常識の無知さ加減を笑われるかもしれない。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12889281862.html