漫才過剰考察

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目指してる場所、やろうとしてる事はとてもシンプルな気がするのに、これだけ考えて捏ね回さないといけない性分なのであろうところが面白いやら恐ろしいやら。ピュアに変態なんだなぁ。

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昨年、M-1グランプリ王者となった令和ロマンの高比良くるま。
彼が11月に書籍を出すと聞き、すぐに予約をした。

一昨日に届いた。爆速で読み進めてしまった。

彼の漫才にかける想いはとてつもなく、いかにM-1グランプリを盛り上げるかを第一に考えていた。
自分としては、くるまは順風満帆な芸人人生だと思っていたが、最初の数ページで印象がガラッと変わった。
彼にも挫折であったり、何か物足りなさを感じる部分があるのかと驚いた。
だからこそ、お笑いに対する探究心、執着が半端ないのかもしれない。

M-1の分析が始まると、どんどん引き込まれた。
2023年のM-1グランプリは、令和ロマンのトップバッター優勝という形で締めくくられた。ただ、この年はいまいち盛り上がりに欠けていたとも言われていた。それは、フォーマットが同じ漫才師が連続で続くことで、観客が審査という視点から漫才を見てしまっていたという考察には目から鱗。

そして、漫才の地域性。東西南北に漫才を細分化して、その特徴や傾向を独自の切り口で解説していた。これからは北の漫才に追い風がかかるらしい。

寄席と賞レースの会場や観客の違いや、漫才師の衣装が観客に与える影響。
令和ロマンのボケ担当として、髪型を変えることやメガネをかけるという自己プロデュース力など、ここまで漫才に執着しているのかと。
粗品との対談では、「お笑いに魂売ったんやな」と言われていたがまさしくその通り。
お笑いではあるのだけれども、彼の漫才師としてのプロフェッショナルな意識、ストイックさや、嫌われることを恐れない大胆な思考を垣間見ることができた。
これが次世代のお笑いを牽引する第一人者かと。
去年以上に進化を遂げるであろう令和ロマンというコンビ。
ますます目が離せなくなってしまった。

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くるまさんの思考スピードに圧倒された。口語で書かれているからか、脳内を覗き見させていただいたような感覚。やっぱり好きだなぁ。

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それまでYouTubeはぼちぼち見ていたけど、恥ずかしながら2022年のカベポが優勝したABCまで令和ロマンのネタをしっかりと見たことは無かった。
2022年のABCで令和ロマンのネタを初めてちゃんと見て、あまりの面白さに衝撃を受けた私は、それから劇場公演の配信にラジオ、雑誌とお2人の出ている媒体を追いかけまくってきた。
漫才過剰考察の書籍化が発表されてからも早く読みたい〜とうずうずしていたのでようやく読めて嬉しい。

序章から胸を締め付けられ一気読み。
文章全てがくるまさんの早口で脳内再生されて楽しく読めた。(コンボイさんの台詞はコンボイさんの声で再生された、楽しい。)

去年のM-1で令和ロマンが優勝した後に「令和ロマンはM-1優勝したというより攻略したという感じ」という旨のポストがXでよく流れてきたが、彼らがそう言われるに至ったくるまさんのこれまでの漫才分析の集積を知ることが出来る。
M-1聖書。

寄席の話などは雑誌でも言及しているのを目にしてきたが、ここまで深く広く掘り下げて知ることは出来なかったので改めてくるまさんの考えを垣間見ることが出来て嬉しい。
東西から南北、さらには世界における漫才の在り方までくるまさんの考察を読める、なんて贅沢なんだ。

本文中でも触れている通り、お笑いコンテンツが大量に増え、「お笑いを楽しむにはお笑い"しか"見る時間がない」状態ゆえに、SNSではお笑いファンから芸人が崇高な存在として扱われ、お笑いを分析するお笑いファンはまた別のお笑いファンからウエストランド井口さんよろしく叩かれ〜というくるまさんの提唱する「ベタ、メタ、シュールの三段活用」状態がまさに日々起きているわけだけど、その混沌状態を圧倒的な面白さと分析力でコンテンツ化しちゃうくるまさん、悪魔。

私は舞台に立つ人間では無いし、ネタを見る時に「ほうほう、これは西のお笑いがベースになっているなぁ、おっとここで裏切るのか！」みたいな分析する楽しみ方は出来ないタイプなのでこの本の内容を知ったところでお笑いに対する姿勢が大きく変わる訳じゃないけど、これだけ密度の濃い考察内容が書かれていて、読者が読後お笑いに対して身構えずに済むのは一重にくるまさんの文章が面白すぎるおかげだと思った。
お笑いを見る側が考察する余地なんて無いくらいに面白い、やりすぎ。

お笑いという漠然とした形の見えないものを分析し、言語化し、輪郭づけ、さらに分かりやすく面白く書かれていてすごかった。
粗品さんとの対談もよかった。
粗品さんがラジオとかでたまに見せるめちゃくちゃアツい部分も伺えて嬉しい。

お笑いは諸行無常のコンテンツ、常に流動していて、飽きることは無いけれどその分気疲れすることがごくたまにあるから、くるまさんが「映画や料理と同じように、(お笑いに)正解の感じ方はない」と書かれていることに救われた。
今年の決勝も楽しみ〜（；_；）

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くるまのハイスピード語り口で再生され、読むスピードに目線の流れがおっつかなくなりそうになりながら読了。2023年M-1の裏話は断片的には有名な話なのかもしれないけど、話の点と線をつなげたような感覚があって素直に面白かった。お笑い素人で来週初めて寄席を観に行くタイミングでこれを読めたのは、なかなかに最高。

芸能人の初の著書とは思えないほど自分語りが少ないように感じたが、いや待てよ、こやつM-1を語っているようで自分自身を語っている…？さすがM-1の申し子。今年も優勝してぜひ主人公になってくれ。

さて、YouTubeで2024のM-1 3回戦の動画配信されたんで見てきます。

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一級品の漫才文化論、というか漫才の枠組みを超えた、人に何かを魅せるということの文化論を読んでいるような感覚がした。
同じ練馬で育ち、同じ年（2014年）に大学受験をして、今に至っている同世代の人間がここまで熱狂的に、いや偏執的に物事を考えられていることに、感動や妬みを覚える。（妬みというのももはや烏滸がましい）

細かい点は省くが、漫才がウケるというものにおいて、作品性もさながらお客さんの特性や様相への解像度があまりに高いなと感じた。自分も営業やコンサルティングの立場で人にものを伝え、動いてもらう仕事をしているが、ここまでプレゼンテーションについてオーディエンスや行動変容を促したい対象への分析を細かくできていないと反省する。特に劇場で何かを魅せるということにおいて、どうしても作品性が先行してしまう、ある種の自分が作りたいものを認めてほしいという欲が人には生じてしまうのが性ではないかと思うが、作品性もさながら、お客さんとの間にどのようにしてブリッジングをしていくかという点に筆者の特異性があると思う。
（直近の若林さんのnoteでも漫才におけるツカミや初見でのブリッジングの巧拙と重要性について触れられていたのを思い出した）
本人は本人のエゴがあると言うが、自分がやりたいネタや見せたいものというエゴを超越して、ウケるというその現象に対してエゴを宿しているともいえる。お客さんの雰囲気を見て、そのストーリーや見世物に引き込んでいく、ある種の共身体の作り方が長けている。
武道の世界で、自分と相手、主体と客体を対峙的にとらえるのではなく、主客を一体化した共身体を作り上げ、その中で場をコントロールし、一緒に身体を動かしていく人が強いというようなことを語る人がいるが、まさしく漫才という文脈の中で、主体と客体の一体化を実現しているし、その技法をとことんまで突き詰めている。

また、M-1を盛り上げたいというメタ認知の異常さも滲み出ている。偏差値教育的に、誰かを蹴落とすことが自分自身の順位を上げるという競争の文脈ではなく、M-1を協奏の文脈に落とし込んでしまった特異性が、まさしく場をコントロールし、自分自身の優勝を手繰り寄せてしまっているのではないかと感じる。
究極的に、資本主義の世界で異常な勝ち方をできる人の特徴は、損得勘定を超えた、「お金が稼がるからやる」というようなアンダーマイニングされた欲（あえて欲と区別するなら煩悩）ではなく、人には理解されないかもしれないけど、偏執的に好きとか、熱狂的に盛り上げたいという生身の欲望を持ち、その欲望に駆動されて動いているというものではないかと私は捉えている（ルールの中で戦うのではなく、ルールを自分で作ってしまう感性や戦略を超えた戦略性）のだが、まさに、その何かに引き寄せられて動かされているものを筆者からは感じる。そして、その生かされているという感覚にも、もはや自覚的な筆者が末恐ろしい。

最近よく見る格闘技（MMA）の興行でも、ただ強いだけではなく、どのような因縁を作り、試合までを楽しませるか、実際の試合当日ではどのような勝ち方をした方が盛り上がるかというプロモータ―視点のメタ認知が長けている選手��筆頭が朝倉未来）が注目を集め、格闘技を知らない層を引っ張って興行的価値に経済的価値を上乗せしていく様を見てきているが、M-1における筆者のメタ認知度合いと、それがもたらす成功については類似性を感じずにはいられない。

最近感じることとして、ビジネスの世界においても、優れた成果を上げている人は、やはり客観的なデータやプレゼンテーションスキルはもちろんのこと、人心掌握とは言わないまでも、「任せてみたい」と思わせる幻想構築力であったり、そうした幻想の現実変成力への高い解像度があると思う。（そうしたことに自覚的ではない方が、実はより魅力的に見えるが）
今後の筆者の活躍に期待するとともに、率直な感動をここに残しておきたい。

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2024年　54冊目
M-1を2連覇した理由がわかる一冊。粗品とくるまの対談はYouTubeにもないコンテンツだったので新鮮さがあった。後に貴重な本になりそう。

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本当に過剰だった。
気軽に誰かに貸すのが憚られる。
しかしここ最近どんどんくるまが好きになる
粗品との対談も面白かった

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令和ロマン高比良くるまの頭の中が覗ける一冊。従来の芸人が持っていなかったような、あるいは持っていても表には出さなかったような、くるまの類稀なる素質が爆発している。いい意味で芸人っぽくないというか、特殊な突飛なことができるというよりただだだ「考える」ことにひたすら適性があった、というのか...。
巻末で粗品が形容しているように、漫才界10年に一度の逸材だと思う。粗品が活字で読んでも粗品でついでに笑ってしまった。

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くるまさん頭良すぎて理解できない部分もあるけど、くるまさんがよく言ってるメタとシュールの関係が初めてスッとわかった気がして嬉しかった。

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お笑い好き、M-1好きの方にオススメしたい一冊。
面白くて改行も工夫されており、読みやすくて一気に読了。
わりと口語で書かれているので、本人がそのまま喋っているような感覚で読めます。
表紙裏にも秘密が隠されているので、購入された方は表紙も外して見てみてください。

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いやこれほんまに面白かった。
前のめりになって最後まで読めた。

数年前からYouTubeにアップされるM-1の3回戦からチェックしてるぐらいにお笑いが好きな僕にとってはぴったりの内容だった。

2つの視点からの感想。

まずはお笑い好きとしての視点。
令和ロマン・くるまさんがここまで考えてM-1の舞台で漫才をしてたのかということに衝撃を受けた。
漫才でするネタは、場の空気、会場のキャパ、客層をふまえて、やる直前に決める。格好良すぎる。まさにプロ。尊敬。
そして粗品との対談。これまでに読んだ対談の中でダントツに面白い。粗品とくるまの2人がまさにお笑い悪魔だと改めて感じた。

次に教師としての視点。
漫才と授業と研修は似ているところがたくさんある。特に研修は漫才と似ている。漫才でいうツカミは、授業や研修でいうところの導入。研修だとアイスブレイクをはじめにすることがあるが、これは空気を和ませるためでもある。これにより、その後の研修で「笑っても良いんだ」「自由に話しても良いんだ」という安心感を持ちながら、受講者は研修に参加することができる。漫才のツカミも、「面白そうだ」と期待感を高める、またひと笑いとって笑いやすい空気を作るという役割がある。ここは本当に通ずるものがある。
また、研修では、参加者が強制か希望制かのどちらで参加しているかによって、空気が違う。これはさる先生も言ってた。

目の前のお客さん(受講者、子ども)に応じて、柔軟に手を変え品を変え、漫才(研修、授業)をする。

これは渡辺道治先生のおしながきシステムにも通じる。

本当にプロってすごい。かっこいい。
今年一の本に出会えた。

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YouTube等で見るくるまさんのお笑い分析、ホワイトボードを駆使しつつ、早口でブワーッと展開されていく考察によってお笑いの奥深さや難しさを感じられるところが大好きなのですが、本書はまさにその書籍版。

口語体っぽい文体で書かれていて、いつものくるまさんのあの感じがそのまま脳内で再生されます(^^)

言語化大好きなお笑いファンなので、歴代のM-1の話・寄席と賞レースの違い・東西南北、地域ごとの漫才の特色など、漫才をいろんな角度から徹底的に考察、言語化してくれているタイトル通りの内容でめちゃくちゃ楽しめました。

特に興味深かったのが、ご自身が優勝された昨年のM-1グランプリ2023のお話。
中川家以来のトップバッターで優勝、観ている側のこちらとしては、ただただ令和ロマンすごい！と盛り上がっていたのですが、くるまさんの心境は複雑だったようで。
M-1を、漫才をまだまだ盛り上げるべく、いろんなことを考えて今年も出場を決められたんだなぁと、くるまさんのM-1にかける想いを窺い知ることができました。

令和ロマン今年も決勝進出おめでとうございます！
最高に楽しいM-1グランプリ2024を期待しています！！(^^)

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くるまの頭の良さが文の節々から感じられた
もっとお笑いに詳しくなって読んだらもっと楽しめるんやろなー

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ひさびさの5段階評価で星6つの本
ちょうどM-1連覇直後に読めたのでエモさが倍増
漫才好きならばくるまさんを好きでも嫌いでも読むべきと思う