ほんとうの会議　ネガティブ・ケイパビリティ実践法

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仕事柄、会議が多く、実のある議論、効率的な議論とするにはどうすべきかと悩んでいるところで、店頭で見かけて手にしてみました。
序盤は、依存症の方から話を引き出す事例から入っており、ビジネス観点ではなかなか頭に入らない内容でした。
本書では、会議の目的は答えを出すことをよりも、話を引き出すことであり、そのためには答えがでないことも許容する(ネガティブ・ケイパビリティ)ことの重要性を説いていました。
テキパキと会議を進めることだけではなく、話を引き出す重要性を改めて感じました。心理的安全性にもつながる内容だとも感じました。

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ネガティブ・ケイパビリティの概念と重要性

「答えの出ない事態に、事実や理屈に性急に飛びつかずにいられる能力」（ジョン・キーツ）
精神分析家ビオンが治療者が保持すべき能力として再発見
「答えば質問を殺す」（ビオンがブランショの言葉を引用）
不確実さの中で対話を深めることの価値


成長を促すミーティングの特徴

ギャンブラーズ・アノニマス（GA）の自助グループモデル

参加者全員が平等な立場で経験を共有
「安心の場」「心の清涼剤」「居場所」として機能
敗北の承認や心の開放を重視


オープン・ダイアローグ（OD）の手法

危機にある当事者とその関係者による対話
専門家の意見が絶対視されない水平な関係性
バフチンの「浸透する言葉」の概念を活用
結論を急がず多様な意見の共存を許容




悪を生む会議の特徴

旧日本軍の作戦会議：上意下達、根拠なき精神論、責任所在の不明確さ
現代企業の不正事例（宝塚、ビッグモーター、ダイハツなど）

NOを言えない組織風土
上司への忖度
問題の隠蔽


ネガティブ・ケイパビリティの欠如
多様な意見が出ない環境


AIと会議の可能性と限界

AIによる会議質向上の可能性
人間的共感や感情理解、倫理観の欠如という限界
上意下達強化や弱者意見無視のリスク


対話と学びの本質

ブランショの「終わりなき対話」の価値
対話は相手を打ち負かすためではなく成長の機会
「正しい説明」が時に凶器になりうるという警告
問い続けること、未完であることの重要性

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ＳＮＳで本書のはじめにを読んだ。おもしろそう、そう思ってネットで注文した。タイトルにはあまり惹かれなかったし、書店で見つけても手にしなかったと思う。会議についてはいろいろ考えることがあって、その昔、齋藤孝著「会議革命」を読んだ。自分で主催する会議については実践もしてうまく行ったなあと思えることもあった。が、特にコロナ以降のオンライン会議とかは、もうほとんどあきらめていた。その時間をやり過ごすだけになっていた。さて本書の内容だが、ネガティブ・ケイパビリティもオープン・ダイアローグも聞いたことはあるが、しっかりと読んではこなかった。それが少しでもわかればという思いがあった。しかしその思いとは違って、ここではギャンブル症というものについて初めて知ることができたのだ。そして自助グループによるミーティングの効果について知った。２章のオープン・ダイアローグの実践例も興味深く読めた。それに対して、３章は僕にはちょっとその必要性が読み取れなかった。そして、４章、本来、はじめにを読んで、ここがおもしろそうと思っていたのだが、登場人物が多く、しかも似た名前があったり、男女の区別がつかなかったり、まあ結局、何が書いてあるかほとんど頭に残らなかった。ただ、ある時期のサン・ブノワ通りにはそうそうたるメンバーが集まっていたのだなあということだけは分かった。さて、ここに登場する「答えは質問を不幸にする」という命題、その意味することをしっかり理解したとは思えないが、勝手に都合よく解釈をしておく。会議においてしばしば業績が良くても悪くても理由を聞かれる。そういうとき、僕は「たまたまです」としか答えられない。全く仕事ができない。仕事をしていない。自分が計画して実践したことがその結果を招いているとは思えないから何とも答えられない。他の人が上手に理屈付けをしていると、賢いなあ、仕事ができる人だなあと思ってしまう。しかしそれは真実なのか、単に口がうまいだけではないのか、などといつも思っていた。もうそういう機会もなくなったのだけれど、まあとにかく不毛な会議が多かった。そんなことよりも、いろいろな事業所で具体的にどんな取り組みをしているかを聞けるのは楽しかった。それ良いなあと思えたらマネすることも多かった。トップダウンの指示よりも、自分でいいなと思って始めたことの方が長続きもするし、うまく行くことが多かったように思う。そんな会議も確かにあったなあと本書を読んで思い出した。

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著者の専門である依存症の自助グループのミーティングについての特徴から、オープンダイアログの共通性に、著者が広めたネガティブケイパビリティと、その源流につながる話。おそらくすべてに通じた人でないと分かりにくい部分もある。「答えは質問の不幸である」といったブランショの言でビオンが「答えは質問を殺す」と言い、ネガティブケイパビリティの重要性を語ったが、本書の後半はブランショがその発想を得た「サン・ブノア通りの仲間たち」のデュラスの話が主となる。戦時中のレジスタンスから戦後のパリの知識人を生み出した中心にデュラスはおり、そこでの対話が豊かな発想を生んだ。デュラスは映画になった「愛人」で有名であるが、本書の後半はデュラスの自伝のような話であったが、彼女の自由な人生は今では当たり前になっているが(逆風もあるが)、そうした環境(心理的安全性)であるからこそ、豊かな発想が生まれるのだろうと感じた。

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ネガティヴ・ケイパビリティついてのエッセイ。タイトルに、「実践法」とあることから、「ネガティヴ・ケイパビリティを会議に活かすノウハウ」を期待して読んだら、肩透かしを喰らった。資本主義社会における営利企業の一義的な目的は、利潤の追求である（もちろん、法の遵守の上で）が、企業の会議の場で、好き放題言いっぱなし、結論も出さずで、のらりくらりしているうちに経営が傾いたらどうすんの？という気持ちを抱いた。もちろん、ネガティヴ・ケイパビリティの概念は素晴らしいし、人生において必要な場面もあるとは思う。