媚中　その驚愕の「真実」 新着

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『#媚中 その驚愕の「真実」』

ほぼ日書評 Day887

高市早苗氏によるDay880の勉強会冒頭にも登場する元駐豪大使と、元『週刊新潮』デスクの対談本。

読後感として、副題の「驚愕の…」は決して誇張ではなかった。
一方で、通常だとある程度の "予備知識" がないと一読しただけでは理解しづらいと思われる「霞が関人事」の内部事情等も、すっと頭に入ってくる。
あとがきにもある通り、非常にテンポ良く、かつ深みのある対談がなされたらしく、お二人の深い知見に加えて優れたトークスキルが、書面にもよく反映されているのだろう。

中身については、こういうことを言ったから飛ばされた（偉くなれなかった）的な件は、（飲み屋での愚痴と同じで）ある程度割り引いて読む必要があるのかもしれないが、「中国」あるいは中国共産党と言うべきか…が文字通り「戦略的」に「国益」にかなう打ち手を長期的に繰り出し続けていることは、具体的なファクトから、よく読み取れる。

古くは公明党（＝創価学会）の取り込み。1966年、作家の有吉佐和子と池田大作創価学会会長との会談の際、有吉から「これまで３回、中国に行き、毛沢東主席と周恩来総理にも会っ」たことごあり、池田大作に訪中して欲しい旨の周恩来からの伝言を披露したという。
1972年の日中国交正常化のはるか以前、そして社会党や共産党など、中共から見れば本来より親和性の良いはずの政党がまだまだ元気だった時代のこと、その頃から（本来は共産主義とは相容れないはずの）宗教団体に支えられた公明党の取り込みに着手していたというのは驚くべき。

最近では元中国大使の横井裕氏を「北京市安理律师事务所」の特別顧問に就いたという。（同事務所のWEBサイトで告知されているのでファクトに間違いないが）本来、日本の国益のために働くべき人間が、退官後とはいえ「向こう側」を利するためのポジションに迎えられたということは、在職中もその伏線となるような動きをしていたのではと勘ぐりたくなるというもの（本書では、もっと露骨な表現がされている）。
ちなみに、横井氏の次に中国大使に就いたのが、Day880で著者の山上氏に続いて登場する垂氏であるが、氏は逆に中国に臆せずものをいう姿勢が災いしたのか、その後、外務省内でひどく冷遇されたという。

そうした取り込みの裏にはいわゆる「ハニトラ」があるのもしばしば語られる話だが、安倍元首相のものとして紹介される逸話が面白い。
「安倍さんはよくわかっているから、もう絶対に誘いに乗らない。すると向こうが、男が好みだと誤解して、あるとき、部屋に入ったらイケメンが揃って立っていた」、何という勘違いか！

その他にも数多「驚愕の真実」が語られ、ぜひお読みいただければと思うが、最後に一般人が訪中する際の準備についてのアドバイスがあったので、引用しておこう。いわく、「どうしても中国に出張に行かなければならないときは、この２つを守ってくださいと。１つは単独行動しないこと。必ず３人とか、５人の集団で行動する。散歩でも街の視察でも、とにかく集団で動くように心がけること。２つ目は個人のスマホとＰＣは絶対に持っていかないで、出張の間だけレンタルで特別なものを借りること。そうしないとスマホやＰＣの情報はすべて盗み取られるし、マルウェアを埋め込まれ」るとのこと。
評者自身も今更ハニトラの歳でもなければ地位にもいないが、これは十分に注意しよう。

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