FXの小鬼たち ──マーケットに打ち勝った12人の「普通」の人たちの全記録 みんなのレビュー
- キャシー・リーエン(著), ボリス・シュロスバーグ(著)
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紙の本FXの小鬼たち マーケットに打ち勝った12人の「普通」の人たちの全記録
2009/02/09 00:09
ミリオネア・トレーダーズ
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シャリア - この投稿者のレビュー一覧を見る
「太陽がサンサンと輝くカリブ海への途上、乗り継ぎ時間を利用してニューヨークでインタビューに応じてくれた」
トレーダーを目指すキッカケは「その時間と収益の費用対効果」及びそこから生み出される利益の蓄積による優雅な生活(例えば半年はカリブ海のビーチ)だ。
ところが、本書にあるとおり、その道の途中、いや最初のほうで、資金全てを失うほどの壊滅的な失敗をやらかす。
そして、多くの人はマーケットから退場していく。「もう懲り懲りだ」と。
本書では、どん底から、どのように立ち上がり、学び、経験していくかが、詳細にインタビューされている。「必ずしも最強、最速の者が勝つわけではない」がメインテーマだ。
普通の人々が普通の資金(日本円で10万-50万)をためて、資金労働させていく為の、規律や考え方をわかりやすく説明しているところが、とても興味深い。
「練習が成功を保証することはないが、練習不足はほぼ確実に失敗をもたらす」とデモトレードをほとんどの小鬼が薦めてくれる。
「トレードスキルは経験しなければ身につかない」とやさしい表現をしてくれているが、深く読み解くと「失敗しなければ、身につかない」となるほど、厳しい場面もある。
しかし、例えば自転車なら、転んでも、また練習できるが、もしも飛行機なら、そうはいかない、一度で終わりだ。「ダムマネー」を提供することしかできないレベルでは、このことさえも、分かっていないのだなと痛感させられた。
チャンピオンベルトに魅せられて、そのプロセスに焦点を当てることを忘れている(ベルトだけ見つめてボクシングするのを忘れている)のは、ちょうどカリブばかりに目を奪われ「地道に取り組み、とてつもない規律が求められる」マーケットを見失い、ノックアウトを食らうようなものだと改めて認識した。
ミリオネア・トレーダーとなった後も基本は変わらないことを本書を通じて理解できた。
栄光に心奪われることなく、日々のスキルの研鑚に励んでいる姿はとても地味だが美しい。
マーケットに対するスキルの度合い、そのポイントは「自分の心の罠に、自分で気づくかどうか」だ。(損をする誘惑にかられそうなエリアから離れることができること)
マーケットは戦いの場ではなく、観察の場であることが12人の小鬼からも、うかがい知ることができた。
本書での質問「あなたのNo1ルールは何ですか」に対し、「資金を守ること」が回答に多いところから、「トレードに使うお金は将来の富の元」という意識が高いとともに、自分の罠に入り込まない為のトレードスキル及びマーケットセンスを磨き続けることが資金を失わないことに通じると理解できた。それは、「攻め」というより「守り」、「成功」というより「同じ失敗を繰り返さない」という印象だ。
「トレードを仕掛けたときは想定損失と想定利益を答えられる」まで研究してから「利益を安定的に生み出すシステムを使ってトレードしたい」というミリオネアの決意に成功の秘訣を垣間見た。
「すべからず集」の塊、すなわちミリオネア・トレーダーへの道に他ならない。
それは、カリブ海のイメージとは、ほど遠いものであった。
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