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偶然の祝福 みんなのレビュー

  • 著者:小川 洋子
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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本偶然の祝福

2011/09/20 10:02

夢と現実の境い目

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mieko - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小川洋子さんの作品は『博士の愛した数式』と『アンネ・フランクの記憶』くらいしか読んだことがありません。『博士の愛した数式』は映画にもなったくらい話題の本だったので読んでみたのですけど、数学嫌いの私でさえ、数字ってこんなにも美しいものなんだと感動しました。『アンネ・フランクの記憶』はどういう経緯があって読もうと思ったのか記憶が定かでないのですが、たぶんアンネ・フランクに関する本を探していたときに検索で引っかかって、この本がエッセイだったので、エッセイ好きの私の気を引いたのかもしれません。
 この2冊しか読んだことがないので、小川作品の文体とかストーリーの癖とかって、全然意識していなかったし、この2冊に関しては特別「癖」があるような文章ではなかったと記憶しています。ところが『偶然の祝福』は随分独特な視点の物語だなぁという印象で、小川洋子さんってこんな作風の人だったのかと新鮮な驚きでした。

 『偶然の祝福』という一冊は短編集で、「私」にまつわるいくつかの出来事に関する小さな物語が連作の形で納められた本です。
 「私」というのが敬虔なクリスチャンの家庭で育った作家志望の女性という設定なので、「私」というのは作者自身のことなのかなと思いながら読んだのですが、もし本人のことであったとしたら、結構赤裸々な内容だなと驚きます。けれどこの本が「エッセイ」に分類されていないということは、自身にまつわるエピソードを膨らませて描いた物語なのでしょうか。

 7つの短編のタイトルは次の通り。

・失踪者たちの王国
・盗作
・キリコさんの失敗
・エーデルワイス
・涙腺水晶結石症
・時計工場
・蘇生

 どのお話も、幻想的です。どれをとっても「私」の切羽詰まった、いっぱいいっぱい感が迫ってくるのですが、読み進むにつれ、だんだん夢と現(うつつ)の境目がなくなっていき、自分がどちら側に存在しているのか判らなくなってくるような不安定な気持ちにさせられました。だからといって不愉快さはなく、心に余韻が残る物語ばかりです。
 薄い本なので読もうと思えは一気に読めるのですが、もったいなくてちょっとずつ読みました。

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紙の本偶然の祝福

2011/10/04 07:55

不思議な世界が...全編通すと見えるものが...

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

7つの短編集...と思いきや、いわゆる「連作」であることを途中で知る。話の中にでてきた飼い犬「アポロ」の名前によって。死んだ弟、不倫相手、失踪者...「失うもの」があって、主人公は哀しみ、それを受け入れ、乗り越えて生きる。そして、その対局にある「(なくしたものを)見つける」才能を持つ女性の登場...結果、彼女も去っていくのだが。
タイトルの「偶然の祝福」という第の短編はない。全編通して、その意味がわかる、ということであろうか。いわゆる「純文学」がフィールドにはない自分にはいまひとつつかみ切れず、短編ひとつひとつも、俗っぽい言い方でいえば「落ち」がないので、どうにも消化不良のところは、ある。おそらくは、前述したように「失うもの」と「見つけるもの」、どちらも「偶然」なのかもしれないけれども、「失ってはじめてわかるもの」新しく見つける中に見える「光」、これらがすべて、「今の自分」を作り上げているのだろう。
ちょっと前に読んだ『とげぬき』ほど主人公の強烈な存在感がなく、『潤一』のように、他者が軸になっているわけでもない。平坦な文調が続くが、(その3つの中では)もっとも「人間臭い」部分がでているような印象を受ける。
ご自身と重ねているかどうかは分からないけれども、孤独な小説家である主人公をとりまく人間たち。出会って、そして去っていく。それぞれ接した時間は短いのかもしれないが、ひとつひとつそれは「事実」であり、その出会いを経たからこそ、次の出会いがある。形はそれぞれだけれども、周りに存在する人は、ある意味その主人公の理解者だ。孤独な境遇ではそれも力になる。
...芥川賞作家、なんですね...存じ上げませんでした。次は長編『博士の愛した数式』を読んでみよう、と思ってます。

【ことば】...暖かい日差しが降り注いだ。息子が目を覚まし、もそもそと動き出した。私はカタツムリの縫いぐるみを、顔のそばに置いてやった。

『盗作』の最後の文。「文学的」表現ですねー。もちろんそれまでの経緯があってこそ、なんですが、こういう情景が浮かぶような、読んでいる自分の目の前に「カタチ」が現れるような。文章の力、言葉の力って、すごいですね。書き手と読み手が同じ世界に立った、そんな瞬間。

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