勇敢な日本経済論 みんなのレビュー
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電子書籍勇敢な日本経済論
2017/08/11 16:11
面白くて考えさせる
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投稿者:野次馬之介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの失業率が16年ぶりの低水準になったという。もっとも、このニュースはアメリカのマスコミが伝えたものではなく、トランプ大統領が、いわゆる「フェイク・ニュース」に対抗して開設した「リアル・ニュース」が伝えているものらしい。失業率は景気の動向を見る上で重要な要素だが、アメリカのマスコミはいっこうに下ったことを伝えない。そこでトランプが直接報じているわけで、日本でも似たようなことが起きてはいないか。
というのは、安倍首相も日銀の黒田総裁もインフレ目標ばかり強調し、それが達成できないとしてなげいている。しかし、本当はトランプ同様、失業率こそ注目すべきだと本書はいう。日銀のやってきた金融緩和は「雇用」の改善に役立っている。しかるに、それをインフレ・デフレで説明しようとするから話がややこしくなる。というのは日銀の仕事に雇用問題が入っていないからで、なぜこんなに失業率が下がったのか、誰も説明しようとしない。けれども、これだけでもアベノミクスの効果が明らかだといえよう。
逆に、インフレ目標が達成できないのは物価が上がらないためで、原因は消費が伸びないからである。消費が伸びないのは消費税を8%に上げたからにほかならない。つまり消費税を上げておいて消費を伸ばそうという財務省の失策が基本にあるのだ。消費税を上げるに当たっては、黒田総裁も財務省も、景気は悪くならないと明言していた。その間違いを認めようとしないがために、インフレ目標の未達についてもあいまいな説明しかできないのだ。
考えてみれば役人も代議士も税金で食ってるわけで、自分たちの実入りになる税金は少しでも高い方がいい。その圧力に耐えて、消費税10%などという主張を抑えこんでいるのが安倍首相である。今後いっそう頑張って貰いたいものだ。
それにしても、その安倍首相に選ばれた閣僚たちのなんと頼りないことか。ひとりは女防衛大臣だが、国の防衛どころか自分の身を守ることもできずに姿を消した。
もうひとりは8月3日の内閣改造で沖縄北方相に就任した大臣。国会答弁では「役所の書いた文書を朗読する」だけと語ったらしい。北方問題に関しては素人だから自分の発言に自信がなく、立ち往生するのを避けるためという。ところが早くも5日後には日米地位協定について失言し、用意された紙を読み上げて釈明したという。まるで落語のオチである。
そのうえにもうひとつオチをつけると、本書によれば、ロシアでは政治やビジネスの話合いにあたって一緒にサウナに入り、お互いの股間を握り合う儀式があるらしい。まさかサウナにまでセリフを書いた紙をもって入るわけにはいくまいが、握り合いにはセリフも不要だろうから、ロシアの要人としっかり握り合って、北方領土を取り戻してくるよう願いたい。
最後にもう一度トランプのフェイク・ニュースに戻ると、アメリカだけでなく日本でも、朝日新聞の従軍慰安婦や南京大虐殺を引き合いに出すまでもなく、いい加減な報道や片寄った報道、タメにする報道が多い。そこで本書は「新聞に書いてあることが正しいと思っているイギリス人は2割しかいないが、日本では7割もいる」と書いている。
面白くて、考えさせる本であった。
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