宣教師ニコライとその時代 みんなのレビュー
- 中村 健之介
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
紙の本宣教師ニコライとその時代
2011/05/07 23:07
ニコライ堂に行く前にどうぞ!
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうか - この投稿者のレビュー一覧を見る
御茶ノ水の駅前から見える、ニコライ堂を見たことがありますか?
ロシア正教会(ギリシャ正教)は、カトリック、プロテスタントと共に
キリスト教の流れのひとつ。
1861年から約50年間、日本人に教えを伝えるために奮闘した
ニコライ。彼は明治期の外国人の中でもひときわ大きな存在感を示して
いる。
彼は40年に渡って日記をつけていたのだが、関東大震災で失われたと
思われていた。死後残した財産もなきに等しかったニコライの「記録」。
1979年秋、この本の著者中村健之介は、ペテルブルクの古文書館に
「日記」が保管されていることを突き止める。
2007年に中村氏を含む19人の訳者による「宣教師ニコライの
全日記」が教文館から全9巻で刊行されているが、なかなか高価でかつ
分厚く、素人としてはちょっと手が出しづらい。
この本も350ページと、講談社現代新書にしては厚めだが、とりつき
やすさは比較にならない。
日本の各地に正教徒がいたこと、資金をロシア本国から必死に送って
もらっていたことなど、活動の内訳もわかりやすく紹介されている。
ロシア文学に興味がある人は、プーシキンやトルストイ、ドストエフ
スキーについて言及されている部分を楽しく読めるだろう。
何より、この本を読んでしみじみと感じるのは、ニコライの人間と
しての豊かさだ。おしゃべりなおばさんたちの生態を、身分の高低に
関係なく皮肉に書き留めてみもする。本人が善意の人、ずるい人間の
言動を想像する能力に欠けていて、しかも報復しないので、何度も
だまされ、利用される。かと思えば自分の感情のままに怒りをぶつけて
しまったと反省してみたり・・・
こんなニコライが信じている神は、素朴であたたかい。彼はひたむきに
神のために行動し、伝道旅行をする。読み進むうちに、彼が出会う信者の
誠実さにこちらまで、ほっとしてしまう。
こんな人がいたのか、と思わせてくれる、おすすめの1冊です。
1 件中 1 件~ 1 件を表示 |