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動物化するポストモダン みんなのレビュー

  • 東浩紀
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みんなのレビュー10件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (4件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (2件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
5 件中 1 件~ 5 件を表示

紙の本ゲーム的リアリズムの誕生

2008/09/07 13:34

現代文学認識論の最高峰。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 東は、もとは現代思想の分野の人で、オタク分野まっしぐらの人ではない。講談社べったりのサブカルの権威のようにも見えるけど、東自身の態度は客観的な態度でオタクを扱っている。ポスト東の芽がちらほらと見えているようだけど、先人(大塚英志は正直東をどう思ってるんだろ)からのお墨付きを受けた、現状認識論者の一人としては優れた評論家の一人である。

 前作、『動物化するポストモダン』で東が描いた現在のデータベース社会は以前隆盛を極めている。現在の物語を巡るポストモダン化は拡大の一途を辿っている。この点に即して今著も書かれたのだけど、前作に比べ、より文学の比重が増し、オタク的作品を多く扱うなど、東も言っているように、今作は前作を踏まえての応用編になっている。と言っても、前作読まなくても今作だけで十分理解できますから安心してください。

 私にとってこの本は、本の読み方、捉え方がまるっきり変わってしまうほどのインパクトを持つものだ。
 この本には様々なことが書かれていて、全てを私が紹介するよりも、「とりあえず何も言わずにこの本を読めば良い」レベルにまで達しちゃってるので、あんまここでは書きませんが、その中でも一つ、印象に残ったことを挙げれば、それはつまり、「今までの読み方では対応できない本が出現してきていて、こちらの(読者の)読み方を使い分けなければ、面白さ、すごさ、を全然理解できない」ということ。
 今までの読み方を「自然主義的読み方」(近代から続く一般的な小説)、「ライトノベル的読み方」(そのままずばり)とに分けて読まなくちゃならんよ、って東は言ってる。的確であり、まさしく秀逸。
 その他にも、これら二つを含んだ、ゲーム的リアリズム、読む媒体の如何を問うのではなく、その作品の周囲の環境(読む人間、作られた時代、など)を考える環境分析論、などが散りばめられている。

 まさしく画期的な話ばかりで、「その通り!」と思う箇所(ひぐらしのメタフィクショナルな点など)がバンバン出てきて、久しぶりに読書を通じての気分の高揚を味わった。

 だけどもだけども、オタク的文化には深い記述、多種多様な参考文献などがあるけど、文学の方にはあんまりありませんね。オタク的文化ありきで論を展開しているから、どうしても本格的な文学論にはなってないような。確かにですよ、これだけの読み方の区別化を示した後で、一般文学について論じるとなると、「なんだか意味ねー」感はアリアリだけど。扱う対象を飛躍させなければならないのは分かるけども。

 そこの部分の物足りなさは確かにある。一連のオタクブームはブームでしかないでしょ?と反証することも出来る。ただ、歴史を見ても分かるように、文化の反動運動がまだオタク的文化に対しては生まれてきていないように、どうやらゆるやかと、本当に東が言っている世の中になってきているようにも感じる。近い将来には本の二極化など言わずに、のんべんだらりとオタク的文化が浸透するのかもしれませんね。その是非など問うまでもないような社会に。

 ただ一つ。名著かどうかは各人が評価することなので、もっとも私は「これ傑作だ!」って言えるけど、そこは置いておいて、とりあえず読書人はこれを読まなくちゃいけません。
 前作に比べ、やや偏りが見られるかもしれない。だけども今作はオタク的文化を通した、客観的な、とっても優れた現代文学認識論であると共に、「ライトノベル的読み方」を知らずオタク的文化を毛嫌いしている人にとっては良い入門書にもなる一冊ですので、是非ご一読を。

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紙の本ゲーム的リアリズムの誕生

2007/03/16 16:07

内容紹介・目次

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:講談社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

話題を呼んだ前作『動物化するポストモダン』より5年半の待望の続編です。
今回の本では、前作の問題意識(オタクの消費行動を分析することで現代社会を読み解く)を引き継ぎつつ、さらに「涼宮ハルヒ」シリーズなどのライトノベル、「ひぐらしのなく頃に」などのゲーム、舞城王太郎の小説などの読解を通じて、日本の物語
(文学)の行方について解いていきます。明治以降の「自然主義的リアリズム」、大塚英志の「まんが・アニメ的リアリズム」に対して「ゲーム的リアリズム」とは何か? まさに文芸批評の枠を超えた快著です。
イラストは有川浩さんの「図書館」シリーズなどで人気の徒花スクモさん。本のイメージにあわせて描いていただきました。
*
序章 ポストモダンと物語
第1章 理論
A 社会学
ライトノベル/キャラクター/まんが・アニメ的リアリズム/
想像力の環境
B 文学 Ⅰ
私小説/まんが記号説/半透明性
C メディア
ゲームのような小説/ゲーム/マンガのおばけ/ゲーム的リアリズム/コミュニケーション
第2章 作品論
A キャラクター小説
環境分析/『All You Need Is Kill』/死の表現/構造的主題
B 美少女ゲーム
小説のようなゲーム/『ONE』/メタ少女ゲーム/『Ever17』/ 『ひぐらしのなく頃に』/感情のメタ物語的な詐術
C 文学 Ⅱ
『九十九十九』/メタミステリ/プレイヤー視点の文学/世界を肯定すること
*
東 浩紀(あずま ひろき)
1971年生まれ。哲学者・批評家。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。
2006年10月より、東京工業大学世界文明センター特任教授。
単著に『存在論的、郵便的』(新潮社、第21回サントリー学芸賞)、『郵便的不安たち』(朝日新聞社)、『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、共著に『自由を考える』『東京から考える』(以上、NHKブックス)、編著に『網状言論F改
ポストモダン・オタク・セクシュアリティ』『波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由』(以上、青土社)など。

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ポスト・ポストモダンはいかなる形で訪れるだろうか。

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

非常に示唆に富んだ視点で現在を分析していて、これからの社会を考えていくにあたって、参考になる。特に著者が最初に提示した第2の問い『ポストモダンでは大きな物語が失調し、「神」や「社会」もジャンクなサブカルチャーから捏造されるほかなくなる。それはよいとして、ではその世界で人間はどのように生きていくのか?近代では人間性を神や社会が保証することになっており、具体的にはその実現は宗教や教育機関により担われていたのだが、その両者の優位が失墜したあと、人間の人間性はどうなってしまうのか?』(p.46)は、これからを生きる我々にとって大切な問いである。
 データベース消費なる語には少し違和感を感じた。なぜなら、著者の視点が供給側にあるように思えるからだ。「物語消費」においては、消費者もまた物語を意識しているが、現在の消費者はデータベースを意識しておらず、要素あるいは部品を、そして、その組み合わせの妙を消費しているのであり、データベースを意識しているのは、主に発信・供給側だと思う。そう考えると、声という要素(部品)が独立してキャラと関係なく声優として人気をえることにも説明がつく。だから「データベース供給」をレゴブロック的に「要素消費」していると捉えた方がいいのではないだろうか。

 また、著者は男性としての視点を中心にしており、女性の視点が希薄であると感じた。現在、萌え要素に萌えるのは男性ばかりでなく、女性も多い。女子中高校生のディズニーやサンリオキャラクター嗜好は、境目なく萌えキャラ嗜好につながっている。さらに男子学生が萌え系であることを表明するさい若干の照れが感じられるのに、女子学生はなんの衒いもなく表明するように思われる。これはユニセックス化も一因であろうし、女性の場合はたとえばメイド喫茶通いしても男性とは違っていやらしさが介在しないことが関係しているのではないだろうか。(やおい系のものは少し別だが)

 そして、男性の場合も女性の場合も萌え型で消費されるキャラは人間というよりもペットとして消費されている。男あるいは女としてのつながりではないので、女性も萌えるのである。メイド喫茶の女性客ノリを考えれば分かると思う。メイドに自分を重ねようとするタイプか、メイドに指令を出すタイプかに分かれるが、そこに上下関係を持ち込むことが鍵となっている。それを、メタギャルゲーまで視野に入れて考えれば、神の視点を手に入れたい渇望ではないのか。

 この本は現在の日本のある側面の優れた分析であることは認めるが、大きく抜け落ちていると思われることが2点ある。1つは、若者の中のオタク人口は今でも決して多くないこと。オタクでない若者やオタクにさえなれない若者のほうが多数である。社会現象、あるいは社会問題たりえても、主流ではない。2つ目は、「データベース消費」(動物化)を支えているのが著者の言うように豊かさであるとするならば、ポストモダンな時代はもう永くはなく、やがて来る貧困という現実に押し潰されるだろうということである。その時、ポスト・ポストモダンの時代、我々はいかなる人間性を持つのだろうか。

 このように、この本はいろいろなことを考えさせてくれる素晴らしい本である。

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ギャップに囲まれたスルドサ?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:T.コージ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 良くも悪くも東浩紀が現代的思考の典型であることを示した本だ。ただし、そもそも一定以上の理解力や構成能力があってこその文章表現であり言語表現であるところの理論としてはギリギリのものだったかもしれない。
 この本を待望した者は、元来、この本のような表現形態を忌避する意を持っている者であるハズでもあり、そのことがこの本に対する賛否両論と東に対するアンビバレントなレスポンスを示している一因でもあるのではないだろうか。以上が第一印象だったが…。

 ひさしぶりに読み返してみて、意外にいい本だなっと思ったのが本書だ。再読は初見よりもはるかに読み応えがあった。著者がまったく独自に打ち建てようと試みた世界観があり、傍証のひとつずつがよく考察されていて、それだけでも読んでいて面白い。
 オタク第二世代である著者がスターリニズムの原理について語り、それが的を射ているばかりか、さまざまな場面で著者の鋭い視点を読むことができる。「オタク系文化の構造を理解していないがゆえにかえってその一面を鋭く抉りだしている…」という村上隆への評価や「リミテッド・アニメの国産化の過程」への孝察、ポスモダ状況下の百科全書派のような「萌え要素」の解析など、読んでいてあきないばかりか、そこでは新たな視点が読者に示されているわけだ。
 「これ以降の展開は、読者ひとりひとりの手に委ねたい。」という言葉で本書は終わるが、「動物化」「過視化」といった概念の提示に、読者や論者のレスポンスは物足りないというより理解が足りないと思わせるものが多いという気がする。
 他の論者と著者のギャップを知ることができるものとして著者と笠井潔の往復書簡本「動物化する世界の中で」があるが、そのギャップから受ける苛立ちを共有すること以外に現在何があるのだろうかという読者は少なくないかもしれない。そういう困難な時代と情況そのものを著者は描きたいのではないか?…と一読者として思わされる本だ。

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説明の方法、説得の方法

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 僕は、いわゆる「ポストモダニズム」がわからない。大学に入ったころが「ニュー・アカデミズム」ブームだったけど、お近付きにならなかった。そのあと一念発起してフーコーとかリオタールとかに目を通してみたけど、お近付きになれなかった。だから、ポストモダンって言葉を聞くだけで、思わず引いてしまう。もう一つ、僕は、いわゆる「オタク系文化」もわからない。たしかに中学生のときには「宇宙戦艦ヤマト」にはまったけど、「機動戦士ガンダム」とか「新世紀エヴァンゲリオン」には走らなかった。というわけで、多分「現代思想第一世代」とか「オタク系文化第一世代」とかにあたる僕だけど、どちらも未知の世界だし、わからないから苦手だ。ところが、この本は「ポストモダニズム」を武器にして「オタク系文化」を解読しようとするらしい。おまけに著者の東さんは、たしかデビュー作では(読んでないけど)ポストモダニズムの大家デリダを論じたはず。縁遠い世界だよなあ、と思いながら読みはじめたんだけど、これが面白くて、よい意味で期待を裏切られた。出張に行く電車のなかで、ビール片手に読んだせいもあるだろうけど、一気に読んでしまった。

 僕みたいな若者文化素人は、オタク系文化なんてマイナーだろうって思いがちだけど、じつは量的にも質的にもそうじゃない。結構な人数のオタクがいるし、自分はオタクじゃないと思ってる人にもオタク系文化は影響を及ぼしてるのだ。だから、オタク系文化を知ることには意味がある。しかも、若い層ほどオタクが多いって事実を考慮すると、オタク系文化は日本の現代社会の特徴をよく体現してるかもしれない。東さんはそう考えて、現代社会を分析するツールである「ポストモダニズム」を用いてオタク系文化を分析した。

 この本のメリットは次の二点にある。第一、オタク系文化と現代社会の特徴であるポストモダンな性格の関係を説得的に論じたこと。もちろん(この本によれば)この関係はすでに論じられてるけど、東さんは、ここ十年ほどのオタク系文化の変化を跡付け、オタクの思考様式が「リゾーム・モデル」から「データベース・モデル」にかわったと主張した。さらにいえば、日本社会は、「大きな物語」が存在することを前提とするモダンな時代から、「大きな物語」の存在を否定するポストモダンの時代第一期を経て、「大きな物語」はどうでもよくなるポストモダンの第二期に入った、というわけだ。オタク系文化や、さらにはインターネットやコギャルの背後に、現代人の思考様式の変化を見て取るって、一見とっぴな感じもするけど、いわれてみると頷ける気もする。ふだん僕は「良識ある大人」として、オタク系文化のディープな部分とは無関係に生活し、コギャルの行動には眉をひそめ、何も考えずにインターネットを使ってるけど、よく考えると、こういった現象が現代人の思考様式を変え、あるいは現代人の思考様式が変わったことを反映してるっていうのは、否定できない事実なのかもしれない。

 第二、これは東さんの本意じゃないかもしれないけど、「ものごとを説明する」ってことの意味を読者に考えさせること。ポストモダニズム素人の僕は、ポストモダニズムは小難しいことを並べてるって印象しかなかったけど、この本を読んで、じつは僕らの日常生活を説明することに役立つってことを知った。でも、オタクや、さらには現代人一般の思考様式っていう大きなテーマについて説明するとき、僕らはどんな証拠や方法を用いればいいんだろうか。現代人の頭の中をのぞくことはできないから、直接的な証拠は使えないだろう。とすると、あとは説得力で勝負するしかないってことになる。そして、この、強い説得力を備えた本は、僕らに「説得の方法」のヒントを与えてくれるのだ。[小田中直樹]

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