Spring has come! みんなのレビュー
- 著:月村奎, イラスト:南野ましろ
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スプリング・ハズ・カム!
2003/03/16 00:19
その男、明朗快活・春の風
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真壁しの - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやあもう。まずは南野ましろさんの挿絵を称えてみましょう。
ぴったりです。こういう顔でこういう表情してそうだよ!
挿絵のある小説では、絵が似合わなければそれはそれで気にしなければいいという人もいますがやっぱり邪魔な絵というのはあると思う。すっきりくるんとしたましろさんの絵は、好き嫌いわかれるところですがこれは合ってたと思うなあ。ドライブのシーンの挿絵なんか彼ちょいとかっこよかったぞと。
月村さんの本は初読です。これは面白かった。丁寧だなあと思いました。
主人公の憤懣、なかなか身に染みるところです。怒る気持ちもわかるしその後悔もわかるしね。
そこでそう言い返すのもわかるよ……言い返さないほうが楽なのにな。
ハリネズミのような彼に対して、もう一方はふわんふわんしたもんたみの。お嬢さんとは言わないがお姉さんでも変わりあんめえ(謎
ハリネズミにしてみれば刺しても刺しても手ごたえなくほわほわまとわり付いてくる暖かなものは得体が知れずにいらつくもの。でも刺されてるほうはなんにも感じてないわけじゃなくて、それを見せない術を、あるいはそれを意に介さない強さを持ってるわけなのでした。
とらえどころのないボケキャラが蓋を開けると大層な過去と大層な傷を持っていた。という設定はなかなかにありがちですが、キャラクターに馴染んでいるのでさほど気にもなりません。
というより、冗談粧して好きだよーん。をへらへら連発する、その表情の下であんたいったいどんだけ切ないのよ!と思うとそれだけで楽しめます。
ああ、そういえば一人称なんでした。一人称は甘くなりがちでそういうのが苦手なのですが、すっきりと読める一人称は嬉しゅうございましたよ。恋愛感情は顔を見せますが恋愛関係はほとんど描かれておりません(ほんとにな……)。けれど描かれた恋愛をきちっと楽しめるのです。書いてて気がついたけどこれちょっとすごいですな!!
らぶらぶえろえろが読みたい人にはちょっとね。友情のような恋を見たい人にもちょっとね。なんていうんでしょうね。でもよかったんだー……いやもうほんとに。
一人称ですので、主人公の見ていないところで一方が何を思いどこを見つめ思いを馳せるあまりにどんなポカをやらかしたかなんてことはこっちが勝手に想像するしかないわけで、そこもなんだかサービスのような気がしてしまうこの男。
こういうのをいい男、とか
言うんじゃないですかねお嬢さん。
スプリング・ハズ・カム!
2002/06/22 23:20
平凡な日常を楽しくさせてくれる作品
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:不破 類 - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇抜なストーリー展開はないが、ゆったりと流れるような
あたたかい作品である。
主人公・大輔は成績優秀な高校3年生。
母親がいない大輔は、男にして一家の主婦がわり、
家事の一切と妹、弟、そして祖母の面倒をみている。
そんな日常に嫌気が差していた大輔は、東京の
大学に進み、それを機に家を出ようと決心していた。
そんなある日、大輔は惣菜屋の店長・耕平に出会う。
近所のお年寄りや、おばちゃん相手に愛想を振りまき、
軽薄な感じがする耕平に、大輔は戸惑い、反発する。
なぜ、あんなに平凡な毎日に満足していられるのか。
しかし、外見とは裏腹に、学校きっての優秀な成績で
ありながら、大学進学をせずに家業を継いだという
耕平の意外な過去を知る。
そして、高校の時の自殺未遂…。
それらの過去や同性愛者だということを悪びれずに
告白し、少しずつ自分の心に入り込んでくる耕平に、
いつしか大輔も心を開いていく。
どこにでもありそうな日常風景、
有名大学に入ることで他者に自分を認めてもらいたい
という自己顕示欲、
平凡な日々から抜け出したい、
でも、家族も捨てられないともがく大輔。
そんな大輔を、耕平はあたたかく包み込んでゆく。
誰の心の中にもある葛藤。
読みながら共感し、平凡な日々の大切さを思い出させて
くれる作品である。
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