サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

新規会員70%OFFクーポン

小説の読み書き みんなのレビュー

  • 佐藤正午著
予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー3件

みんなの評価3.8

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (1件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本小説の読み書き

2006/08/14 18:21

随所に著者の鋭い見解が光る優れた小説論!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、もともと岩波書店のPR誌『図書』に連載された文章が基になっており、近代の文豪とよばれる作家を中心として、戦後に活躍して物故した現代作家も若干含んで二十三作品と著者の自作を加えた計二十四作品が論じられている。
それぞれの作品論の分量はそれほど長くはないが、随所に佐藤正午氏の鋭い見解が展開されており、中々読み応えのある小説論となっている。
例えば、谷崎潤一郎の『痴人の恋』を論じている章では、谷崎のこの初期作品はエロティクな作品としてこれまで読まれて来たが、仔細に読むとセクシュアルな描写は「潔癖にさけられており」それが故に「この小説は悦楽をむさぼりつくした直後に忍び寄るもの、幻滅の手前で踏みとどまっている。永遠の恋愛もしくは婚約期間とでもいった状態に保たれている」としている。これは、一見驚くべき指摘であるように思われるが、この作品の隠れた一面を明らかにした優れた見解と言えよう。
また、芥川の『鼻』については、いささか辛辣な見方をしている。著者によれば、芥川の作品は、確かに文学好きな読者を惹き付ける魅力を有しているが、「不思議なことに何度読んでもこの人の作品を充分読み上げたという達成感なく」、それは「芥川の小説は文体で保っているものが大半で、特に文才に恵まれた作家であれば誰にでも書けるという書き方になっている。これが私だという言葉の傷がない」としている。誰にでも書けるという指摘はともかく、「言葉の傷がない」という指摘は芥川文学の本質を衝く鋭い指摘であろう。
本書は、この他にも新鮮な指摘が散りばめられており、教えられることの多い小説論となっている。ただ、残念なのは、著者が作品を論じる姿勢はどこか性急でぶっきらぼうなところがあり、小説を論じる際に伴う愉悦感に乏しいことである。著者は、五十歳を越えた中年と自らを呼んでいるが、その割には文体が年齢を感じさせないドライなものとなっており、もう少し知情意を兼ね添えて小説論を展開しても良かったのではないと思われる。また、終章で、自作を論じているのもいただけない。編集者の要請があったからと著者は言うが、他の作家をあれほど辛辣に論じておきながら、自作を他の大作家とともに論じるなど余りにも厚顔過ぎるのではないか。類書には見られない鋭い見解や思い切った考察がなされてユニークな小説論となっているだけに、惜しまれるところである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。