世界史の針が巻き戻るとき みんなのレビュー
- マルクス・ガブリエル, 大野和基
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世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか
2020/07/23 22:49
解り易い文章で書かれた内容の濃い一冊
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投稿者:里 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近NHKにも登場し注目を集める新進気鋭哲学者の著書、といってもどうやらインタビューの内容を日本側でまとめたもののようで本当の深い所に行ってないのではないか、という危惧はあるものの、わかり易い文章で本物の哲学書のような「何十頁も読み進めたが何もわかっていなかった」というような悲しい思いをせずに済んだ。(とは言え、わからない所はわからなかったのだが)
まず、世界史の針が巻き戻るとはどういう事なのだろう?本当にそうだとすればおっかない話だが、著者は冒頭でEUの崩壊だけでなく、どの国の文化も古い型のモデルに戻ろうとしている、と説く。確かに。
なんでそんな事に?というと、国家的な擬態やインターネットによる非民主主義的な意思決定、コントロールの無いグローバル経済によってイメージが優先し、「損実が見えなくなっている/真実を誰も求めなくなっている」と著者は見ている。個人的に特にショックだったのは「科学の進歩が人類を救うという迷信と闘わねばならない」という一節で、そうかぁ、科学特捜隊とイデ隊員をまだ信じていたかったんだけどなぁ。
現在の多くの新進気鋭学者の意見と異なり、著者はインターネット、SNS、人工知能に懐疑的である事も印象に残った。なにしろ「インターネットでは愚者が愚者にモノを薦める」そうなのでこのレビューも読み手が賢明である事を希望するしかないが、同時に人工知能が人間の脳にとって代わる未来は永久に来ないと断言していて、少し安心した。そうであって欲しい。
日本と日本人についても各所で言及され、持ち上げられているときと警告されている所がある。心に留めておこう。
おそらく著者の全思考はこんなもんじゃないとは思うが、それでも付箋など付けていると1ページ毎に貼る事になる程内容は濃い。考えるヒントにはなるし、その割にはサクッと読めてお得ではないかと思う。
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