ケルト巡り みんなのレビュー
- 河合隼雄 (著)
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紙の本ケルト巡り
2005/03/18 15:02
イギリスやアイルランドのケルトを巡り、自然と人間の共生や口承文学などキリスト教以前の世界観からこれからの社会を生きるヒントを探る良書
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
心理療法家である著者が、日本とケルトとの欧米文化にはない共通点に着目して、イギリスやアイルランドのケルトを巡り、ケルトの「おはなし」や音楽、ドルイドと呼ばれる自然信仰などを通して体験したことを生身の言葉で語った一冊です。
著者は、心理療法家として、親子、夫婦、職場の人間関係、ノイローゼの症状への解決の道を見出しながら、現代という時代をいかに生きるのかという根源的な問いと直面してきました。そして、その解決を求めてケルトの文化へと向かいました。著者の誠実な問いと大胆な着眼点を好ましく思います。
ケルトと日本の共通点として、「大陸の辺境に位置し、固有の文化が残っている」「言葉がなくても親しくなれる」「ハッピーでない終わり方をするおとぎばなしがある」「アニミズムが残っている」点を挙げていますが、その中でも、ケルトの結末がない「おはなし」や暗く悲しい「おはなし」が心に残りました。
そもそも納得できないことや悲しいこと苦しいことがあるのが人生なのかもしれません。納得できないことや悲しいこと、苦しいことと折り合いながら生きてゆくことを考える時、「小さい世界しか持たない人は、ひとつダメになるとすべてが崩壊してしまう。複雑なもの、多くのものを持っていれば、「これは失敗したけれど、こっちは大丈夫」となる。そういう人間の深み、多様性を創出してゆかないと、生きているのが苦しくなるばかりだ。」という著者の言葉が心に残ります。
科学偏重の時代を生きる私たちは、無意識の内に単層な心の中に自分を閉じ込めてしまっているのかもしれません。人間の深み、多様性の創出という観点から、ドルイドや魔女のような非科学的な存在にアプローチしてみることも一つの術なのでしょうか。科学的なものと非科学的なものと両方にバランス良く立脚して生きてゆく術を見出すことが必要となってきているのかもしれません。
イギリスやアイルランドのケルトを巡り、自然と人間の共生や口承文学などキリスト教以前の世界観からこれからの社会を生きるヒントを探る良書、お勧めの一冊です。
電子書籍ケルト巡り
2015/11/03 08:03
著者のファンのための本だと思います
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Rei - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者御本人も本文中に書かれていますが、ケルトについて解説する本ではありません。著者の世界観を、ケルトをモチーフに展開する、著者の内的な物語の本です。
アイルランドを旅するにあたって、予備知識を得ようと思って購入した私にとっては、満足いくものではありませんが、著者の支持者で、著者の物語を聞きたい人にとっては、また違った評価になると思います。
本文のほとんどが「ーと思う」「ーと感じた」など、著者の主観が表現されていることや、「自然科学」「科学技術」「欧米文化」に対するステレオタイプな理解が、私には読みにくく感じました。ほとんどの医者、科学者は、医学、科学、技術を知っているからこそ、それらの限界も良く分かっています。限界を理解したうえで、その中でできる貢献をしようとしているわけですが、そういうことは御理解いただけていないようです。また欧と米文化は同じではないし、欧州文化も千差万別ですが、そういうことも考慮されていません。私自身、欧州在住の医師、科学者として、「それはずいぶん無理解な言い方だな」と思う表現が多かったです。
著者の内的な世界観が好きな人が、著者の物語を楽しむための本ではないでしょうか。
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