がんばれ仏教! お寺ルネサンスの時代 みんなのレビュー
- 上田紀行(著)
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2004/09/14 04:02
一寺に一冊、どうでしょう住職?ならびにその候補の方。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
仏教関係者、特に、近い将来に僧侶になることが義務づけられているが、どのようにすれば良いかわからず不安になっている人や、僧侶になってはみたものの、ずっといろいろ悩み続けている人に対するエールで出来た本。いや、エールばかりでなく手厳しい記述もある、たとえば以下のごとく。
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「二一世紀の仏教には何が期待されているのでしょうか?」
「何も期待されていないでしょう。そもそも期待するに足るものだとも思われていないと思います」
「寺には何が求められているでしょうか?」
「何も求められてはいないでしょう。そもそも、私たちの求めに応じて動くという態度をこれまで寺は示してこなかったし、何かを求める対象のうちに寺は入っていなかった。また、何かを求めたところで、その能力があるのかどうかも疑問だと思っている人がほとんどではないでしょうか」(p.10)
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「ブッダが昔やってくれている」「祖師が考えてくれている」ということが、「だから、私はそのことを考えなくてもいいのだ」「私が行動を起こさなくてもいいのだ」という論理につながるのであれば、仏教なんかないほうがいい。(p.233)
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著者は『宗教クライシス』(岩波書店1995年)で「食わず嫌い」と「のめり込み」というキィワードを用いて「現代」と「宗教」との関係性などに鋭い問題意識と洞察を示した。そんな著者が仏教をとりまく現状を深く憂え、〈このままでは仏教は早晩死滅してしまうのではないか?〉との危惧を本気で表明している。その内容は実に当を得ているものが多いように思える。
著者は、仏教の再興(ルネサンス)に何が必要かを真剣に考え、その流れから、彼が今までの人生で多大な影響を受けた僧侶たちの「人となり」やその活動内容、彼が受けた具体的な影響を次々に紹介していく。そこには一人一人の僧侶と仏教への感謝があふれている。紹介されている僧侶のようにやれば一朝一夕に問題が解決するわけではないが、著者はそこに解決のための、あるヒントを見出していく。
苦言になるが、著者の仏教理解には少し問題がある。主張や提言、言葉の使い方にも全面的には頷けない。しかし彼の仏教理解が一部で「誤解」になってしまっているのは彼の責任ではないだろう。仏教関係者は今まで一体何をして来たのか、というか何をして来なかったのか。仏教を一般人によくわからなくしているのも誤解させているのも仏教関係者の責任であろう。それにも拘わらず仏教にあえて「がんばれ!」と言ってくれる、彼の願いに答える仏教であって欲しいと思うし、そんな仏教でありたいと思う。
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