愛国殺人 みんなのレビュー
- アガサ・クリスティー (著), 加島祥造 (訳)
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紙の本愛国殺人
2004/06/19 00:47
歯医者が殺されるお話って珍しいですよね?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yuseum - この投稿者のレビュー一覧を見る
私、只今歯医者に通っているから、というわけでもないのですが (^_^;、この作品は好きな作品の一つです。マザー・グースの調べに乗って起こる「童謡殺人」であるとか、興味深い点はいくつもありますが、一番好きなのはラストの緊迫感です。
話を少し脱線させると、この作品はLWT制作のデヴィット・スーシェ主演「名探偵ポワロ」(日本ではNHKなどで放映)でも映像化されています。話の大筋は原作通りなのですが、このTV版と原作とではラストの舞台設定が少し違うのです。
TV版のラスト・シーンは、例のごとくポワロが容疑者を一堂に集めて犯人を指摘するわけですが、原作のポワロは犯人と1対1で対峙します。その緊迫感が(TV版に比べて)心地いいのです。自らの殺人の正当性を主張する犯人に対してある一定の理解を示しつつも、ポワロが放つ言葉。「私のたずさわっているのは自分の命を他人から奪われない、という権利を持っている個々の人間に関することです」。クリスティー自身は死刑容認論者だったようですが、それはあくまでも法の名の下での話であり、ある人間が別の人間の命を奪うことは許されない、という強いメッセージが感じられます。
ポワロはこうも言っています。「あなた方の新しい世界に、どうか自由と憐れみが残りますように…私のねがうことはそれだけですよ」。折しも第二次世界大戦中に書かれた作品であることを考えると、米題であり邦題でもある「愛国殺人」という言葉も意味深な雰囲気を帯びてきます…。
そういうわけでミステリとしても第一級な作品ではありますが、この地球上で勃発している様々な出来事を顧みるきっかけにもなる作品だと書くのは、少々言い過ぎかな?
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