恋 みんなのレビュー
- 小池真理子 (著)
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紙の本恋
2002/02/06 01:33
純粋な恋。
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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
完璧なまでに美しい夫婦に思慕を寄せる娘の物語は、この作品以外の小池作品でも見ることが出来る。「恋」では、普通ならば奔放すぎると評されるべき雛子の行動が、清らかなものとして描かれ、逆に身体のつながりを必要としない純愛を、汚らわしいものとして書いている。その描写は極めて自然であり、説得力に満ちている。精神を排し肉体を賛美するという姿勢は、ロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」を髣髴とさせた。とはいえ、形而上学などといった学問を取り上げて云々言っているわけではないので、非常に読み易い。
私は、残念ながら浅間山荘事件の頃には、まだこの世に生を受けていなかったのだが、当時をよく知る人には、また違った感慨があるのだろう。時代の終焉と共に、一つの「恋」も終わりを告げた。
紙の本恋
2001/10/10 21:13
恋は下心。つまり隠された本心なのです。
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投稿者:takumi_y - この投稿者のレビュー一覧を見る
盲目的に相手のことを思うのが恋で、相手の幸福を願うのが愛だという説がありますが、人を憎むことも愛することも独善の成せる技だということを知らしめてくれる話でした。
主人公の布美子という女性はあくまでも自分の陶酔する世界の破壊者として、片瀬助教授の奥方である雛子さんが初めて恋心を覚えた男性(大久保)を憎悪し衝動的な殺人に至るのですが、その後の裁判の過程においては秘密にすると約束したことを完遂することによって片瀬助教授夫妻の体面を守ることを考えていたあたり、犠牲的な愛情の趣でもありますか。
時代の空気に呑まれ、否応なく対峙させられている現実とはまったく異質な世界に魅せられて、離れがたく全てを委ねてしまった世界を脅かすもへの憎悪の具現としての犯罪。自分を耽溺せしめた世界や価値の明確な否定。そしてその主張が正当であるがゆえに募る憎悪。とても身勝手な理論だけど所詮強迫観念なんてそんなものかも知れないし、本人には差し迫った問題でも他人にはさして重要ではないことなのでしょう。
愛は真心だが、恋は下心。だから愛の方が高尚なのだという説もありますが、下心というのは一番深層に隠された本心の異称であるらしいですね。とかく色恋に関しては当事者にしかわからない世界があるのでしょうが。ともかくもわたしはこんな恋はごめんこうむりたいですわ。
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