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元素変換 現代版〈錬金術〉のフロンティア みんなのレビュー

  • 著者:吉田 克己
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元素変換は追試で確認されている

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る

「セシウムがプラセオジウムに、ストロンチウムがモリブデンになるということなら、タングステンからプラチナがつくれるんじゃないですか?」「できてますよ。」

1989年ユタ大学で発表された常温核融合は世界中にセンセーションを起こし、結局追試による検証が出来ず全面的に否定されるに至った。発表したフライシュマン等は電気化学の専門家ではあったがユタ大学の広報策にのって「とにかく常温で核融合が起きた!」と反応してしまった。日本では有馬朗人博士ー原子核物理学者で東大総長、そして後の文部大臣ーが否定的な見解を示したため学会は概ね否定的だったが一部の研究グループは1990年代から科研費を得て研究を続けていた。その中の一人が三菱重工所属の岩村康弘氏だった。岩村らが2004年3月に凝集体核科学国際学会の第1回ジュリアーノ・プレパラータ・メダルの第1回の受賞を受けたことからもわかるように元素変換の世界では日本が研究をリードしている。

一般的な核融合反応は高温高圧でプラズマ状態にして反応を起こす。この本で紹介される元素変換は常温で電気分解を基本技術としておりそこは常温核融合と共通している。

1994年NEDOが事業母体となり「新水素エネルギー実証試験プロジェクト」が当初予算総額40億円で発足した。化学反応では説明できない過剰発熱があるなら使いたおそうと言うのが表の命題でさらに年間1億円が裏アジェンダである地道な基礎研究に振り分けられた。マスコミは常温核融合はなく、このプロジェクトは失敗したと報道したが研究者ははっきりした核変換現象や多くの反応による生成物を確認していた。STAP細胞とは違い理論的な解明は出来ていなくても現象は追試され確認されていたのだ。

岩村が利用したのは「重水素透過法」と言う方法で核変換の対象元素をスパッタ薄膜にし、そこに電気分解で発生した重水素を通過させ固体上で核変換を起こす。プラズマ状態の重水素同士をぶつけるより固体中を通過する原子の方が衝突確率が高いので温度を上げなくていいというのがアイデアだろう。加圧と真空やイオン透過を利用した電気化学的な方法で水素濃度を高めたことにより収率を高めることにも成功した。岩村はNaturen投稿するが拒否され、Japanese Journal of Applied Physics(JJAP)にようやく受理された。しかしこの時も日経サイエンスが半ページの記事にした程度で全く注目を受けていない。それほどまでに常温核融合へのアレルギーと有馬氏の否定発言の影響が強かった。

三菱重工が核変換に何を期待しているかと言うと原子炉メーカーらしく放射性廃棄物の無害化だ。とかく悪者になりがちな原子炉メーカーだが放射線廃棄物処理を独占できれば利益も大きいし会社のイメージと言う点でも申し分ない。残念ながら2002年以降重工も基礎研究経の資金を減らしてしまい、岩村も途中から研究から外されそれでも週一で異動先の高砂から横浜の研究所に通い続けた。安定元素のセシウムやストロンチウムはすでに核変換は実証されているがまだサイエンスレベルで廃棄物処理に使えるめどは全く立っていない。あわてて実用化を目指すより反応のメカニズムを解明することが優先される段階だ。それでも理論的には代表的な放射性廃棄物であるストロンチウム90を安定で有用なパラジウムに変換することは可能だ。現状では希釈して海に流すしかないトリチウムも電気分解で濃縮しもしこれが核変換に利用できれば効果は大きい。1兆円単位で増加する燃料費のことを思えばもう少し国家予算を付けてもいいんじゃない。100万年単位の放射線廃棄物処理を100年単位にできるかもしれないのだから。

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