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眉山 みんなのレビュー

  • さだまさし (著)
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みんなのレビュー4件

みんなの評価3.5

評価内訳

  • 星 5 (0件)
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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本眉山

2007/05/11 12:40

「献体」という愛情表現。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

「さだまさし」という名前を知らない日本人は、ほとんどいないと思う。だけどその大多数は、歌手・音楽家としての認識ではないでしょうか。他に類を見ない美しい歌声とメロディはあまりに素晴らしく、ユーモア溢れるお人柄も相まって、私も大のファンであったりします。そして当然小説家としても有名なさださんですが、もし「天はニ物を与えず」などという言葉を信じて彼の作品を手にしないなどという事があれば、それは非常に残念かつもったいない事。さださんが織り成す物語は、その声のように清らかで美しく、読み手の心に染みこんで来ます。とかく「深い深い愛情物」を欠かせたら、ピカ一!では無いかと感じます。「精霊流し」や「解夏」。正直私も斜に構えていたクチですが、読み終わって涙を禁じえませんでした。
さて本作「眉山」。舞台を徳島県に設定し、物語の真ん中にドンと阿波踊りを設定してあります。祭自体は物語の流れに直接関係しないものの、その美しさやエネルギーある描写は、物語に深い趣や幽玄ささえ与えています。このテイストはかの高橋治さんの作品群に近いかもしれません。氏の大ファンだ!と言う方もまず手にとって見てはいかがでしょうか。またちゃきちゃきの江戸っ子ながら、恋を貫くために徳島までやってきたという母親の「龍子」が、大変素晴らしいキャラクタに書き込まれています。江戸前の気風のよさと竹を割ったような性格。相手が誰だろうと、間違っていれば間違っていると通す。相手を思いやるからこそ、はっきりと物言いをする。ここらへんは、山本一力さんの時代物に通じるように感じました。幽玄さと気風のよさが見事に描かれ、それにさださん特有の清廉とした美しさで纏められた作品、という読感を得ました。
自分の死期を悟り、介護老人ホーム行きも死後の献体(医科大学等の実習用に遺体を提供する事)をも勝手に決めてしまった母。咲子はそんな母親の勝手を理解出来ず、思い悩むのだが。会った事の無い父親への、母の遠くも深い愛情を知った時、咲子は母の想い全てを理解するのだった。その想いとは・・・。
200ページ程の、短い作品です。でもだからこそ、一文字一文字大事に読んで欲しいと思います。読み込み方で、最後に受ける印象が、全く違ってしまう作品だと、思います。

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紙の本眉山

2007/04/22 09:57

それは生命のぞめきにも似ている。

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

来月公開される映画の原作。
さだ氏の小説は『解夏』で体験済みで、その深さに魅力を感じたので本書も迷わず手に取った。
これは母と娘の物語だ。
離れて暮らしている母が突然商売をたたみ、こともあろうにケアハウスに入所するという。まだそんな年齢ではないというのに…。
戸惑いながら母を見つめる娘の姿が描かれている。
そのうち、まるで読み手の私が目の前で母を見ている気持ちになった。
父親を知らない娘に問い詰められて、『だーい好きな人の子供を産んで、あなたは私の宝』ととてつもない大きな愛情を伝えた母。
周囲に迷惑をかけたり悲しませたりしたけれど、自分の行き方は決して間違っていないとしっかり自分の足で立っていた母。
多くの人々に慕われて、愛された母。
その母の命が消えようとしている。
随所に挟み込まれる阿波踊りの描写は、母の命の火を表しているようだった。阿波踊りを知らない私にもその高揚感が伝わって来た。現実を受け止めるのに必死な娘に対して、気丈な母は弱みさえ見せない。
自分で人生の幕引きをしようとしているのだ。
娘が敵わない母の心の大きさが描かれている。
タイトルの『眉山』は、マンションの部屋から見える山の名称だ。故郷の象徴であり、いつもそこにいて支えてくれるそれは、愛の象徴に思えてならなかった。
母の命を追いかけながら、やがて娘は母の生きてきた意味を知る事になる。
数々の伏線がぴんと張った糸となって母に辿り着いた。

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紙の本眉山

2007/05/06 21:48

命を受け止める重み

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 映画化されるということで、映画の紹介文を見ると、母と娘の絆、それぞれの恋、眉山、阿波踊り、見知らぬ父あたりがキーワードとなっているようですが、原作の最大のキーワードは「献体」ではないかと思います。
 末期癌である母の介護の為、故郷に戻った主人公の咲子は、母が「献体」を申し込んでいたと知ります。自分の死後、その体を医学の世界に役立ててもらいたいと。咲子はそれを受け入れることができません。母は何故、娘の反対を押し切ってまで献体にこだわるのか?
 私も献体しようかと考えることはありますが、やはり家族の理解を得られないと思い、申し込みにいたりません。その前に、頭も性格も良くない医大生が増えているという現実を知るにつれ、そんな人たちに切り刻まれるのもなあ……という気分になるのが本音ですが。
 例えば角膜の提供が生きている人の役にたつのに比べ、一般的な検体は解剖実習の為にあり、その身の一部が誰かの新しい命となって続いていくわけではありません。検体する人はどんな想いを持つのか、その想いを託された人は、どう受け止めるのか?
 母の担当医である若い医師が、ここで重要な役どころを担います。決して人格者ではない彼が、それでも変化し成長していく様が読みどころなのですが、彼は「献体」について知識も有り、しっかりした考え方も持っています。患者や看護師に対する俺様的態度に比べると驚くほどに。
 答を知った時、ゆったりと感動が広がってきます。どっしりとして大らかな山の姿が瞼に浮かぶようでした。私はエピローグが一番好きだったのですが、ボーっと読んでいたら、とても大切な情報を読み落とすところでした。最後の最後で明らかにされる事実。さだまさし、憎い演出です。

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