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あやかし探偵団事件ファイル みんなのレビュー

  • 藤ダリオ (作), Nino (イラスト)
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みんなのレビュー1件

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紙の本

少年探偵団モノの新しい定番になることを期待するシリーズの幕開けです

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:らせん - この投稿者のレビュー一覧を見る

子供時代友達と話していたこと。
「後から生まれてくる子の方が、覚えなくちゃならない歴史が多いから大変だよね」。
そう、この瞬間も世界では新たな歴史が作られており、後から生まれてくる世代ほど学習する歴史の中身が多いのは確かです。
そしてもうひとつ。
「後から生まれてくる子の方が、面白い本がたくさん読めていいよね」。
そう、この瞬間も世界では面白い本が続々と書かれており、後から生まれてくる世代ほど読める本の数が多いのは……半分本当で半分間違いです。
何故ならそこには“流行”という淘汰があるから。
オールタイムベストとして読み継がれる本は、この淘汰に残った一部の本に過ぎないのですから。

長い前置きですが本書『庚申塔の怪』は『あやかし探偵団事件ファイル』として刊行されている小学生向け推理ミステリーシリーズの第1作目で、現在既刊3巻が出ています。
主人公の元気が取り柄の健太は“庚申祭”の夜、自分の身体から抜け出た“三尸(さんし)”を捕まえる。
しかしそれは別の「だれか」もので、しかもその「だれか」は、きょう爆破と殺人を計画しているらしい。
何とかして謎の「だれか」を見つけ出し犯罪を止めるため、健太は文武両道の秀才だがキツい性格で、いつも一人でいる拓人の力を借りることににする―これが本書のプロローグです。
小学校の高学年くらいになると“探偵モノ”や“怪奇モノ”が流行る時期ってありますよね。
いつだって子供は興奮する謎や怪奇が大好物(だと思う)。
私も子供時代『少年探偵団』や『こちらマガーク少年探偵団』をワクワクして読んだし、『学校の怪談』には震え上がったものです。
でも荒唐無稽な話じゃダメで、そこにはそれなりのリアリティーがないと感情移入できませんでした。
子供向けの話だからって軽く見られたのでは、子供の心は決して捉えられないものです。
まず“探偵モノ”は、子供がいかに自然に事件に遭遇し解決まで導くかにかかっています。
現実の世界では子供ができることは限られていて、探偵団を結成して事件を解決するなんてあり得ない。
その点この本はよくできていると思いました。
周囲の大人の後押し(特に拓人のお父さんで民俗学の教授)と、子供達の知恵と努力が生む結果が、絶妙なバランスでリアリティーを生んでいます。
犯人の捜索方法(似顔絵を持って聞き込み)や、爆破予告現場への潜入方法(警備員に一芝居打つ)などは、意外と地道かつ頭を使った捜査ぶりで、これがなかなか本格ミステリーっぽい。
苦心した推理が壁にぶつかり、次の手がかりを求めて出直す姿には、インターネットで調べれば、答えがポンと出てくるお手軽な時代を生きる現実世界の子供達でも、自分の知恵と勇気でぶつかることの難しさと面白さを感じることと思います。
また物語のもうひとつのテーマである“怪奇”も、その由来や故事から丁寧に説明がされています。
本作に登場する“三尸(さんし)”とは人間の体の中にいる虫で、三尸は庚申祭の夜、人の体を抜けだして、神様にその人間の悪事を告げ口にいき、神様は三尸の報告を聞いて人間に罰を下すと言われ、“庚申祭”とは一晩眠らないで三尸が抜け出さないよう見張る、道教由来の風習であることがきちんと書かれています。
こうした児童書でありながら考証に手を抜いていない姿勢が物語に骨太な印象を与えると同時に、子供の興味をかきたてるのだと思います。
登場する少年達は、挿絵の影響もあって今時のコミック風でかなり個性的です。
元気印の主人公に、ツンデレの秀才くん、秀才くんの良くできた可愛い妹、実は一番の大物?のほほんくん、芸術家肌の不思議くんが探偵団のメンバーで、全員些か格好良過ぎな気もしますが(『ズッコケシリーズ』の3人と比べれば容姿だけでも段違い)、各々の個性が探偵団の捜査に役立つようになっており、また事件を通じてこれまで知らなかった互いの一面に気付くようになるのも設定が上手いと感じました。
全体に「面白い物語が書きたい」という書き手の意欲が強く反映されているという印象を受けました。
もし私が子供の頃この本と出会っていたら、間違いなく夢中になったであろうことは太鼓判を押したいと思います。
学校の図書室で貸し出しの順番をずっと待っている自分を思い出してしまいました。
果たしてこのシリーズが“流行”の淘汰に打ち勝ち、オールタイムベストとして読み継がれるような本であるか今は分かりません。
ですが私の心に、子供時代に大好物の面白い本を手にした時のワクワク感を思い出させてくれたし、今の子供達の心もきっとワクワクでいっぱいにさせてくれる物語に違いないと感じました。
願わくはこの先もシリーズが続いて、かつて子供だった大人が懐かしく振り返ることのできるような“探偵モノ”のオールタイムベストになって欲しいなと思います。
続巻の『逃げた奪衣婆』 『狐憑きの謎』も面白いので是非。

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