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紙の本はかない! 1
2011/02/25 03:10
ちょっと変わったラブコメ?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも言えない雰囲気が漂う作品である。一応ラブコメの範疇になるかと思うが、うだつの上がらないシナリオライターと謎の美少女という組合せ。突然現れ、唐突に同居が始まる感じ。世を常に儚む虚無的な主人公。何故かパンツを履いていないヒロイン。「儚い」と「履かない」でタイトルがダブルミーニングとなっている。その属性(設定)から、目前の事象を妄想気味に回顧するかのような主人公の独白が紙面を結構占めており、これにより官能描写を若干阻害しているところがある。急にタヌキを連れて来るかと思えばメイドに変身するヒロインの行動もやや不明瞭。ついでに言えば、本巻の前半と後半には隣の人妻への覗き的寝取られ感を醸す話が入り込む。総体として少しとっちらかった印象と言える。しかし、これらが全て相応にストーリーを支える要素を担っており、全く無駄ではないところに得も言われぬ不思議さを感じるのである。
実は最後(第8話)の最後にヒロインの存在理由となっている事柄への急展開を示唆する引きが見られることと、その直前に主人公とヒロインとの過去の経緯が描かれることで急に本作の世界観が繋がりを見せるため、見方によっては本巻そのものが全容を示すための前段階のようにも見えてくる。要するに、ストーリーとしての面白味は次巻でのお楽しみなのである。
やや湿り気を帯びた官能描写は悪くない。少しずつ距離を縮めていく2人の関係を盛り込みながら、やけに“汁だく”なヒロインの体質と、その「妹」属性に煽られた萌え要素込みな主人公の迫りが随所で描かれている。のほほんとした隣の人妻の爛れた生活にも過去の背景があって淫猥さを高めている。欲を言えば、この人妻と主人公の情交も見たいところだが、これはヒロインの健気さが壁の役目を果たしているため叶えられそうもない。ちょっと残念。
話としてはこれから感を残すものの、逆に今後の展開如何によっては随分面白いものになりそうな予感は漂わせている。
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