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ガス惑星と百合の相性が悪いわけないんだよな
2020/03/23 08:56
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MotoR - この投稿者のレビュー一覧を見る
わざわざこのレビューを見に来ている方の8割くらいはご存知だと思うんですが、この本は百合アンソロジー「アステリズムに花束を」に収載された短編が元となっています。それに基づいたレビューというか感想です。
まず短編との違いについて。端的に言ってしまうと、これは短編版とは別物です。ネタバレになりそうなので詳しくは書けませんが、ディテールとボリュームをこれでもかと加えられた結果です。私はこれを読んだあと短編版を読み返しまた戻ってきました。その点でこの本は短編版既読者にとって非常にお得であると言えるでしょう。おそらく値段の4倍くらいの価値はあると思います。
次にお話そのものの内容について。ただこれは詳しく語るに及びません。百合、ガス惑星、漁業、ムラ社会……商品説明にも書かれていることですが、これらのワードの組み合わせにピンときたら購入すべきでしょう。幸い本書は非常に安価です。
読め。
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大長編?のはじまり?
2024/01/27 05:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
百合SFアンソロジー掲載の百合バディハードSFの長編化。
短編を長編の一部として組み込むやり方じゃなくて、基本構成を踏襲しつつ、この世界の成り立ちに関する仰天アイデアで軸を通してハードSF的にも説得力をアップしつつ、男女の役割が固定化された社会の中で、そこからずれていく行動や心理をじっくり描きこんで社会派SFとしての説得力もアップ。すごい力技。
で、思った以上にスカッと楽しく読んでスカッと中身忘れてたんだけど(笑)、『2』読み始めたらあまりにも前回からのストレートな続きになってて(続編じゃなくて長編の1巻、2巻だよこれ)、話がつながらないので読み返し、『3』が出てさらにまた再読。
けっこう入り組んだこの世界の設定がなかなか頭に定着しない(笑)。
そうだったそうだった、そういう話でそういう展開でそう次に引いてるんだった。
最近、小説もマンガも続刊が出る時には既刊の内容が頭に残ってないことが多いのは老化現象なんだろうなあ…
(そうそう、長くなりそうなので紙の本は手放して電子書籍で買い直した)
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宇宙漁船百合。SFとしての設定とかは正直わからないけど、主人公2人の掛け合いの面白さで読ませる。「天冥」はもちろんすごいけど、こういう小品も面白い。とかいってたら続編があったりして。
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>──303年前に、汎銀河往来圏から惑星ファット・ビーチ・ボールへと移住した人々は、まだ生きていた。
>残存総人口は30万4900名である。
今からだいたい6500年後くらいの、銀河辺境のガスジャイアント(木星型惑星)軌道上で、漁をして暮らす社会が舞台のバディ物百合ハードSF。
生活するための資源を惑星大気を泳ぐ魚(のようなもの)を捕ることで補わなければいけないという社会設定で人がどのように暮らしているかという考察は、SF読んでる〜って感じでもう、楽しくて仕方ないです。
「礎柱船の燃料でありエンジンであり、電池であり電線であるほかに、翼と耐圧装甲になるという素敵な材料」全質量可換粘土で造られた船で、船の形を変幻自在に変えながら大気に潜って漁をする…楽しい…。
で、広がりの少ない宇宙船で300年も暮らして、はじめ50万人いたのが30万人になってたり、24あった氏族が16に減ってたりしてたら、男女の役割ががっちり決められて船は男女の夫婦で動かすもの、氏族によっては女は三歩下がって影踏まずみたいなことになっていると。
そういうところで、独創的すぎる創船で男にモテない巨女テラと、男側の役割である操縦士をやりたい超絶技巧パイロット家出娘ダイがバディになって、今まで誰もできなかったようなことをやってのけまくる爽快SFなわけです。
核心のお話的には、ダイがじりじりとテラを落とそうとするラブコメでございます。お互い探り探り距離を縮めていく感じ好きですよ。
デッキドレス
漁に臨む正装である「船用盛装」が、「白金色で軽快な三十五世紀シリウス宮廷妖精風テンプルガードル姿」とか「ヴィクトリアン型ロングドレス」とか「銀と黒のスキンスーツ型」で、これはイラストで見たい!!
クアングアンファン
超光速航法の「光貫環」が、「星と星との等重力ポテンシャルを結んだトンネル」で、これは導きの星の慣性系同調航法ですねえ。こういうのファン大喜び。
あー面白かった。
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遠い遠い未来を描いているSF。こういう設定を作るのが本当にうまい。
記憶も記録も失われていて、技法も技術も違うけど、やってることは現代の漁業と変わらないのが面白い。船のギミックも面白いし、アニメで観たいなぁ。
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いまから6500年ほどの未来、太陽系を脱出した人類は巨大なガス惑星FBBへ移住
軌道上に数百隻の宇宙船を浮かべ船でガス雲海を駆けて漁をする、疾走感のあるSF
初めは、デコンプ?ツイスタ?AMC粘土?慣れない用語にとまどいつつもSF魂をくすぐられ、世界観ルールになじんできた頃に百合の香りがほのめく
ただ作品の射程としてはもう少し先、社会システムや風習が押しつけてくる婚姻制度に対する異議申し立て、世の中がなにを言ってこようがありのままの自分を発揮し個人の幸せを追求すべきだと言っていると思う
小川一水作品の注釈多めな世界設定だけでもマニア好みな味わいがある
好きなシーンはダイオードがジーオンにタンカを切るところと、ラストの窮地でテラとダイオードが言いあうところ
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待望の新刊、だったけど、個人的な評価はイマイチ。
ユリアンの元ネタからどう膨らませたのかと思っていたら、まんまブローアップで拍子抜け。
おまけに、ボリュームアップした割りに、なんか雑な感じがする。
とりあえず、次回作に期待、かな…
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僕たちには
物語、しか
ない。
ひとことで云えば、気持ちの良いSF。
元々が百合アンソロジーの短編なので、それはもちろんそうで、
長編とするにあたって、それがそうであるから出てくる問題、というか社会的な部分に、触れるか触れないか。
それは見て見ぬふりをするかしないか、ということなのかも知れないけれど…
むしろそれ自体を推進剤としているようにさえ感じて、素直にぐっときました。
風穴を開けるドリルのコアチップというか。
物語の要石というか。
こういう書き方もある、なんて偉そうだけれど。
開けっぴろげで、
わざとらしくなくて。
そう。
ここには感じるべき物語しか、ない。
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小川一水のライトSF。ガス惑星を泳ぐ魚を捕る女漁師ペアのおはなし。
ゆるゆりじゃないよ、ガチゆりだぁ!
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アステリズムに花束を、で短編版を読了済みだとやや物足りないかも。お話としては好きです。
短編が短編としてコンパクトに収まっていた分、冗長な感じ?
続編あるといいなあ。
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凄く面白く読んだが、結末はあまり好みではなかった。
もう少し長くあって欲しかった、と思うのは、欲張りだろうか。きちんと許可を受けて、(たとえそれがストーリーを進行させる上で要請されるシーンでなくとも)漁をするシーンはもっと見たかったし、二人の結末が描き切られていたか、というとちょっと落ち着くには足りない感じがした。今後の展開は示してあるから想像はつくけど、一番盛り上がるところで終わってるような気がする。
ダイオードが過去の記録を漁っていたのは、合法的に結婚するためではないかと思いながら読んでいたのだが、結局「想いが通じ合っていれば」とか「世界なんて関係ない」みたいな、百合だとありがちな結論を出してしまっている気がして、そこが少し釈然としなかった。
が、百合SFとしてだめか、というと全くそうではない。台詞回しがちょっと軽すぎるかなーと思う箇所はあれど、キャラクター造型は魅力的だし、彼女らの織りなす関係性は素敵だ。慣習に縛られながらも溶け込めないテラと、少女らしい美しさを持ちながら、芯の強さと荒々しさを秘めたダイオード。彼女らが正体を探り探り、お互いを必要としながらも、どこまで距離を詰めて良いのか戸惑いつつ、少しずつ心を通わせて行きーーかと思えば、一気に行き着く思い切りのよさ。緩急の効いた良い進展のさせ方だったと思う。
また、設定の扱いが硬すぎず、雑すぎず、SFとしては非常に好みな塩梅だった。とりあえず固有名詞ぶん投げても、然るべきタイミングできちんと説明がある。お陰でくどくなり過ぎず、勢いが削がれることなく、徐々に世界設定の霧が払われて行く感じがあって、楽しく読めた。個人的な難点こそあれど、それでも本作は百合にもSFにも妥協なく、一粒で二度美味しい傑作であると、言えるだろう。
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ガス惑星ファット・ビーチ・ボールで、「昏魚」を獲る漁師SF。可塑性漁船「礎柱船」、氏族の因習、FBBの謎。ハイテンションパワープレイでぐいぐい読ませるし、アイデアやギミックが面白く、爽快なお話なんですが、その裏には生存のための模索と試行が積み重なっていて、それを思うとちょっとしんみり。百合SFアンソロでいちばん好みだったので、長編化は嬉しい。
「百合SF」と銘打つことで広く売れたら商業的にはOKなのかもしれないけど、そうやってラベリングする……というか、枠組みをデコンプしてゆく力と勢いを感じたりもしました。(※デコンプ言いたかっただけ)
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宇宙漁業百合ってなんなんだ!?と思って読んだら、本当に宇宙で百合が漁業していた。
でもね、確かにそうなんだけど、それだけではなく。厨二美少女とおっとりお姉さん。2人とも尊い可愛い。
いろんな難しさや偏見や面倒くささも丁寧に描かれていて、続編が本当に待ち遠しい。
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百合アンソロに収録されていた作品を膨らませたのかな?、と思いました。短編では同性婚も容認されていたような気がしたんですが、こちらの設定では随分と封建的な様子。ま、人的資源が貴重(であろう)な宇宙では同性愛は非生産的と後ろ指を指されても仕方ないという事なのかな〜
ダイオードの突っ張ってるティーンエイジャー感がすごくらしくてかわいい(笑)年齢以上に背伸びしたり、良いとこ見せようとしてから回ったりとか。仕方ないとか、いつもの事と思いながら不快ゲージを高めていた男性社会特有の女性蔑視を指摘したり。これを男性が書いてるんだから面白いなぁ。
この二人は外宇宙の先にも飛び出していきそうでいいなぁと思う。人の想像力に感知する粘土って考えもおもしろいし。世界観を同じにした作品とか読んでみたいな〜(その前にどこまで読んだか忘れて積んである天冥の標を読了しないとなんですが)
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お気に入りは「〜ライク」。笑
女の子っていいよね……私はきっとデコンパかな。
ロックさんのお話も読んでみたいところ。
ランナウェイしたーい!