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北欧の各国史
2022/03/12 19:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
北欧の5か国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド)の歴史について並列的に解説されている。同じ出来事でもそれぞれの国の立場ごとに別々に解説されているので理解が深まって読みやすい。
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我々日本人にとって北欧とは「福祉の国」意外にぱっと思いつくことはあるでしょうか。本書は高校世界史ではヴァイキングやカルマル同盟その他限られた範囲しか学習しない、日本人にとっては「遠い国」北欧史の概説をわかりやすく解説しています。独特の船を漕ぎ、南ヨーロッパやアメリカ大陸まで行き来したヴァイキングだけでなく、ヨーロッパ随一の英明君主との声も高いグスタフ=アドルフそして「名君の影に名臣あり」を地でいく名宰相オクセンシェルナ、ロシア・デンマークとの大北方戦争で轟く銃声を「これぞ我が音楽」と言って猛攻を加えた若き英雄カール12世、悲劇の国王クリスチャン7世など寒い北欧の熱き人々を様々な角度で紹介しています。もちろん人物史に終始せず、北欧各国のおかれた状況や時代背景にも十分にふれており、北欧史初学者にはもってこいの本だとおもいます。
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武田さんその2
スウェーデンとデンマークを中心とした北欧の歴史。フィンランド、ノルウェー、アイスランドもきちんと書かれています。
北欧通史をざっと知りたいならこの本が一番いいと思います。
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著者のフィンランドへの愛情は伝わるものの、行き過ぎれば贔屓の引き倒し。ここで描かれているフィンランドの歴史は著者による創作と考えて差し支えなく、フィンランドを悲劇の国と仕立て上げる事に全力が注がれている。フィンランドの基礎知識も相当に怪しく、誤記述を挙げだしたらきりがない。「フィンランド人はアジア系の民族」「東郷ビール」「日露戦争とフィンランドの独立の関係」・・・現在でも流通しているフィンランドの誤解はこの本から始まっているのではないか?著者は別の場所ではロシア皇帝アレクサンドル1世について書いた記述を「・・・このような理由でアレクサンドル1世は現在でもヘルシンキ大聖堂前に銅像が残されている。」と結んでいる(ヘルシンキ大聖堂前にあるのはアレクサンドル2世)。一番の問題は、この本が北欧(フィンランド)の歴史に興味を持った人が手に取る確率が高い(入手しやすさ、価格的に考えて)事である。何とか改訂などは出来ないものか。
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[ 内容 ]
本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧5カ国の通史である。
[ 目次 ]
序章 バイキングの遠征―北欧古代の冒険家たち
第1章 キリスト教と反乱の時代
第2章 剣の時代
第3章 ロココの時代
第4章 動乱の時代
第5章 独立の時代
第6章 戦間期の時代
第7章 大戦の時代
終章 曲り角の時代―冷戦終結後の北欧
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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▼「北欧三国」と聞いて、ノルウェー、スウェーデン……フィンランド?デンマーク?と、なってしまう人も少なくないのではないか。
▼そんな人にも朗報。本書ではその4カ国が全て網羅されている。ヴァイキングの時代から歴史が紐解かれている。
▼スウェーデンの中立(平時では厳密には「非同盟」政策)や、北欧諸国が採った「第三の道」。副題にもある「モデル国家」形成の歩みがここに記されている。
▼一方で、彼らの「平和な(福祉)先進国」のイメージとは裏腹に、動乱の世を生き抜いてきたことに意表を突かれることだろう。まさに「歴史とは動く地図」なのだと思わされる。
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バイキング、各地域への民族移動、北欧神話、大国の狭間で揺れ動く中立主義、そして福祉国家のモデルケースと様々な歴史の場面で登場してくる北欧地域の諸国の歴史を読み物としてまとめています。所々で歴史の表舞台に登場するものの、時系列的に"線"として扱われることが意外と少なく、かといって国別にまとめるのは難しいだけに、本書の企画は非常に貴重でアプローチも成功していると思います。
北欧地域史の入門書としてオススメです。
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この本の内容と関係のない話だが、20世紀後半以降の現代音楽を漁っていくと、デンマークやノルウェー、スウェーデンといった国の現代音楽作品というのは、まだあまり知られていないがなかなかに面白く、聴き応えのある作品が多く、隠れた豊穣という観がある。
シュトックハウゼン(ドイツ)、ベリオ(イタリア)、ブーレーズ(フランス)といった、ヨーロッパの20世紀の前衛音楽の「中核」に比べると、北欧の作曲家の作品は概して、さほど前衛前衛という感じでもなく、ほどほどに「普通」というか、理屈抜きに楽しめる音楽性の豊かさがあって、これを発掘していくのが、最近病みつきになってきた。
一方で、フィンランドの現代音楽は不思議なことに、足並みをそろえて前衛的サウンドから調性音楽の回帰に向かったフシがある。
こうした事情の背景は何か?
というのが、この本を手に取った理由である。
しかしこの本は11世紀ぐらい(バイキングの時代)からデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの各国史を、本当に「概略」として簡単に、おおざっぱに述べているだけだ。私もそんなものだろうと予期していたから、ざっと読んだにすぎない。
まあ、漠然としたイメージとして、北欧の歴史の「おおよその感じ」は掴めたかもしれない。
これらの国はずいぶんと互いに戦争しあっており、陣地取りの応酬をしている。デンマークあたりはドイツと陸上で隣りあっているので、ドイツとの関係ももっと深そうなものだが、この本にはあまり書かれていなかった。
フィンランドはロシアに占領され悲劇的な歴史を持ったが、ずいぶんと愛国心の強い(つまり、国家アイデンティティの共同幻想が強い)国民なようで、その抵抗の歴史は感動的だ。この「国家アイデンティティ」幻想と、先に書いた現代音楽における「調性への回帰」とは、関係あるような気がする。
それにしても、北欧諸国からはかなりの数の文化的有名人が出てきているにもかかわらず、私たちはこれらの国を「周縁的な国々」とみなしている。むしろヨーロッパにおけるドイツ・フランス・イタリア・イギリス・スペインあたりの「歴史」の支配的権力性を重視しすぎているかもしれない。
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北欧の歴史概略。基礎知識用。
歴史知識ゼロの私には北欧といえば福祉社会保障おしゃれ家具なんかの豊かなイメージしかなかったんだけど、ヨーロッパの中心からみると東欧と同じように不可解な異物だったのか。
デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランドで北欧らしいけれど、この本で扱われるのは主にデンマーク・スウェーデン・フィンランドと一応ノルウェー。
デンマークvsスウェーデンがノルウェーとフィンランド(とアイスランドとグリーンランド)を取ったり取られたりという歴史を考えるとデンマーク・スウェーデンがメインになるのは仕方ないとして、力の入れ方に偏りがあるのはいかがなものか。
フィンランド支配のスウェーデンと重要なデンマークはともかくノルウェー・アイスランドはわりとおざなり。
配分にも書き方にも、フィンランド好き好き☆ソ連きらーい!という著者の好み(思想というには弱いがそれに近いもの)がナチュラルににじみ出ている。
歴史をゆがめるほどではないにしてもフィンランドだけ「雄雄しい」「魅力的な」「国王陛下」「囚われの」など感情入りまくりな書き方なのはどうかと思う。
でも1993年出版ならある程度見方が偏るのは仕方ないのかな。
これ一冊では足りないけれどざっと流れを予習するにはいい。
副題の「モデル国家」が何のモデルを示すのかよくわからなかった。
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高校の世界史の知識がある人が、ダイジェストとしての北欧史の知識を加えるには良いかもしれません。地図を増やしたり、国別に王や首相(大統領)を纏めたものがあればもっと良くなるかも。コラムを付けて楽しませる工夫をしていた所は入門書としては◯。
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北欧といえば、東山魁夷の絵のような森と湖やフィヨルドや白夜、北欧デザインの家具や食器、高福祉社会、ムーミンであり、そのイメージは「寡黙で真面目で穏やか」だったのですが、この本を読んで歴史としては「穏やか」どころではないことを知りました。つい最近まで三国志状態だったという感じです。
デンマークとスウェーデンを中軸にした数多の王朝の盛衰、隣国ロシアやドイツとの度重なる交戦、民族独立運動によるフィンランドとノルウェーの独立、二度の世界大戦と中立外交と、自国も含めた周辺状況が目まぐるしく変わっていく通史でした。
以下、興味深かったエピソード。
- スウェーデン王家の跡継ぎに、スウェーデンの国民議会がフランス人のベルナドッテを据えた。当時のナポレオン麾下の名将でカール14世ヨハンに改名する。ベルナドッデ王朝の開祖。そのカールヨハンがフランス軍との戦争でナポレオンを敗走させる。当時同君連合だったノルウェー王でもあり、現ノルウェー王宮に銅像がある。
- フィンランドの分離独立運動を日本の工作員が支援していた。当時、日露戦争が起こっておりロシア国内の革命派を鼓舞するために工作員が送られていた。
- 第二次世界大戦を通してスウェーデンは中立を通した。中立を守るために最後の一兵まで戦う決意表明を首相が行い、兄弟国ノルウェーを見殺しにし、ナチスドイツからのさまざまな要求に対して忍耐に忍耐を重ねながらギリギリの弾力的な政策を行い、3年かけて軍事力を整えてドイツに陰りが見えたところで譲歩政策を少しずつ転換し、今度は連合国の要求に応じていった。それは交戦国に対する公平さを意味する中立ではなく生存のための戦いだった。
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北欧5か国の歴史を追うと、力関係とか盛衰がわかって面白い。
(メインの関心である)フィンランドの話はなかなかでてこないが、それもそのはず(しばらくの間北欧の歴史はすなわちデンマークなりスウェーデンなりが主役であるのだから)。
しかしスウェーデンやロシアとの関係であるとか、ロシアとの戦争を経て(そして日露戦争を踏まえて…)100年前の独立に至ったなど、よくわかった。
バイキング以降の通史をつかむにはよくまとめられていてよかろうが、全体的に、初学者にとってはやや詳しすぎるかもなぁ・・・
(といっても自分はもともと世界史が苦手だったのを思い出すのだが。。そういう意味では、時々でてくるコラムには救われたかも)
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古い本ですが、ロシアやドイツ・イギリス・フランスなどの大国の干渉をいかにかいくぐって自分たちの国家を作って行くのか?涙ぐましい民族の営みを実感できる著作。北欧とはデンマーク、スウェーデン、ノールウェー、フィンランド、アイスランドの5ヶ国のことです。
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(「BOOK」データベースより)
本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧5カ国の通史である。
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まさに歴史は物語である。知識としての歴史は、その詳細な年代や出来事、関連する人間の名前を詳細に覚えておかなければならず、だからこそ受験科目などはどうしても暗記科目になりがちである。しかし、歴史を物語捉えると、シンプルに面白い。話の流れさえつかめば、知識は自ずと付いてくる。そういう意味で、ほとんど知らなかった北欧の歴史について大きな流れを新書レベルの量で伝えてくれる本書は非常にありがたい。出版が1993年であり、マーストリヒト条約直後なのでEU加盟後については詳しく書かれていないが、そこまでの歴史を知るには十分だと思う。
北欧とは、スカンジナビア、やノルディック・カントリーという言い方によって異なるが、一般にはノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フィンランド・アイスランドの5カ国を指す。その中でも特に中心となるのが、スウェーデンとデンマークだろう。この2国が北欧の物語の中心であった。といっても古典の時代、北欧ではバイキングの時代には、そういった国の分け方の概念はなかった。しかし、徐々に国が形成されていく、おもに覇権を逃げる王国はスウェーデンとデンマーク、ノルウェーはいずれかの属国扱いの時期が長かった。フィンランドもスウェーデンの権力下にあることが長かったが、ロシアの圧力にもさらされていた。
北欧各国自身が、ロシア・ドイツ・フランス・イギリスといった強国の間に置かれ、そのパワーバランスに振り回さえれながらなんとか自立を保ってきたことがわかる。特にノルウェーがEUに加盟していないのは、そういった支配関係からの解放という背景がある。そういった地政学的な面から見て、強国に飲み込まれないためにどうするか、という点は日本にも参考になる点もあるのかもしれない。
同僚などと話していても、時々歴史的背景を知っていることが前提の話になることがあるので、これで少し理解することができそうだ。