紙の本
親のためのノウハウ本ではない
2022/10/18 14:09
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
算数の文章題に限らず、普段の言動は立派なのに、テストになると結果が出ない子がいる。一方で、あまり賢そうではないのに、問題を解くのがうまい子もいる。
この手の本が売れているということは、「なんでわが子はできないのか」と悩んでいる親が多い証なのだろう。
本書は教育の専門家(研究者)が児童の誤答から、学習のつまずきの原因を考察する内容で、親向けというよりは研究書に近い。
児童が苦手としがちな文章題を克服するために、思考力や言語力をどう育むかも記されているが、それは一朝一夕にできるものではなく、今子どもの学習で悩んでいる親はかえって不安になるかもしれない。
紙の本
主に研究者向けといった感じ
2022/09/12 22:44
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
統計の重回帰分析、久しぶりに見たので意味がすっかり抜け落ちていました。
算数のつまずきに特化しているものの、筑波大附属小の先生方が大切にしてきた算数教育と文科省の言う主体的に学習に取り組む態度と指導と評価の一体化が道筋として正しいことを証明する内容だなと思いながら読了しました。
この辺りは、授業によって伸ばしていけるのか、無理な壁があるのか、気になるところです。
電子書籍
講義みたい
2022/10/21 00:53
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか、大学の教育施設における講義みたいに受けとりました。作者は、そんな気では、無いのかもですが。(すみません)本を読むことは、子ども自らが興味を持つように環境を整えることだと……これは、納得しました
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たんなる表面的な学力ではなく、学びの前提となる言葉の理解力や数や図形の知識・推論の能力を客観的に測る「たつじんテスト」を開発した経緯からテストの設計、それを使った調査の分析を通じて、こどものつまずきの原因をさぐる試み。
テストの誤答分析からどんな力が足りていないのか知り、指導や支援に活かすという取り組みは大事だとずっと思っていたので、こういう研究がすでにここまで進んでいたと知ってうれしい。出題内容、実際の正答率や誤答例、興味深いデータが盛りだくさんでありがたい。
結論として「ことばや数字を直接教えるより、子どもが言葉や数に自ら自然に興味を持つように環境を整えることが、就学後の学力を高めることにつながる」としているのは、想定の範囲内というか、経験的にも納得のできるまとめだと思う。
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学力を「生きた知識」と定義し、自作問題の解答から子供たちのつまづきポイントを整理している。学者の本のため非常に論理的。つまづきとして一番印象的だったのが、「相対的な視点の欠如」。分数における1の扱いが代表的で、相対の感覚が直感的に分からなければ絶対つまづく。どうつまづいてるかが分かることで、教えてあげられることが変わってくるのでまた10年後読もう。
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筆頭著者の認知科学に関する新書を読んで、面白いと思っていたことから、こちらも読みました。子に期待する親としては、いわゆるハウツー本ではないように思いましたので(付録1の内容がそれに近いかもですが)、すぐに解けるように導きたいという願いは叶わないと思います。
とはいえ、誤答なついてのいろいろな解説に対して、なるほど、そこが壁ですか、、という気付きと過去の子供らとのやりとりからの納得感はありました。勉強になりました。
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小学生を対象に学力とは何かを科学的に統計的に調べている。
「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」というテストで調査して学力テストとも比較しながら問題点を示していて、なるほどと思い興味深かった。
最後にほんものの学力を育む家庭環境に、本を読むことと子ども自らが興味を持つように環境を整えることとあって、深く納得した。
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これは買って良かった。日頃から思っていることの整理・言語化ができたように思う。「9歳の壁」具体から抽象へ。何とか乗り越える方法を見つけ出したい。以前から、間違い方をしっかり見たいと思ってきた。しかし、これには本当に時間がかかる。たとえば計算プリントで5つの問題を10人くらいの子どもたちに課したとしよう。1題で10ステップくらい必要な複雑な問題だと、1時間では到底全員の間違いの原因を見つけ出すことができない。本人たちにそれをさせると、もともとできる子にはできるが、できない子は全部消して最初からやり直そうとする。だから間違いを見つけて報告するようになどということになる。まあ、とにかく時間がかかる。本書にもあるように、子どもたちは認知的な負荷が大きくなると、どこかのステップで間違うことになる。負荷の少ないものから順を追って練習させてあげたい。それにはやはり個別の対応をするしかないのだろうか。負荷に耐えることができる子どもたちも少なからずいるので一緒にやっていくには無理がある。私たちにできることは、なるべくその負荷を軽減できるような方法を指導していくことしかない。イメージをつかみやすいように状況が分かる図を描くとか、一段一段に分けて考えるとか、重要な関係を表にして表すとか。しかし、図に描き表すことができるという段階で、すでにその子はできる子なので、つまずいているこの助けになる術を見つけ出すのは難しい。全体に簡単に言える対策などというものは見つからないのだろう。一人一人違うのだから。でも同じような間違いをすることも多い。それらを見てきた経験をもとに、もっとゆっくり一人一人と向き合っていきたい。それから、最後に家庭環境の話が出ているが、我が家のことを言うと、読み聞かせをしていようと、家庭に本がたくさんあろうと、それが子どもに影響したとはほとんど考えられない。良かれと思っていろいろしてきたけれど、子育てというのはなかなか思うようにいかないものだ。
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文章題を間違える子どもの間違い方を分析して、子どもの発達を解き明かしていく本。子どもの間違い方にも論理性があっておもしろい。今井むつみ先生の他の著作も読みたくなる。
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なんでみんな文章題が解けないのか…?いや、解かないんだ…!と気づいた今日このごろ。
解かない理由は5年生までにあらわれる「学習性無気力」。どうアプローチしたらいいんでしょうか、続編に期待。
さらに、幸い解いてくれても正解できないのは、実行機能、作業記憶、メタ認知能力などなどの欠如とのこと。
…どうしたらいいんでしょうか。読書量に関連するらしい、認知負荷を下げる方法を教えるといいらしいが…
さらなる情報が欲しいです、続編に期待。
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ゆる言語学ラジオから今井むつみ先生の魅力に触れ、書作初挑戦。
最近の子供たちは読解力が不足している、学力低下の危機と巷で騒がれ始め久しいが、認知心理学という学問の観点からのアプローチの軌跡を読み知れる。決して〇〇のせい!とは断定せず、複合的な要因があるのだと真摯な姿勢で説いているのが非常にアカデミックで好感が持てる。
言語能力が学力に深い関わりを持つという一般的な評判に対する金言
個別でことばを多く知っているのではなく、学力とは組み合わせによる推論力が重要
P164
しかし、そこで想定されている「言語能力」は、ほとんどが語彙のサイズ(どれだけ多くのことばを知っているか・・・)であった。しかし、・・・「語彙の深さと広さ」よりも、「空間・時間のことばの運用」のほうが頑健に「学力」を説明することを示したのである。
「1」に関する多義性への言及。これは曖昧に何となく使用しているけど、一義的なスキーマを持っていると抽象的な算数の理解の足かせになってしまうのか。
P116
「1」には、モノを数えるときに、1個ある、という意味で「イチ」を使う場合と、任意のモノの量を「1」として、それを分割したり、比較の基準にしたりするという意味の「イチ」がある。
自分も数学文章題に対して、部分点だけでもいいやという投げやりな態度で取り組んでいき、だんだん嫌になって諦めた口がある。どこに躓いているのか、自分のスキーマの更新や折り合いを避けていたのだなと痛感。
P183
抽象的な算数の概念と自分のスキーマがぶつかって混乱するからつまづくのである。
P184
算数が分からない、問題が解けない経験だけが積み重なってしまい、しまいには自分はいくら勉強してもしても算数文章題は解けないという学習性無力感に陥ってしまう
では、どのように謝ったスキーマを正していくよう指導するのか、家庭学習の大切さは次回に繰り越されている。次回作が待ち遠しい。
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とても丁寧に子供達の"学力"について調査がされていて読み応えのある一冊でした。
文章題が解けなかったりするのは本人の努力不足ではなく数に対する認知、考え方が誤っていることがあるという事を調査から見つけ出されていて、納得感がありました。
今後指導をしていく上で生徒たち本人が文意を理解できているか、そもそも数の概念の理解は大丈夫かなど、多様な視点を持って指導することに繋がりそうだと感じた一冊です。
少しの文章ではとても書ききれないので気になった方はぜひ購入することをお勧めします。
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先日読んだ広瀬有紀さんの『ことばと算数』で取り上げられていたこともあり、こちらも読んでみることにした。
子どもが誤ったスキーマを身につけてしまうこと、それを修正するメタ認知が働かないことなどが印象に残っている。
ではどうするのか、についてはあまり具体的なことが書かれていなかったので、そういったことが分かればと思い、少し専門的ではあるけれど、この本も読んでみることにした。
(思いがけない自分の向学心?に自分で驚くよ。)
小学生のつまずきの原因をさぐるために、アセスメントとなるテストを開発し、その結果を分析したもの。
だから、本書でいう学力は、受験でいい学校へ受かるための学力とは少し違う。
この本での「学力」とは以下のようなものだ。
新たな情報を認知能力と推論能力を駆使して自分が既に持っている知識の体系に組み込み、統合し、拡張すること(p168)。
ただ知っていても使いこなせない知識は、学力ではないという立場だ。
そして、学習のつまずきとして6つの要因が挙がっていた。
1)知識が断片的でシステムの一部になっていない
例:足し算の手続きは知っているけれど、どういう時に使うべきかや、引き算との関係が理解されていない。
2)誤ったスキーマを持っている
例:数はものを数えるためのものという考え→分数や少数の概念の邪魔をする
3)推論が処理能力とかみ合っていない
例:複雑な手続きがいる作業だと、認知的負荷の高さに負けて推論が利かなくなる
4)相対的にものごとを見ることができない
例:100mを紙の上の10cmに置き換えて図示することができない
5)行間を埋められない
例:「30パーセント増量」という問題文の表現から、書かれていないもとの分量の「100パーセント+30パーセント」を掛けないといけないという推論ができない
6)メタ認知が働かず、答えのモニタリングができない
例:「14人の行列で自分の前に7人いる」という問題に対し、「14×7」と立式し「98人」という行列よりはるかに多い人数が出てきても気が付かない
7)問題を読んで解くことへの認識の問題
例:何のために算数を学ぶのかがわからず、文章に出てくる数字を適当に組み合わせて計算すればよいという考えを形成してしまう
これ、小学生だけの問題ではないのでは?
自分の周囲に中高校生、大学生を教えている人たちがいるけれど、これと似たようなことが起きているという。
これらの原因が取り除かれていないのか?
それともある課題については乗り越えても、上級の学校での学習課題の中でまた同じようなことを繰り返している、ということか?
さて、これら7つの原因を一つ一つつぶしていけるのかというと、そう単純ではないようだ。
それぞれの力が相関しているからだ。
例えば空間認知能力だけを取り出してトレーニングしても、算数の学力が高まるわけでもないという。
そこで著者たちが提唱するのは、つぎのようなこと。
上記七つの原因を複数組み合わせて学習課題を作り、認知処理���負荷をコントロールしながら取り組ませていく、ということだ。
その学習課題とはどういうものになるのだろう?という問題はあるけれど、問題解決への道筋が示されたことはすばらしいと思う。
また、簡単な問題から複雑な問題へ、という「教育的配慮」が誤ったスキーマを固定化させてしまう可能性があるという指摘は考えさせられる。
単純なものから難しいものへ、というのは、私たちが受けてきた教育のやり方だったわけだが、それに問題が潜んでいるということだからだ。
割り算なら、まず割り切れる数の計算で慣れさせて…という配慮が、「分数は整数で答えが出る」という誤ったスキーマを持たせてしまい、のちに割り切れない演算に進むとパニックを起こす…など。
なるほど、と思う。
が、スキーマの誤り方は人それぞれで、事前に対応などできないこともわかる。
だとすれば、個人が試行錯誤をして進む余裕が必要なんだろうが…それが集団教育じゃ多分難しいんだよね。
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文章問題が解けない子どもを研究した本
▪️本を読め
▪️イメージしろ
▪️スキーマを広げろ
▪️語彙力を高めよ
▪️意欲こそ最大の武器
結構当たり前のことばかり。