幽 花腐し
著者 松浦寿輝
中華街のバーで、二十年以上前に遇った女の幻影に翻弄される男の一夜を描く、事実上の初小説「シャンチーの宵」、芥川賞候補作「幽」、同受賞作「花腐し」ほか全6篇。知的かつ幻想的...
幽 花腐し
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商品説明
中華街のバーで、二十年以上前に遇った女の幻影に翻弄される男の一夜を描く、事実上の初小説「シャンチーの宵」、芥川賞候補作「幽」、同受賞作「花腐し」ほか全6篇。知的かつ幻想的で、悲哀と官能を湛えた初期秀作群。社会から外れた男が生きる過去と現在を、類稀な魅力を放つ文体で生々しく再現し、小説の醍醐味が横溢する作品集。
目次
- 無縁
- ふるえる水滴の奏でるカデンツァ
- シャンチーの宵
- 幽 かすか
- ひたひたと
- 花腐し
- 著者から読者へ
- 解説 三浦雅士
- 年譜
- 著書目録
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間取りと文章の幸福な出逢い
2017/06/24 10:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ree - この投稿者のレビュー一覧を見る
『幽』に間取りがいつも変わってしまう家がある。しかし、そこに棲まう主人公は驚かないし躊躇わない。慣れたという訳でもなさげで、するするするっ、と受け入れてしまっている。
小説の醍醐味は省略にある、とよく言われる。が、文章は油彩画の、あつく塗り重ねたような文体で、省略されたそれとはちがう趣だ。が、このあいまいな、主人公/間取り、が『幽』に不思議な余白や空隙を作り出している。そしてこれは松浦寿輝の文体のおかげでもある。
松浦寿輝の文章でなければ、この家の間取りは空中分解していたであろうし、そしてあの空間がなければ松浦寿輝の鮮烈で色彩的な文体は色褪せたものになっていただろう。
この幸福な、間取りと文章のめぐり合わせは読むべきものがある。