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無自覚の加害
私は、気にしすぎなのだと自覚をしつつも誰かの些細な言葉で傷つくことが多いが故、自分が突発的にした発言を振り返って「今の言葉だと相手を傷つけてしまったかもしれない…」と反省することが多々ある。
そんな悩みを日頃から抱えているからこそ、
改めて"無自覚の加害"については、誰しもが考えるべき大きな課題だと思わされた。
一度心に残った傷は、簡単に消えることは無い。
してしまった本人は忘れられることが出来ても、された側は、ふと思い出して苦しくなる瞬間が1秒でもある限りその痛みをずっと抱え続ける。
文中でも言っていたが本当にその通りだと、自分の経験と重ねて苦しくなった。
誰も傷つけずに生きていくことってきっと難しいけど、優しい人でありたい。出来る限りでいいから。
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結婚に起因する不安や嫌悪感、。自分自身は持たなかったが、持つ人がいてもおかしくないと思う。小説にはいいテーマ(いろんな展開がつくれるという意味で)、読みたい
#ブルーマリッジ
#カツセ・マサヒコ
24/6/27出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3xyriYc
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なぜ題名が『マリッジブルー』ではないのだろうと思っていた。
”夫婦だからこうあるべき”というテーマを2組の男女の間でこれでもかという程にリアルで交互に織りなす男性視点のストーリー展開もこの作者の作品の中では新鮮だった。
「自分は正しい」と思っていたことが相手には加害だと感じたり、いつの間にか自分がしていた加害を忘れて偽善者のように見られたり。
結局は夫婦でもどこまでも他人なのだと終盤にかけて温かい気持ちになりながらもそう感じた。
やっぱりこれは『ブルーマリッジ』だ。
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マリッジブルーではなく、ブルーマリッジ。タイトルにはどんな意味があるのか?
結婚と離婚の対比で物語が交差していく。理想に縛られ、大事な人を知らずに傷つけていく。気づいた頃には幻想となる。過去は変えられないけれど、何度でもやり直せる。世の中において、結婚と離婚は周りに流されずもっと自由でいいのではないかと思った。
カバーは半透明のトレペとなっており、ベールをはがすと現実が見える仕様になっているらしい。
最近よくある本の内容に近いようで、新しい視点の感触も得た。複雑さはなく、発売日に購入し一気に読めた。
ブルーマリッジは、マリッジブルーの逆であるが、結婚・離婚、過去・未来など、双方向の視点で生きるのが人生かなと、個人的に読みとった。
作者の今後の新刊も期待したくなる。
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気軽な気持ちで読んだが、テーマがはっきりとしていて、重量感のある内容だった。
「加害」についての話。
ここまで男性の加害を鋭く描いているのが男性の作者ってことに驚き。
自分のした「加害」を自覚し、抱えていくことは、難しく辛いもの。
そこに男女の差はないことも書かれている。
難しく辛いけれど、自覚して、抱えて、未来を変えることが最も大切で、一人一人が向き合わなせればいけないもの。
それに向き合えていない人も多いのが現実だけれど。
1度読んだだけでは消化しきれない。
少し期間を空けてまた読み返そうと思います。
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ちょっぴり大人な恋愛小説を読みたくて、手に取りました。実際読んでみると、恋愛というよりも無自覚な加害性について考えさせられる描写がとても多いと感じました。本来の個人的な目的とは少し違ったテーマだったけど、沢山考えさせられました。きっと無自覚な加害は誰にでも起こりうることで、だからこそ他人と関わってお互い気付かされて償いながらも成長していくのだろうなと思いました。マリッジブルーとブルーマリッジがなぜ反対になっているのか、読み終わってからよく考えさせられ、これから結婚する夫婦と、離婚した夫婦の二つのエピソードが同時に織り込まれていることと関係しているのだろうなと感じました。とても面白かったです。
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2024/06/30リクエスト 3
マリッジブルーではなくブルーマリッジ。
年上の彼女にプロポーズした26歳の雨宮守と、妻に離婚を要求され娘にも見限られた中年・土方剛。
超ハラスメント男の土方、ハラスメントの自覚がないばかりか自分が被害者だと言い張る、話し方も何もかもイヤな男に描かれてる。
対して今時の若者、雨宮は人事部にいる有望な若手という役どころで登場するが、途中で無自覚な加害者であることを婚約者の翠に指摘され、初めて気づく。
読んでいて、苦しく辛かった。
翠のように過去の嫌だったことをハッキリ伝えることも、私だったらできるか自信がない。
辻部長も過去の辛かったことを忘れないでいく、それが正しいと信念に生きるタイプの人間。
時代によっても価値観は変わる。
変わったことを受け入れる柔軟さが必要なんだろう。
『互いの大事な時にそばにいるため
押し付けられた責任から抜け出すため
周りを黙らせるため』
守は結婚しようと思う。
そういう考え方もあると思うけど、私はそうは思わなかった。
それなりに人生経験を積んでも、尚、正解はわからない。
読んでよかった。
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パワハラ
結婚と離婚
加害と被害
男性が加害側に書かれていましたが、
男女の区別なく、また年齢や立場により
加害者にも被害者にもなり得るのだろうな、と。
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全て失っても気づかない者と全て失う前に気づく者(気付かされた者)の対比がよかった。全て失うとは、福祉や社会、身近な人から独立してしまうこと。そうなると人は闇に飲まれてしまう。だからこそ、嫌なことって分かっていても言ってくれる人がどれほど大切か。
そして、人は無意識に人を傷つけている。だからこれからは傷つけないように優しくしよう...ではなく、その事実を認めて自分はどうするのかを問う作品でもあった。
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結婚についての小説をほぼ読んだことがなかったので、とても新鮮に読めた。が、なぜかずっと苦しかった。今の自分が絶対に読まないといけない小説だと感じそれは的中していた。今の自分の考えが甘いことに気付かされる。甘いことは悪いことではないが脆い。こんなに読了後の感想がまとまらず難しいと思った経験はなかなかない。こういうジャンル読んでいって、苦しさの言語化していかないと。
それにしても土方が酔っ払って漏らすシーンの臨場感半端なかった...。庭園のゲロのシーンなんて吐く描写の表現の仕方が引き込まれすぎちゃう。
・義務感ではなく、探究心とか好奇心を持って生きると、何だが生活自体が楽しく思えてくる。
・三条、助けてほしい
・じゃあ、加害者だよ。超キモイ加害者。
・表層的なものだけ掬い取って、大切なことは何ひとつわからないまま、動いている気がする
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人の表情は時として、言葉よりも的確で分かりやすい。
柔軟になれず、自分の経験が全てと思ってしまっている土方。取引相手の顔色しか見ず、同社の人たちの表情を読み取ろうとしない。『ミステリーと言うなかれ』でも、仕事一筋になりすぎて家庭を顧みなかった人に対して、整くんが一言物申していたことを思い出した。
変化を恐れる現状維持至上主義者のことを、私は(鬼舞辻)無惨と呼んでいるので、世の中には無惨民がとても多いことに改めて気付かされた。
それは結局、今の環境に居心地の良さを覚えているからであって、逆にその環境に居心地の悪さを感じている人への配慮はどこにもない。あくまでも利己的な考え方。
守と翠を見ていると、いかに対話が大切なのかが分かる。自分の考えを、言いづらいことでもきちんと相手に伝えることが、相手に対する誠意に繋がる。
土方たちの場合は、対話したくても片方が一方的に聞く耳を持たない状況だったからどんどん破綻していった。
対比的に書かれているから余計浮き彫りになって分かりやすく描かれていた。
正義は人の数だけ存在する。
今回は、男性の無自覚な加害が大きなテーマだったように感じる。
けれど女性側にも、男性への無自覚な加害は存在していて、私も誰かを知らず知らずのうちに傷つけているし、傷つけられている。
この作品は読んでいてとても苦しいし、『20代で得た知見』にバッドエンドは若いうちにって話があったと思うのだけれど、正にそんな本だなと思った。
けれどきっとこの本はどんなに苦しくても、何歳年を重ねたとしても、読み続けなければならないし、自分がしてしまった加害について考え続けなければならない。
またカツセさんが、カバーは傷がつきやすい素材であること、けれどそれは生活や人生に近いものであり、そういった傷ごと日々の中で愛して欲しいとのこと。
3次元的にも意味がある、伝えたいことをきちんと伝えていることが素敵だし、新しくて、初めて本についてしまう傷を好きになれそう。
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結婚の話かと思いきや、様々なハラスメントや価値観の押し付けをはじめとする‘無自覚の加害’が主軸の小説でした。
読んでいて結構苦しくなる場面が多い。特に土方の話はずっと最悪で、こんな思考の人がまだいるのかと思うとフィクションでも恐ろしい。そしてこれはどこかの誰かにとってはフィクションではないことがまた辛い。
両家顔合わせのシーンでの親たちの言葉は自分が言われているようでひたすらに気分が悪い。
でも、章が細かく区切られていて、スポットライトの当たる人物がころころ変わり、
それでいて登場人物はそこまで多くないのでとても読みやすかった。
たぶん誰しも、自分の加害は都合よく頭から追い払い、他者から受けた被害だけをずっと心に刻んで生きている。
かといって一度自分の加害を認めてしまったら、ずっとその罪悪感と、叫び出したくなるような後悔の想いと付き合っていくことになる。謝罪なんて自己満足にしかならない。
主人公雨宮が自らの加害の記憶に苦しみながらも翠さんときちんと向き合い、2人のラストが希望のある終わり方をしたからまだよかったものの、
私が翠さんだったら耐えられただろうかと思うと…どうだろう。
人と関わりながら生きていくのは痛みを伴うけれど、それでも向き合うことで生まれる希望を大事にしたいな、と思いました。
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感想
伝わらない。ではない。伝えたことがない。どうせわかってもらえないから。だからわかってくれる人に救いを求めてしまう。でも。それは間違い。
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一度読んでみたかったカツセマサヒコさん。
あらすじを読んで好きそうだな、と思ったので新刊を手に取った。
まず装丁がすごく素敵。半透明のカバーで、カバーをかけてても綺麗だし、カバーを外しても綺麗。是非書店で見てほしい。
長年付き合っている恋人にプロポーズをした雨宮守。長年連れ添った妻に離婚を突き付けられた土方剛。同じ会社に勤める2人の人生、価値観がある事件をきっかけに変わっていく。
無自覚な加害、価値観の押しつけ、について考えさせられる話だった。
身につまされるような思いで読み終えた。
生きてきた中で私も無自覚な加害はしたことがあると思うし、されたこともあると思う。
それに気付いたところで、過去は変えられないから、今後同じ過ちをしないようにするしかない。
あと、昔は当たり前だったことが今はもう当たり前なことではない。
時代が変わるように、人も時代に合わせて変わらなければいけないのだと思った。
タイトルがマリッジブルーではなくて、ブルーマリッジなのが納得。
✎︎____________
どこでも働けるってことは、どこまでも仕事が追いかけてくるってことだよ(p.22)
多くの加害に対して、被害者は一生痛みを抱えるかもしれないのに、加害者はそれを一生かけて償うことはなかなかしないのだ。(p.112)
人ってそんな簡単に変われないし、変わったからといって、オセロみたいにこれまで黒かったものが白に裏返ることもないよ。(p.132)
それでも、昔から善人でした、みたいな顔だけはしないでよ。私や誰かを、傷つけてきた過去まで、消そうとしないでよ(p.132)
生きることは、ほとほと面倒で、生活とはその繰り返しだ(p.176)
でも、その面倒なことを土方さんがしてこなかったってことは、今日まで、別の誰かがそれをしてくれていたってことですから。パートナーだけじゃないです。きっと、全部失う前に気付かなきゃいけなかったことが、たくさんあったんですよ(pp.176~177)
これからは、もう自分のために働いて、自分のために生きると決めたんです。誰かに少しずつ迷惑をかけながら、自分のために幸せになると、決めたんです(p.201)
無自覚な加害があれば、無自覚な傷もどこかにあるのかもしれない。(p.220)
恋が終わったら、その先は、愛が引き継ぐんじゃないかって思う(p.224)
結婚も、離婚も、幸せになるためのただの選択肢でしょ?(p.225)
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クズ男達が出てくるって聞いてとことん共感してやろうと思い読み始めたら救いようのないクズ(土方課長)が出てきてこれは自分のクズさとは違うわと思った。
けど守くんには結構共感あって…そうしているうちに無自覚の加害について突きつけられた。それで、あ、やっぱり自分クズだったわって思い知らされる。
土方課長のこと、自分はこうじゃないって思っていることが、既に罪。
何度も読みたい。
「結婚も、離婚も、幸せになるためのただの選択肢」
この言葉は胸にスっと入ってきた。
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会社の食堂に置くための単行本を買う担当者になってしまい、どうしたものかと悩みながら、話題作だからと手に取った本作でした。最近、結婚がテーマの本読んだり、会社の人と結婚について話す機会も多い中で、本作は割と心に響きました。
本作の中心人物となるのは主に2人で、人事部で働いている若手社員の雨宮と、営業課長を務める土方。雨宮は長年付き合っていた彼女にプロポーズを、土方は長年連れ添った妻から離婚を切り出されるところから物語が始まります。プライベートで人間関係に変化が訪れ、それぞれが思いを抱えて働くある日、土方がパワハラで告発される。その案件を雨宮が受け持つことになり、土方の聴取に行くというお話。
パワハラを題材にしていた作品ということもあり、本作で取り上げられていたのが「加害者意識」というテーマで、すごく考えさせられました。特に本作では価値観の押し付けについて焦点が当たっているパートもあり、そうした行為も精神的な暴力にあたるのだなと改めて認識させられました。
ネタバレになるのであまり詳しく書くことは控えますが、過去を振り返って加害者であったことを自覚した主人公が物語の最後で決意したことは、本作を読む人に「救い」を与えているのではないかと思いました。